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目鼻がつく。

 

 恵比寿様がニコニコの恵比須顔。

「契約内容が揃ったのでここに神宮寺 兎沙戯うさぎの異世界 履歴書を発表するぞい!」

 〈じゃじゃーん〉


 [国籍] 神州日の本

 [主契約] 天上界

 [レンタル派遣先]   悪魔界

 [規約履行監視] 神州八百万

 [特例処置] 兎沙戯ウサギ召喚時に神・悪魔間で手続き誤りが生じ召喚者に多大なる

不利益が生じる余地があったため、特例処置として不利益部分を埋め合わせ

る事を神・悪魔双方に課す。

 

特例処置の内容は以下の通り。


 [神からの特例処置] 大天使ミカエル信託

 秘密基地という能力は、

 1。秘密基地を夢見る者全ての想いを元にして機能実現される。

 2。秘密基地の付随機能として不死な発展型大賢者が附帯する。

  ※大賢者は魅力的な存在であるが故に数多の魅力を網羅する為に複数の武も兼ね備えた女人型。

 3。兎沙戯ウサギは統一された世界観の絶対的存在。

  ※理想郷:シャングリラの様な様相をも備える。


 [悪魔からの特例処置] ソロモン王の盟約で呪印

 1つ。消費する事の呪縛から解き放たれ、無限の糧を得、齎す力を宿らせよ

 2つ。邪悪なる世界の地母神たりて全ての系譜から敬われる者とせよ。

 3つ。不可侵たる境地を得んがために虚無を司らせよ。


「監査者神州八百万の加護」 恵比寿承認

 ひとつ、万難排除の穢れ払いの劔

 ふたつ、常世の憩いの勾玉

 みっつ、時渡の鏡


 よくあるパターンだとこの仕様は転移者には告げられずに異世界に放り込まれるけど仕様の概要が

 明らかで世界を司る有力な存在3者からの約定を取り付けている事も有難い状況と思う。


 内心、短い時間で出来る限りの仕様の詰め合わせは獲得出来たと思いながらこの仕様をどう組合わ

 せて有利に異世界で過ごすのか、知り合い味方何も無い中でどうするどうする。


 こう普通に人生がおくれない状況に追い込まれて少し自分を見つめる。

 そう物心ついてからずっと願っていた事、お爺ちゃん、お婆ちゃん、お父さん、お母さん、兄妹、

 親戚、友達、近所の人皆んな皆んなが平穏無事で生きて欲しい、出来れば死なないで欲しい、せめ

 て幸多かれと。


 でも現実は容赦なく大事な人等を傷つける。

 小さい時は感情が迸りその理不尽さ表立って激怒を表した。


 それを繰り返している内に自分の出来る範囲で実行できる事しか無い、人は極めて非力で無力だと

 諦め奮い立つ憤怒の心もいつしか心の奥底に沈めてしまった。


 野心も欲深さも無く、自分の出来る範囲での善行を普通にしている姿を他の人はゆとりで骨抜き、

 気力なしだからだと小馬鹿にするのは感じていたけど、揶揄する連中の偽善者顔にはうんざりし

 つつも根っから持つ善行を淡々と行う日々。

 ただ、その淡々とした日々を乱される事を防ぐ策を張り巡らせる智謀は共に育った。


 何もわからない風体で仕様を取り付けたのも共に育った智謀。


 神や悪魔なら心を読まれるリスクがあるからそんなの看破される筈だが、そこも考慮済みでの今の

 思案三昧の頭の中で考えた。


 神は悪魔の領域の中では悪魔側の者の心は読めない。

 悪魔も神の最上級の加護を授かった者の心は読めない。

 だから僕の心を読む事は神、悪魔共に出来ない。


「なるほど、なるほど〜、そうだったのか」


《《ギョッ!》》


 急に頭に声が響く。


「神と悪魔双方を手玉にとるとは見込んだ甲斐がある!」

「然も極めて純真な神州産の人種」

「理想的じゃ!」


《《うっ思念を読まれている…。》》

《《マズイ!》》


「ホホホ、警戒しなくても良い!ただ甘いな!」

「神と悪魔の両方に属する者がいると言う点を見落としているぞ」


「あっ、ルシファか!」

 元大天使長で悪魔界に落ちた堕天使…。


《《迂闊!》》 


「お陰で思惑も全て把握させて貰ったわい」


〈びゅーーーぅ〉とミカエル、エミリア、恵比寿様の目の前に一陣の風と共にルシファーが現れた。


「ミカエルよ、レンタル移籍すまぬの」

「恵比寿様も約定のまとめ助かります」


「約定も締結したので兎沙戯うさぎ君は連れて行くが良いかな?皆さん」


「ルシファ、あなたは兎沙戯うさぎに何をさせる気か?」


「ミカエル、心配するな。約定は違えぬ。こちらの用が済んだら返却するから心配するな。

 まだ死んでもいない生きた人間じゃからそのまま元の世界に返す!」



「さて行くかの!」


 〈びゅーーーーーーーーぅ〉と大きな風が吹き荒れた後、悪魔たちの姿は消えていた。

ソロモンの指を持ち出したエミリアはその後ルシファ爺さんからきっ〜く叱られた。

けど孫なので甘い甘い感じで助かったようだ…。

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