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悲鳴

新しく婚約破棄ざまぁを書き始めました。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/558680765/913540981

「……信じたくは無いけど、普通なら子供達の為の孤児院は、こんなに夜遅くまで灯りは点いてないわよね」


浮気している証拠を見つける為に、私エスリン・バニンスカは夫のフラミー・バニンスカがいる教会の孤児院に向かっていました。


自然に囲まれた、家から離れた田舎にある教会の孤児院は、普段から人が訪れる事は少なく浮気するにはピッタリです。


ましてや、こんなにも夜が遅ければ孤児院までの道程は暗く、近付く事すら困難でしょう。


「エスリン、君はここで待っていてくれ。あいつは人に怒る時、手が付けられなくなる事で有名でな。もし浮気の現場を直撃して逆上でもされたら、君が怪我をしてしまうかもしれない」


夫の浮気を聞きつけ、人を引き連れ私の調査に協力してくれたアスラム・ウィッキンスは気遣う様に言ってきます。


「有難う。でも、今まで散々、私に構わず好き勝手していた夫には今日ぐらい、思いっ切り言ってやりたい気分なのよ。それに……」


私がアスラムに言いかけた言葉は、教会の孤児院から聞こえてきた、これ以上ない位に恐ろし気な甲高い子供の悲鳴でかき消されました。


~~数日前~~


今日も夫は夜遅くまで帰ってきません。


それ事態は何時もの事なので、特に気にする事はありません。


……まぁ、全く気にしていないと言えば嘘ですが、夫のフラミーに関していえば仕方のない事だと思っています。


今日は子供達にとって大切な日だから、夜遅くまで遊んであげると言うのなら、私は眠気を我慢して家で待つしかないのでしょう。


既に料理は温めなおすだけで終わり、他にやるべき事は済ませました。


別にもう一度、フラミーの部屋を掃除する必要は無いのですが、何かと手を動かさないと眠気に負けてしまいそうです。


「奥様、今日はもうお休みになられてはいかがですか? 旦那様は遅くなると仰いましたし、分かって下さいますよ」


「有難う、マッケナ。お気持ちだけ受け取っておくわ」


侍女のマッケナが心配そうに、私が待っていた食卓までやって来ました。


彼女は何時も、フラミーのぶっきらぼうな点を指摘しては私に別れた方がいいと言ってきます。


元々、愛のない政略結婚なのだから遠慮する事は無いと。


マッケナの言いたい事は痛い程によく分かります。


望まない結婚だろうと私は愛する努力をしたのに、フラミーは何時も仕事にかまけていました。


そんな事は当たり前だと思う人もいるけど、夫婦で旅行に行こうとするのを中断して孤児院に向かう夫なんて……。


その時のフラミーは「子供達の寂しがっている表情が忘れられない」と言って、楽しみにしていた私を気に掛けもせず教会の孤児院に向かいました。


次の日に旅行の日を振り返る様に聞いた時、「旅行? えっと、何の話だっけ」と言われた時は、呆れて変な笑いしか出なかった程です。


それでも、私は何時かフラミーが振り向いてくれると信じながら、フラミーの部屋へ掃除をしに行きました。


既にあらかた掃除は終わってあるので、普段はしない様な場所も念入りに掃除します。


……どうせ、今日も夫の帰りは遅いのでしょうから。


そうして部屋の隅から隅まで掃除をしていると、私は奇妙なものを発見してしまいました。


「……おかしいわね? 本棚の奥にこんな物があるなんて」


本棚から本を動かして奥まで掃除しようと思い、見つけたのは鍵が付いている箱です。


フラミーは教会の教えに従い、常日頃から私に良き妻として隠し事をしない様に言っています。


それなのにフラミーは、何か重大な隠し事があるかの様に箱を隠していました。


その事が私の心に、フラミーを思って頑張ってきた自分を否定するかの様に突き刺さります。


……けれど、これだけで夫のフラミーを疑う訳にはいきません。


せめて、中を確認してからでも遅くはないと、私はたまたま鍵のかかっていなかった箱を開けました。


普段なら絶対に見る事のないそれは……悲鳴を上げされるのに十分過ぎました。


「何で……何で! こんな物がここにあるのよ!」


思わず叫んでしまった悲鳴を聞きつけて、真っ先にマッケナが私の元へやって来ます。


泥棒か強盗かと勘違いしたのでしょう、手に花瓶を武器の代わりに構えながら。


「奥様、大丈夫ですか!?」


大丈夫よ、そう返事をしたくても中にあった物のせいで、涙が溢れて止まりません。


マッケナは優しく床に崩れる私をさすり、同時にハンカチを渡してきました。


「……奥様、お飲み物を持って来ましょうか? その方が落ち着くと思われますので」


「有難う、マッケナ。大丈夫よ……どうして、避妊具なんかがここにあるのよ」


私がそれを見たのは一度きり、夫婦として初夜を迎えようとした日だけです。


フラミーの為に覚悟して迎えようとした私の初夜は、疲れたの一言で開始する事なく終わり、それ以降は共に寝床へ就く事はありませんでした。


それなのに……私の手元にある箱には、真新しいそれが入っています。

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