一刀の実力や如何に
一刀「ん?」
それに気づいた一刀が疑問符を頭の上に吹き出した。
雪蓮「一刀っていう、気にいった男の子ができちゃった。」
一刀「えっ・・・?」
その言葉に一刀が驚きの声を上げた。
雪蓮「ま、それはひとまず置いといて。」
一刀「いや、おいといちゃだめなよう、もがが・・・」
突如雪蓮の手が一刀の口をふさいだ。
雪蓮「いいこと、一刀。
見たところ貴方の実力は蓮華をゆうに越えているわ。
そうねぇ・・・、私と同等くらいかしら。だから戦えるのがすっごい楽しみなの。
だから・・・・、どうか気まぐれで蓮華に負けないでね?」
一刀がそれを聞いて、ゆっくりと雪蓮の手をとって口からどけた。
一刀「同等かはわからないけど・・・・できるだけがんばるよ。それと」
雪蓮「それと?」
一刀のその言葉に首を傾げながら雪蓮が聞いた。
一刀「俺はこの大会、優勝以外狙えなくなってね。
誰にも負ける気はないよ。」
これまたニコッと笑顔で一刀が雪蓮に向かって言った・・・
その言葉に一瞬キョトンとした雪蓮だったが
雪蓮「あーんもう、かわいいな~。」
と、また一刀を胸に押し込んだ。
一刀「ちょ・・・、しぇれ・・・、だめだって。」
今度は力ずくで雪蓮の腕から抜け出した一刀。
雪蓮「つまんないぞ、ぶーぶー。」
一刀「そこまでしたかったら、俺に勝ってからならいいよ。」
冗談で一刀が雪蓮に言った。
雪蓮「ほんとっ!?」
あまりの大声に一刀が驚いた。
一刀「あ・・・あぁ、いいよ。」
雪蓮の勢いに押され一刀が冗談にOKを出してしまった。
雪蓮「よーし、じゃあ一刀を倒していっぱい色んな事し~よう!」
喜びを表すように雪蓮が両手を挙げて万歳をした。
一刀「いや・・・、今のだけじゃ?」
ふっふふ~んと鼻歌を歌いだした雪蓮の耳に一刀の声は届かなかった。
しかし、急にその声もとまり、
雪蓮「あ、でも一刀。」
その目はまるで獲物を捕らえるような瞳に変わった。
一刀「なに?」
それに気おされることなく一刀が立ち向かった。
雪蓮「蓮華の時も、って言ったけど、手なんかぬいたら
再起不能になるまで会場で叩きのめすわよ。」
一刀「大丈夫だよ、そんな失礼なことしないから。」
雪蓮「そっ、なら安心したわ。 っていうけど、さっき力抑えてたわよね?」
一刀「俺の力に気づいた人がいるなら、もう、隠しても仕方ないんじゃない?」
雪蓮「それもそうね。うん、そのとおりだわ。」
納得したかのように顎に手を当てて雪蓮が頷いた。
一刀「それに雪蓮相手に手なんか抜けないだろ。」
雪蓮「あららー、私のこと高く買ってくれてるのね。」
一刀「武人としたら雪蓮は最高位にいる人だからね。」
雪蓮「あらうれしい。」
雪蓮がニコっと笑った。
雪蓮「それじゃあ、戦えるのを楽しみにして待ってるわ。」
そういうと雪蓮は一刀の頬にキスをして振り返って呉の陣地へと帰っていった。
あまりの出来事に一刀は雪蓮が去った後もポーっとそこに突っ立ったままだった。
一刀「まるで・・・、嵐のような人だなぁ・・・。」
と、ぽつりと一刀が呟いた・・・
???&???「やー!!」
後ろから大きくは無いが強い声が聞こえた。
一刀「うわぁっ!!?」
一刀はその声に不意をつかれ大声を上げてしまった。
驚いたががんばってその声の主を確認すべく振り返った。