プロローグ 「想像」
第1章 「理想と現実」
ーー勝った...
チャイムの音が聞こえる...
ある少年は勝ち誇った笑みを浮かべながらその音を聞く。そして堂々と背伸びをしてこう言う
「はー...やっと授業がおわった。ってか今日は1回も寝てないぞ?!?!偉いなー俺」
自分へのなぞの優越感や誇りを持ち、とてもいい気分で帰りの準備をし、帰ろうとする。
「宿題出したか?」
その声を聞くと急いで飛び出し、学校を出る。
しばらくして後ろに誰もいないことを確認するとゆっくりと上を見る。
「空、綺麗だな」
何故だろう、空がない日などあるはずが無いのに、ふと見ると美しく感じる。とても広く何もかもがちっぽけに見えてしまう。そしてぼんやりと理想や夢を考えてしまう。
「はぁ、彼女欲しいな」
「でもそんなことより人生をやり直せることが出来たらな...はぁ...」
ありもしない事を考えすぎて頭がパンクしてきた。考えるのを辞めよう。そう考えていた途端、急に胸がざわめき始めた。何かに揺さぶられているような、操作されてるような。とても苦しいのに何故か元気があって...
ふと手を胸にあてる。
ーー...
物事を悟った。その瞬間意識が朦朧とし始め、ついに何も見えなくなった。
ーー熱い、痛い、苦しい、辛い、嫌だ、嫌だ、嫌だ、
何もかも考えられなくなり、地面に倒れた。醜くく、哀れみを通り越した感情が、その少年、イヌマ・ショウ の赤くも漆黒である血に移りこんでいた。