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第一話 第二航空戦隊の司令

『何故26歳で艦隊司令になれたのだろう…』


 ボクは時々疑問に思う。

 何故かと言えば若すぎるからだ。

 普通、艦隊司令は40代以上の人間が担う物であり、若くても30代後半の人間だ。

 それなのに20代後半のボクが艦隊司令になった事に疑問が絶えない。


「教育隊から幹部学校に行かんったら今でもパイロットやったんかな…」


 ボクが艦隊司令になる前は空母艦載機のパイロット、戦後初の日本空母「赤城」のパイロットだった。

 でもあの時の事はあまり思い出したくないし、話したくも無い。

 きっとこれがボクを艦隊司令にする1つきっかけだったのだろう。


「艦隊司令言うても、駆逐艦とかイージス艦だけの艦隊やなくて…

 空母機動艦隊を任せよった、軍令部も思い切った事しよる…」


 コンコンコン(ドアノック)


「どうぞ」


「失礼します」

「司令、間もなく瀬戸内海に入ります」


「了解、芸予諸島のあたりは特に気を付けて航行するように」


「了解しました、では失礼します」


「うむ、ご苦労」

「…もうすぐ呉かぁ」

「着いたら何しよっかな、悩むなぁ」




 8月11日… 11:21… 呉基地… 


 呉に帰って来た。

 この艦隊、第二航空戦隊(通称 二航戦)の母港だ。

 二航戦、この艦隊は『前線勤務の終点」と呼ばれている。

 そんな艦隊の司令のボクは超エリート……らしい。

 正直言って『エリート街道』には興味はない。ボクが目指していたのは『エースパイロット』であって『艦隊司令』じゃないし…。


「先輩!」


「ん?どったの?」


 ボクの後輩の七海が話しかけてきた。


「次の出港はいつですか?」


「ん~まだ決っとらんね、軍令部からの指示がまだ無いし」


「そうですか~…先輩!お腹すきました!」


「せやね、お腹空いたね。基地でなんか食べよ」


「はい!」


「ん?」


 タッタッタッタッ…(誰かが走って来る)


「み、三沢中佐殿!あぁ!秋月司令もおられましたか!」


 雰囲気からして急ぎの用事見たい、階級章見る感じ少尉。

 それにしても七海を『三沢』って呼ぶことあんまり無いから違和感しか感じない。


「どうしたの?」


「そ、それが……!!」


「ど、どないしたんや?」


 明らかに重大な事を伝える顔してる。何が起こる……?


「第二航空戦隊に……!新しい空母が配置される様です!!」


「「……え?」」


 これは予想外、何か悪い事かと思ったら逆だった。

 凄い良い事だった。


「それホンマ…?」


「はい、間違いありません」


 七海が驚いたままフリーズしてる。


「おーい、七海~」


 ツンツン(七海のほっぺをつつく)


「はっ!予想外の報告に固まってしまいました……」


 七海は可愛いんだ、うんうん


「そ れ で ! 二航戦に新しい空母!」


「せやね、あ、少尉」


「はい?」


「その空母ってもしかしてさ、今長崎で建造中の……?」


「はい!あれです!二号艦です!」


「はぇ~二号艦って二航戦配属になるんか……」


 これは予想外、てっきり二号艦を旗艦とした航空戦隊が創設されるものと勝手に思っていた。

 一航戦は空母二隻で創設されたが二航戦は一隻で『艦隊』として創設された。

 故に『これで艦隊は完成』と言う思い込みがボクの中にあった。

 そうなると名前が気になる。

 今二航戦に配置されているのが『蒼龍』だから二号艦は『飛龍』になるのかな?


「艦名ってどうなるんだろう」


「艦名ですか…確かにどうなるんでしょうね?」


 七海も同じこと考えてたみたい、やっぱり疑問だよね。


「あ、そうです!艦名ですよ!」


 少尉が何か思い出したみたいですね、聞いてみましょう。


「艦名なんですけど軍令部から秋月司令に伝令です」


「『二号艦ノ艦名案ヲ提出セヨ』とのことです」


「…はい?

 それはつまり二号艦の艦名をボクが提案するって事だよね?」


「そうですね」


「そうですねって君!無責任すぎないかい」


「そう言われましても…小官は伝令を伝えてこいとだけ言われましたので」


「先輩、伝令兵に色々言うのは…ちょっと違うと思いますよ~」


「まぁ、うん、そうだね、うん、あはは」


 内心焦ってた、当然だろう。

 新造艦の命名!しかも空母!焦らない訳がない。


「!司令、1つ言い忘れてました」


「何だい?」


「軍令部はここの艦隊の艦名を採用したいらしいですよ」


「えっ、本当?」


「『折角二航戦に配属するんだ、二航戦が望む名前が良いだろう』って言ってました」


「先輩、これは艦隊全体の意見を採用すべきです!」


「ボクも同じ事考えてたよ」


「では小官はこれで失礼します」


「あ、艦名っていつまでに出せばいいの?」


「1ヶ月後の9月11日ですね」


「了解」


「ではこれで」


 ビシッ。コツコツコツ…(少尉が敬礼し、戻って行く)


「それにしても艦名を考えるなんて大役を担うなんて考えもしなかったよ」


「それは私もです、先輩」


「やっぱり?」


「まぁ食堂でゆったり考えよう」


「はい!」


 ボクの中ではもう艦名は決まっていた。

 『飛龍』

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