11:今度はプレゼン
今日も今日とて注目を浴びながら、魔道具ギルドへ。
自転車を見ていてもらえるように馬屋番らしき方にお願いしようとしたら、中へ持って入って下さいと言われた。嫌な予感しかしかない。
ともあれそう言われたので自転車を持って入ったら、こちらのギルマス室にあっという間に案内された……。
魔道具見に来ただけなんだけど……。自転車はこちらでもさっさと預かられたのも、何か既視感があるよね。前回はこちらから預けたんだけどさ。
「ようこそお越し下さいました。
当ギルドのマスター、アドルバルド・シェラーと申します」
「初めまして。筆頭専属担当のマリーナと申します。宜しくお願いします」
「初めまして。芦屋優です。こちらこそ、宜しくお願いします。
突然すみません。どんな魔道具があるのか見るだけの心算だったので、お知らせもせずに来てしまって」
そう。この状況は謝るしかないわ。
しかし、筆頭専属担当ってまた凄そうだけど、どんな担当!?
「大丈夫ですよ。何日か前にツヨシ自身から、ふらっと来るかも知れないが宜しくお願いすると頭を下げられています。それに、今朝、魔道具のスマホで、多分寄るから頼むと連絡も来ておりますから」
大城さん、いつの間に。ありがとうございます。頭まで下げて頂いて、すみません。
そしてスマホ! 聞き捨てならないけど、後でゆっくりどんな物か聞こう。
「そうなんですね、ちょっと安心しました」
「いやあ、先ほど少し自転車を見せて頂いたのですが……」
と、ここで自転車の話しをしばらく聞いた。
ギルドマスターさんや担当さんがいらっしゃるなら、ついでにアレコレ話しちゃおう。
「誠に申し訳ないのですが、他にも担当の方がついて下さるようでしたら、今日いらっしゃる皆さん、集まって頂けませんか?」
一斉に情報共有した方が話が早いだろう。大がかりだから、人手もあった方が良いだろうしな。
「ほほう? 良いお話があるようですね。
少しお時間を頂きますが、他の担当を集めましょう」
「お手数ですが、宜しくお願いします」
自分のパソコンもスマホもあるので動画を皆で見たいが、ここで皆で見るのは個人で楽しむんじゃないから我慢だ。
見れたら早くて楽なんだけど。異世界なんだけど、なんとなくね。
新しいお茶と同時に、他の担当さんが集まった。三人も増えたんだけど。そりゃマリーナさんが筆頭専属担当なんて言葉を使うはずだわ。
色々聞きたい事もあると分かっているけど、簡単な自己紹介だけに留めて頂いて、さくさく進める。
あれやこれやと注文が多くて、ごめんなさい。
「お忙しい中お時間を割いて頂き、ありがとうございます。
私には魔道具がどんな物か、どうすれば作れるのか分かりません。どうかみなさんのお力をお貸し下さい」
しっかり頭を下げてお願いする。
「頭をお上げ下さい!
転移者が魔道具に明るくない事は存じております。私どもで良ければ、力の限りお力になりますから!」
ギルドマスターさんに叫ばれてしまった。色々不躾だから、ここだけはきちんとお伝えしたかったので許して下さい。
この場でプレゼンするのは三点。
一つ目はクッキングヒーターみたいなコンロ。掃除が楽な方が良い。
弱火、中火、強火の調整は、熱を通す素材の輪と、熱を通さない輪の中心を揃える。それを一回り大きくしながら外に三層にして広げ、使いたい火力に対応する輪だけ台の表面とフラットにしつつ熱する。
使わない火力の輪は下に降りていて、かつ加熱しない。
こうする事で、火を使うコンロに近い細かい火力調整に近づける。
風の影響を受けないから、一口コンロなら外でも使いやすいと思う。他の部分は、普通のコンロと変わらないと思っている。
二つ目は洗濯機。
噴水の噴出される水を活かして水流を作れれば、肝心な部分は作れないだろうか?
普通は上へ噴出される水は、水面から外へ出ないように調整しつつも水流を作るエネルギーに利用するのは可能だろうか?
さらに水流の強さを選べて、しっかり洗いとソフト洗いの調整機能を搭載したい。
三つ目は絶対ほしい、キャンピングカー!
移動する家。
小屋程度の大きさかもだが、あれば長期の旅は凄く楽だろう!
いつか、北海道一周とかしたかったんだ。北海道は行けなくなったけど、こっちで楽しむ!
これに全員が、とてつもなく食い付いた。目が怖いですよ。
逃げたいくらい怖いですよ。
「なんという発想! 移動する家ですか!」
「高ランク冒険者なら買える値段に収まるでしょうし、体をしっかり休めてコンディションを整えられるのは大きなメリットですよ!」
「朝晩、テントを張ったり畳んだり、諸々を出したり片付けたりの手間がなくなるのもありがたいです! その分を移動時間などに回せます! これも大きいですよ!」
「収納できる容量のアイテムバックにしまっておくか、空間収納の使い手がいれば、馬などが入れない森の奥でも使えそうです!」
「出し入れだけで良いなら、コンテナハウスが良いのかも? 」
「それはどんなものでしょうか!?」
「元いた世界にはコンテナという大きな荷物運搬用の規格統一された箱があって、箱といっても中を改装すればキャンピングカーの様に居住する事が出来るようになる大きさがあります。
基本的に据え置きの設置になるのが、一番大きな違いでしょうか」
途中から私は蚊帳の外に近くなるほど、みなさんのアイディアの出し合いは白熱していく。
三時には洗濯物取り込んで、マーチャさんの実家に向かう約束。守れるかなぁ…………。
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