65:初の獲物
シュバツェル16年6月4日(土)
本日は快晴なり!
キャンプにはうってつけの天気だ。
キャンピングカーさくら号は、森にある野営地まですんなり進み、予定より早く到着できた。
私はテントを張るのも好きなので、紅き剣の泊まるテントは、もちろん一緒に張る。
「手際が良いとは聞いたが、本当に手慣れてるね」
「使ってた物と違うので、これでももたもたしてますよ」
「これでもたもた?! 私、自信なくなるわ」
何故か最年少メンバー、ヒーラーのリラさんが落ち込む。
「リラは料理以外の作る系が、どれも苦手だからねえ」
「料理が壊滅的に苦手な人ばっかりのこのパーティーだから、役に立ってるでしょ!」
料理ができるか、テントが張れるかのどちらからしい。役割分担で良いんじゃないか。
「まあまあ、どっちもできないんじゃないんです。良いじゃないですか」
「そりゃそうなんだけどぉ……」
「どっちも慣れるか、コツが掴めたらできるようになるしね」
アカザさんとリラさんのペグダウンしたペグを見てみる。ははは。
「二人とも、見てて下さい。
ペグはこのロープの方に向かって、斜めに打ち込みます。
打ち込む向きが合ってないと抜けやすいんで、たまに天幕が崩れたんじゃないですか?」
どうやら図星だったようだ。やれやれ。
結局、私があれこれレクチャーしながら天幕を張るハメになった。みんな適当だったと判明したからだ。
焚火に使う枯れ枝を集めると、お楽しみの焚火だ。
男性の手首くらいの太さで、長さが1メートルほどの丸太を集める。着火剤にする枯れ草も盛りっと集め、細い枝と太めの枝も集める。
短目の丸太を80センチほど離して置き、その上に井桁になるように男性の手首くらいの太さの丸太を拳一つ分くらい離して乗せる。ぐらぐらしないように、ペグの役目をする細い枝で固定しても良い。
後は井桁に組んだ丸太の間に、着火剤にする枯れ草を適当に詰め点火。
上に乗ってる丸太の上に、細い枝や太目の枝を斜めに少し乗せていって火を移す。
「へえ! こんな太い木にも、火が点くもんなんだね」
「空気が下から入るようになってるからです。
細い枝を薪にするより、長く燃えるのが長所。横長の焚火なんで、大人数で火に当れるのもですね」
火が安定するまでは気が抜けないが、たぶん、もう大丈夫だろう。
「こんなやり方は、初めて見るわ」
「元の世界でも、あまり知ってる人はいないかも」
そろそろ大丈夫そうなので、ここはアカギさんにお任せする。
「大物、期待してて下さいね」
おじいちゃん夫婦とクーとルーも入れた家族全員、それにアカギさん以外の紅き剣のメンバーで川へ向かう。
「鮎っぽい魚とか釣れる川があるなんて、最高だね」
「だろう? 川ガニや手長エビっぽいの、なまずみたいなのもいるからな。ボウズにはならないだろ」
「お母さん、釣りは初めて」
「あたしは、子供の頃以来かねえ」
「宿をやってるとなかなか来れないから、ワシも久しぶりだな。
ワシは川ガニを狙いたいな」
「サーラは良く知らないの」
「後で教えてあげるよ。大丈夫だよ」
河原に着くと釣りを知ってる者が知らない者に教え、それぞれ糸を垂らし始める。
「きゃー、引っ張ってる!
ど、どうしたら良いの?」
一番にヒットしたのは、お母さんだった。横で、お父さんが指示をしている。
「お、ワシもかかったな!」
「これかね? アタシも来たかも」
次々とヒットが続く。
「お姉ちゃん! 引っ張ってる!」
「そーっと竿を立てて、糸を自分の方に寄せて……、そうそう」
魚を針から外せるのが、お父さんとおじいちゃんと私だけだったので、てんてこ舞いだ。
河原に掘った川の水が少し流れ込む穴に、外した魚を入れているんだが、すぐに狭くなってしまった。釣れたらすぐに〆て、無限収納の箱の中へ入れていく事にしたよ。
ほどなくして魚は充分って事で、川ガニ取りを全員でしてみると、これも大漁だ。
20センチくらいある食用の貝も三個取れたりと、食べきるのに苦労しそうなほど取れたので、キャンピングカーまで戻ってお昼ご飯だ。
◇
「んんー! なまず、初めて食べるけど美味しい!」
穴に入れたままにして砂抜きはいくらかしたが、多少の泥臭さがあってもとても美味しい!
「見た目より美味しい魚なんだけど、嫌がる人も多い魚でなあ」
「俺も関西住みでも食べた事はなかったが、確かに美味いと思ったな」
「この大きな貝も、美味しいですね」
「いや、川ガニだよ!」
みんなでわいわい焚火を囲んで、釣果に舌鼓を打つ。一度、森へ採取に入っていた方に驚かれてしまった。
魚は串を打っただけとかのお昼ご飯だが、とても美味しい。
おじいちゃんとおばあちゃんは、エールも楽しんでいる。お父さんは自粛して、呑めないのが残念そう。
クーとルーが魚を食べてみたいと言うので、身だけをほんの少しあげてみた。〘お肉のほうがいいー〙〘お肉がいちばんおいしーのー〙との事だ。
狼は肉食だからね。魚も食べるけど……。
午後は、私はアカザさんと河原に戻り、必要な物を集め、その後、狩りに連れて行ってもらうのだが。
〘クーも行くのー〙
〘ルーもいくよー〙
「河原はまだ安心だけど、森の中はノミとか心配なんだよ」
〘やー!〙
〘いくー!〙
「えー、じゃあ家に帰ったら、石鹸で体を洗う約束できる?」
この提案には尻込みしたが、結局一緒に狩りへ。
◇
「ちょーっとちょっと!
クー! ルー!」
ぜえっ、はあっ。
あ、遊び盛りのフェンリルの幼獣を、森に解き放ってはいけません。
「も、ダメ……だわ…………。優さん、倒れそ……」
クーとルーは蝶々だの、飛んでいる虫だのを追いかけて突撃を繰り返す。
見失わないように、ハードモードの障害物付き短距離走を何本も熟すハメになったんだ。
ガサガサしながら、茂みで止まっている二匹にやっと追いついてみれば……。
〘ごはんー〙
〘これ、食べれる?〙
獲物をちゃんと獲っていた。
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