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終焔伝  作者: 高崎 龍介
1/10

零ノ巻「約束の形」

初めまして、高崎龍介と申します。

昔、自己満足で描いていた小説をもう一度書き直して誰かの目に触れてもらえればと思い投稿しました。

拙い文と表現で分かり辛いこともあると思いますがどうか最後までお付き合いいただければ幸いです。

これからよろしくお願いいたします。

それでは”終焔伝”をどうぞお楽しみください。


 私はまどろみの中で思い瞼を開く。

 どれほどの時間が経ったのだろうか。

 北宮京を封印するために放った自滅技、封印術によって自分諸共この異空間へ封印した直後に意識が途切れてからどれだけ経ったのかわからない。相変わらず体は動かせないままだ。藻掻くこともできないし、する気もなかった。下手なことをする力も残っていない。北宮京との戦いはそれほどまでに私を消耗させていた。薄ぼんやりとした頭の中には激しい炎に包まれた光景の中で最後に見た最愛の男・橘由一の姿があった。

「もう一度、会いたい」

 この場所から早く抜け出して彼の腕の中へと飛び込みたいと思った。年下で、どこか抜けているところがあるのにいざ隣にいないと不安になる。それほどまでに大きい存在。彼の下に、彼の傍にもう一度帰りたい。ただそれだけの願望。だが私の力ではここを抜け出すことはおろか、氷を壊すこともできない。頼みの綱は由一君と彼に託した私の先祖が受け継いできた忌々しい力『終焉の焔』だけだ。

 北宮の人間ではない由一君が『終焉の焔』を使うのはあまりにもリスクが高い。でも私は彼に賭けた。全身が氷で覆われる寸前に彼が伸ばした左腕へとその力を授けた。否、押し付けたというのが正しいだろう。

 だが私の力を授けたところで相手はその上を行く実力者。私ですら命を賭して道連れにすることが精いっぱいだった相手である。いや、それすらも相手はかいくぐって抜け出しただろう。今までかすかに感じられていた気配が遠くに移るのが分かったのだから。由一君が勝てる相手ではないことくらい最初から分かっている。それでも彼は私の目を見つめながらまっすぐな闘志を、覚悟を見せてくれた。だから私は待つ。彼が勝つその日まで。

「会いたい」

 その言葉を最後に私は再びまぶたを閉じた。


 四月。学生にとっては新たな出会いの季節である。俺こと橘由一も今年で地元の白皇学院高等部の二年へと進級である。いまどき珍しい学ランに袖を通しながら思うことがある。

「ブレザーのほうが格好いいのにさ」

 学ランの時代も終わりになりつつあるのかもしれない。いまどきどこを見てもブレザーの割合のほうが断然高い。まあ、ぼやいたところで何かが変わるわけでもない。

 身支度を整えると部屋の中をぐるりと見回す。昨年の春から引っ越してきた居候先の一室。広くはないが狭くもない。むしろ好き勝手にやらせてもらっているほうだ。

 そしていつもの日課である机の上に伏せておいてある写真立てを起こす。その写真に写る人を見るたびあの日の出来事を思い出す。

「灯さん」

 2年前に起きた河隅市の大火事。警察は原因不明と断定しているが俺だけはなぜあんな大災禍が起きたのかを知っている。知っているだけではない。その渦中に俺は飛び込んでいた。俺の想い人とその因縁の相手。二人の戦いの飛び火が街を災禍の炎で焼きつくした。異能の力を用いた戦いは激しさを増し灯さんの敗北で幕を下ろした。

 そしてその時に俺は彼女に託されたのだ。彼女の力、異能の力を喰らう炎『終焉の焔』を左腕へと託された。

 彼女が道連れにした北宮京も最近になって目撃情報が相次いでいる。

「行ってきます」

 それだけ言い残すと部屋を後にする。2年間でできるだけのことはしてきたつもりだ。だからこそ一刻も早く彼女を取り戻したいという気持ちが膨れていた。

(灯さん、待っていてください。必ず迎えに行きます)

 空を仰ぎながらそう心に誓った。


 これは最愛の女を助けるべく、悪魔が向けてきた様々な試練を乗り越えて成長していく少年の物語である。

お読みいただきありがとうございます。

更新頻度はさほど早くありませんが長い目で見ていただければと思います。


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