プロローグ
初めまして、しろがね章人と申します。
稚拙な文章力ですが、小説を書かせて頂きました。
言葉の使い方が間違ったりしている所もあるかもしれません。
今後とも精進してまいりますので、ぜひ宜しくお願い申し上げます。
プロローグ
天使の少年は【大樹】の根元で悪魔の青年が読む本に耳を傾けていた。
むかしむかし 創造神バリウスは天界を創り、そこに種を植えました。
種はあっという間に大きな樹になり、美しい花が咲き、極上の実をつけました。
しかし天界には、その美しい花を見る者も、極上の実を食べる者もまだいません。
そこで創造神バリウスは、この世界に二つの種族を創りました。
一つは美しい羽を持ち、慈愛に満ちた天使。
一つは勇敢で強大な力を持つ悪魔。
創造神バリウスはそれぞれの種族にこう言いました。
「天使の神よ、お前たちは使者を創り、地上のヒトの魂を救いなさい。」
「悪魔の王よ、お前たちは仲間を創り、地上のヒトの運命を守りなさい」
そう言い残して創造神バリウスは光の粒となり、地上のヒトの魂の欠片になりました。
二つの種族は、【大樹】を中心にそれぞれ自分たちの国を作り、【大樹】の根元で踊り、歌い、手を取り合い助け合って仲良く暮らしていました。
ヒトは生を受けいずれは死ぬ運命でした。
天使たちはその魂を次の生へと繋ぐ仕事をしていたのです。
ですが、ある時一人の天使がヒトの死の運命を変えてしまいました。
悪魔はそれを見つけてしまい、王に「運命を変えた天使がいる」と告げ口をしました。
悪魔の王はそれを聞くと、すぐに天使の神のところに行き言いました。
「見て見ぬ振りか。貴様らの使者が何をしたかわかっているな?」
「わかっている。だが私が止めても、彼らは言うことを聞かないのだ」
「ならば、我々が正すしかないぞ。いいのだな」
「悪いが、お前たちに託そう」
とある日、ひとりの悪魔が、天使が【運命】を変えてしまうところを止めました。
天使は怒り、その悪魔の魂を奪ってしまいました。
悪魔の王は怒り狂った仲間たちを鎮め、天使の神と話し合いました。
「何か言うことはあるか。其奴の魂を返せ」
「もう、使者たちが転生をさせてしまった。非礼を詫びよう」
「……。我が子の魂だ」
「なんと……?」
「もう良い。貴様らの使者は我が淘汰してやる」
こうして、悪魔たちと天使たちは険悪になりました。
悪魔たちは運命を変えようとする天使を見つけては、すぐさま捕まえ磔にしていきました。
日に日に捕まえられる天使たちは増え、天使の神は悩みました。
戻らない家族を心配する天使たちが立ち上がり、悪魔との戦争が起きたのです。
ですが、悪魔の王と強大な力を持つ悪魔たちにかなうはずがありません。天使たちは傷つき、倒れ、行き場の無い魂たちは【大樹】のもとで彷徨い始めました。
天使の神は立ち上がり、使者たちに言いました。
「お前たちがやったことは許されん。私の代わりに運命の神と愛の女神を創ろう。お前たちはその二人に従いなさい。私は、王を止めてこよう」
天使の神は立ち上がり、悪魔の王の元へ行くと【大樹】へ自身と共に封印し、長い長い眠りにつきました。
その衝撃で、天使の国と悪魔の国、そして【大樹】は3つの大陸に分かれてしまいました。
新しく天使たちの神となった運命の神と愛の女神の元に、一人の悪魔の王子が訪れ大陸が崩れ落ちるなか言いました。
「私は王の息子です。これ以上の戦いは意味がありません。戦いを止め、決まり事をつくり、以後1500年関わることを止めましょう」
運命の神と愛の女神は承諾し、天界の戦争は悲惨な終わりを告げました。
悪魔の青年は本を閉じ、天使の少年に渡した。
天使の少年は悪魔の青年に嬉しそうにお礼を言うと、次の本を読むようせがんでいた。
次からは、天使の少年のお話へと変わります。
二人の行く末をお楽しみください。