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愛すべき人々 ~地獄からの脱出~その1

作者: ひ~にぃ

大阪寮で地獄の日々を送っていた私は、半年前から脱出計画を練っていた。




この会社は本社採用がほとんどで、大阪、東京へは本社(福山)から送り込まれる。




その場合、住宅手当が支給されるか寮に入居という形だが、私の場合は大阪の現地採用である。




もともと独身寮で大阪に住んでいたので、寮を出ても住宅手当が付かないのである。




そこで、会社に住宅手当を出してもらえる様、根気よく下工作をしていた。




本社へ出張の時は、総務のお偉いさんと飲み歩き、大阪へお偉いさんが来ると率先して接待をし、




その度にやんわりと訴え続けてきたのだ。








もはや、気力、体力共に限界かと思われたが、寮生活2年にして、




ついに入居費用と住宅手当30,000円/月を勝ち取る事ができた。










私はさっそく飲み屋で知り合った、ポンさんという不動産屋に相談した。




ポンさんは快く引き受けてくれ、次の日曜日に店に来いと言った。










ポンさん 「…それで…どんな部屋がええねん?」




私: 「出来たら家財道具が揃うてて…。」




ポンさん: 「ふんふん…。」




私: 「広ぉぉいワンルームでぇ…。」




ポンさん 「ほぉほぉ…。」




私: 「会社(心斎橋)までチャリンコで通えてぇ…。」




ポンさん: 「あるであるでぇ!」




私: 「ほんまでっかぁ?」




ポンさん: 「保証金15万!」




私: 「安いなぁ!」




ポンさん:「18畳の板張りワンルーム!」




私: 「広いがな!」




ポンさん: 「テレビ、冷蔵庫、洗濯機、クーラー、クローゼットにソファ付き!」




私: 「嘘やろぉ?」




ポンさん: 「ペットもOKで、おまけにベッドは電動や!」




私: 「…ポンさん、別にベッドは回らんでええがな!」




ポンさん: 「回るかい!上下に動くんや!」




私: 「上下もいらんて!」




ポンさん: 「ちゃうて!使わん時は天井まで上がるっちゅうこっちゃ!」




私: 「へぇぇ…。そらすごいなぁ…。」




ポンさん: 「広い部屋が、よけい広なんでぇ。」




私: 「家賃は???」




ポンさん: 「共益費込みで、13万5千円!」




私: 「…あかん!高すぎるがな!」




ポンさん: 「…しゃぁないのぅ…何ぼほど出せんねん。」




私: 「気張りに気張って8万まで!!」




ポンさん: 「……よっしゃ!8万にしたろ!」




私: 「えぇぇぇぇ!!ほんまでっか!!」




ポンさん: 「自社物件やから何とでもしたるがな!とりあえず物件、見に行こか!」












私は期待に胸を膨らませながら、ポンさんと大国町にあるそのマンションに行った。










外観はこげ茶のレンガっぽい仕様でまぁまぁである。




しかし、中に入ると通路がガラス張りなのにはびっくりした。










ポンさん: 「どや?なかなか綺麗やろ?」




私: 「…ちょっとケバイですねぇ…。」




ポンさん: 「そうかぁ?結構シャレてるがな!」




私: 「部屋の番号点滅してへんやろなぁ…。」




ポンさん: 「そんな訳あるかい!」






言っておきますが、ラブホではありません。一応ちゃんとしたマンションです。










5Fの部屋の前で、ポンさんはおもむろにカードキーを取り出した。








ポンさん: 「カードキーっちゅうのもシャレとるやろ?」






ドアを開けて中に入る。




そこはあこがれのワンルーム!




家財道具も全て揃っている!!テレビはなんとBS内臓!!










私: 「広いですねぇ!」




ポンさん: 「せやろ!」




私: 「ベッドの横が鏡張りっちゅうのが気になるけど…。」




ポンさん: 「…何言うとんねん!部屋も広ぉ感じるし…それにお前…燃えるでぇ…。」






(なんのこっちゃ…。)










繰り返しますが、ラブホではありません。




ご自慢の電動ベッドを上に上げると確かに広い!




憧れのフローリング…。




ラブホっぽいところも話のネタになるし、家財道具も揃っている。




私は迷わずこの部屋に決めた。










申し訳ございません。長くなりますので次回へ続きます。

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