表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/69

15:二人目のお父さん

ゆうちゃん、そろそろこうかいふくするか?」


 どこくらいかたまっていたのか。おおしろさんに呼びかけられるくらい、かたまっていたようだ。


「す、すみません。

 この世界でこれだけりっな部屋をいただけるなんて思ってなかったので、すっかりおどろいてしまって」


「……俺な。こっちへ来た当時、日本によめも二人の子供もいたんだよ……」


 おおしろさんはポツリと、わずかに語った。


 日本に息子さんと娘さんが一人ずつ。


 血はつながっていなくても、マーチャさんと結婚して、息子さんができてうれしかった事。


 できれば娘も持って、実の娘にしてやりたかった事、それ以上の事をしてやりたいのだと。



  ……。大切だったんだな。今でもきっと、変わらず大切なんだろう。


 どれだけ想っても、もうどうにかするすべがなくて、でもどうにかしたくて……。


 私もいつか、そんなふうにどうにかしてでも気持ちのせいをつけたくなる日が来るのかも知れない。



「ありがとう、お父さん」


「……っ。ああ、好きに使え!」



 お父さんと、そう呼んでみよう。

 こっちの世界の日本人のお父さんにありがとうと言う時、地球の日本人の本当のお父さんに幸せにらせているって思いだけでもとどくように。


 こっちの世界のこの世界のお母さんにありがとうと言う時、地球の日本人のお母さんに幸せにらせているって想いだけでもとどくように。



 あ、そうだ。お願いするならこのタイミングだ。

 前々から思っていた、"ちゃん"付け呼びはずかしいので、呼びてにしてくれるようお願いした。


 最後に、もらった部屋のみぎどなりおおしろさんあらためお父さん達の部屋を見て、問題なかったのでしょへ移動した。

 そこで色々話しんだ。



「二(かい)部分は、日本と変わりませんね。

 ゆかだんぼうは、さすがだいこうひょうでしたね」


「ホットカーペットも考えたんだが、せんもんがいだからかそうぞうりょくとぼしいからか、さいげんできなかったんだ。

 ホットカーペットがさいげんできればおうようで、電気(もう)さいげんしてきゅうさせたかったんだがね」


「重さするなら、冬の間、ベッドにせっしっぱなしのしきパットサイズの湯たんぽとか? ものすごふくらんでにくいかな? 

 温かい空気のエアマットをほうごこは良いかも。おんシートもこうありそう。

 上は、とんの間に、とんかんそうみたいな物をはさんでみるのはどうだろう? 

 もうしゅるいを変えたり、つうあついカバーも良さげ」


「!!?」


 何かひらめいたらしいお父さん。良かった良かった。


 ベッドのたて半分のサイズの湯たんぽとか、お温入りのまくらがとか。豆たんこたつもいけるかとか、ぶつぶつ言いながらトリップしたね。


 お茶飲んでるから、ゆっくり考えて。



 ぶつぶつひとり言が終わったと思ったら、


「おーいっ、アージヨ! 

 どうギルド行って来る! 

 ああ、いや。ここに来てもらうほうかいてきか?」


 お父さーんっ、ヤダヤダーッ。だい仕事見てるの好きなのに、だい仕事見れない上に、あのきんちょうかんを二日(つづ)けてはイヤーッ。


 ◇


 イヤイヤという心の声がとどくことはなく、ぞく(ぞく)と人が集まりましたよ。


 みなさんが集まるまでに、お父さん達の部屋や私の部屋、きゃくから入れ子のつくえろうに運んでならべて、背の高いほうの入れ子のつくえにはイスも。

 ヒーターも集めて。


 ねんのため、ハーフケットもあっただけの六枚をよう。どこからか四角くて平たいクッションもかなり集まってた。

 下から、お父さんと私の分のイスをりる。


 お父さんに、みなさん床にすわるのがれなくてつかれないかな? と言うと、リビングからソファーも運び出した。


 げんかんかっぐちがわに、それぞれひとつずつはいしてじゅんかんりょう


 ふう。てか、こんな事がしょっちゅうあるから、このほんけんっていう、一番大きなたたみじゅんにしたってどや顔したろうがあるの?! 


 げんかんからうらぐちかうまっすぐなこのろう。約ニ十七(じょう)ろうって、おしろろうかとんだよ! 


 一番最初に来たのはマーチャさん。お母さんとは後で落ち着いてから呼ぶので、今はまだマーチャさん。


 マーチャさんは人が着くたびに、くついでスリッパにえていただくまでたいおうする係。


 お父さんはどの部屋にも入るな、今日はしんちくのおじゃないんだ、仕事だーって。あちらこちら見たくてそわそわしてるかた(がた)をねじせる係。


 私は、お茶とお茶()けをはいぜんするたんとう


 ぜんようぜんはいちがうし、国でもちがうけど、この国はどっちにお茶? マーチャさーんっ。右がお茶ね、ありがとう。


 ん? 昨日もギルドで出されたでしょって? きんちょうで、お茶の味も分からなかったのに覚えてないって。


 各ギルド、ギルドから来れるのは四人までと決めてあった四人ずつ来られた。


 しょうぎょうしゃギルド、どうギルド、れんきんじゅつギルド、しょくにんギルド、ぼうけんしゃギルド、たてものギルド、せきギルドの計七ギルドからそうぜいニ十八人集まっている! 

 けんちく関係のギルドは、お父さんがギルマスだった。ひえっ。


 存在も知らなけれは、ごあいさつにもうかがっていないギルドも多! 


 お父さん、思い付きで一大プロジェクトでも立ち上げるの? 


 ないそうをしていたしょくにんさん達は、切りのいい所で下へ行っていただいていたので、かいが始まる。


「みんな、いきなりの呼び出しにも関わらず集まってくれてありがとう。かんしゃする」


「この家のおかと思ったが、今日はどういったようけんか?」


かんせいはまだだ。おあらためて。

 はつこころみで、今日この様な形で集まってもらったのは他でもない。新しい転移者が来た事で、わたる話し合いが出来そうだから、こうして(いち)どうに会してもらった」


さいげんできたじゅつしゅうたいせい使して建てるんだと言っとったこの家も気になるが、そちらも気になるな」


「どんな物ができそうかしら?」


「まず、ゆうちゃ……、ゆうと話してる時に彼女の口から出た『湯たんぽ』だ。使う時に湯を入れて、り返し使える。

 かたざいでできた物から、やわらかなざいでできた物まで様々なざいの物がある。形もいくつかある。

 ぜったいに守るのが、熱湯があふれない入れ物と、注ぎ口のせんと、せんと湯たんぽをかんたんに明け閉めできて、でもせんが外れない事。

 ようは『湯たんぽ』と呼ばれる入れ物に熱湯を入れ、タオルなんかでくるんでやけしないようにしてしんに入れておけば、かなりの時間、しんの中でだんが取れる物になる」


せんようのカバーもありました。カバーをふうすれば、朝までかなり温かい温度を保てるようになるかも知れません。

 こちらに来たばかりでせきなどにくわしくないのですが……。せんをしめきった湯たんぽの中で、温度を保たせるせきじゅつがあればさらに良いかと思います。

 仕事中の冷えたいさくに使う人もいましたし、子供に使わせても火を使っていないので安心です」


「使う人も使う場所も広そうですわね?」


「水を使うので少し重いですが、いろんなアイデアでようは広がると思います」


  多くの人がほう、とか、なるほどって感じでうなずいている。


「これをはってんさせたのが、もっと大きくして、ベッドサイズにしてはというあんだ。

 ここまで大きくしなくてもいいはずだ。

 どんな大きさなら体全体が温まるのか? これはためすしかない」


「では、すぐできそうな、冬場に使うしんで何か他にアイデアをお持ちでしょうか?」


「思い出せるのは『二枚合わせもう』、『綿わた入りもう』、『スリーパー』かな? 

 うすの、もうのようなで作ったカバーを使うのもゆうこうかと」


「『カバー』とは何でしょう?」


 カバーがないのか……。

 りのはたしかないなら、カバーが作れるほどぬのりょうさんできないのか、よごけのかんねんかないのか……。


 カバーのせつめいを終えたところでマーチャさんが、

「みなさま、おつかれ様です。

 お昼にしましょう」と声がかけられた。


「もうそんな時間か。

 みなさん、おつかれ様です。きゅうけいにしましょう。

 キッチンとつづきのダイニングルーム、となりのリビングルーム、げんかんを出た左手のルーフバルコニーをお使い下さい」


 ここまでにこやかだったお父さんだが、ルーフバルコニーへ出る時はくつえて、中へもどる時はスリッパにくれぐれもえろとおど……、ごほ。きびしくせつめいして、きゅうけいが始まったのだった。

お読み下さって有難うございます。

お楽しみ頂けましたら幸いです。


面白かった、良かったなどお気楽に、下の

☆☆☆☆☆

にて★1から★5で評価して下さいね!


続きが気になった方は、ブックマークして下さるとすっごく嬉しいです!


感想や応援メッセージもお待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ