戦い方
司会「それでは、楽進選手対孫尚香選手、試合開始ぃ!!!」
司会の張り切った声が会場内を響かせた。
凪「それでは小蓮殿、よろしくお願いします。」
体の前で拳を合わせ、孫尚香に頭を下げた。
孫尚香「今日は凪にだってまけないんだからね~。」
そういうと孫尚香が武器を構えた。
孫尚香「この月下美人の錆びにしてあげるわ!」
そういうと円月輪(?)のようなものを凪めがけ勢いよく投げた。
凪「っ!」
凪が眼前の2つのワッカに臆することなく、孫尚香のワッカを凝視していた。
ワッカの回転を読み、難なく掴み取った。
孫尚香「ちょちょっ、ちょっと!」
それをみた孫尚香が焦って驚いた声を出した。
凪「申し訳ございませんが、返すことはできませんね。」
凪の手甲は掌にもある程度の剣なら切られることのない素材の布でできていて
孫尚香の武器も難なく掴み取れるのだ。
孫尚香「取られたら無条件でシャオの負けじゃない!!」
凪「小蓮殿を傷つけずにすむので私はこれでいいと思います。」
納得したかのように一人で凪が頷いた。
孫尚香「だめだめ!! あんたが掴んでていいのはそこの北郷の心だけでいいのよ!」
そういいながら凪に向かって孫尚香が走り出した。
凪「い・・・いや、私は隊長の心を掴めてはいないような・・、いるような・・・。」
ガシャンッ!
一刀を対象とした孫尚香の言葉に凪が反応してしまい、むずがゆしさに両手で顔を覆ってしまった。
孫尚香「とーう!」
そういうと凪が落とした月下美人を孫尚香が拾い上げた。
そのまま、凪と一度いったん距離を取った。
凪「あっ・・・・・・。」
凪が自分のミスに気づいて声にならない声をだしてしまった。
真桜「なぎいいいい、なにひっかかっとんのや~!!」
凪が孫尚香のベタな引っ掛けに引っかかってしまった事に、声を張り上げてしまった。
孫尚香「危ない危ない・・・・、凪には悪いけど、まけたくないんだも~ん。」
ふふ~ん、という顔で孫尚香が音符を出しながら言った。
凪「うぅ・・・、今のは私の失敗です・・・・。」
ガクッと肩を落としながら凪が呟いた。
そんな凪を立ち直らせるように後ろから声援が送られた。
一刀「凪っ!大丈夫だ、ちゃーんとつかめてるぞ~!」
と、一刀が落ち込んでいる凪に言い放った。
凪「っ!!」
その声に凪が振り向かず、前を見たまま一刀の台詞に顔を真っ赤にしていた。
孫尚香「そこー! 誰ものろけろなんていってないわよ!」
凪と一刀に向かってビシッと指を指して言った。
凪「私はの・・・のろけてなんて・・・。」
孫尚香「(スキあり!!)」
そうやって凪がちょっとモジっとした瞬間、孫尚香の手から再び月下美人が放たれた。
霞「こら~、凪~!!」
霞の叫びに凪がハッと現実に戻った。
目の前に飛んできたワッカに驚いたが、冷静にその物体を見据え自分の目の前に来た瞬間
凪「でぇい!」
ベキャッ!!・・・、コ~ン。
金属の歪む音と地面に落ちた音が会場に響いた・・・・
孫尚香「あーーーーっ!!!!?」
金属音がした後、孫尚香の悲痛な叫びが聞こえた。
そう、月下美人が凪に叩き落とされ、二つ折りになっていたのだ。
ふぅ、とため息をついて凪が孫尚香に言った。
凪「これで、私の勝ちですね、小蓮殿。」
そう、武器を失った選手は無条件で敗北となるのだ。つまり、凪の勝利であった。
孫尚香「あぁ~、くやし~!! まけちゃったじゃない・・・。」
孫尚香が敗北を認め、ガクッとうなだれた。
凪「またいつか戦いましょう。」
戦闘が始まるときと同じように拳を自身の前で合わせ、一礼をした。
そのとき、司会の声が会場内を包んだ。
司会「勝者、魏軍 楽進選手!!」
ワアアアアアアアアア。
観客達が会場を拍手と声援で包んだ。
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試合が終わり、凪が魏の応援席へ戻ると、仲間達からの賞賛が送られた。
沙和「凪ちゃん、おめでとうなの~。」
真桜「まぁ、凪が負けるとはおもわんかったけどな~。」
秋蘭「まぁ、そう言ってやるな。」
春蘭「んむ。どんな相手でも勝ちは勝ちだ。」
季衣「次の桔梗様との勝負が見所だね。」
霞「そやな~。でも今日の凪なら桔梗はんも倒せる気ぃするわ~。」
流琉「次も精一杯応援させて頂きますね!」
一刀「なんにせよ、おめでとう、凪。」
皆の言葉の後、一刀が頭を撫でながら凪をほめた。
凪「あ・・・、ありがとうございます・・・。」
顔を真っ赤にして、顔を下げながら皆にお礼を言った。
その後皆を見回して一刀が言った。
一刀「さてさて、次は蜀軍同士の戦いなんだな。」
流琉「です。星様と美以ちゃんの戦いになります。」
季衣「これも気の毒だけど、勝者はわかっちゃってるんだよねぇ~。」
沙和「かわいさなら美以ちゃんの右に出るのはそうそういないとおもうの。」
凪「だが・・・、これはかわいさを競う大会ではないしな・・・。」
真桜「まぁ、そやな~。星はんの戦い方をみるために犠牲になってもらおか・・・。」
秋蘭「趙子龍の槍術や、一つでも多く戦闘法を知っておいて損はないな。」
春蘭「自分が当たったときに参考にできるからな。」
霞「そやそや、同じ槍使いとして研究さしてもらうわ。」
一刀「ま・・・、すぐ試合始まるだろうし、座って待ってようぜ。」
そういうと一刀が応援席に座ると、横には沙和と季衣が座った。
沙和「久しぶりに隊長の横座るの!」
季衣「兄ちゃんの膝の上もいいけどたまには横にも座ってみたり。」
横に座れたの喜び、二人が一刀に話しかけた。
一刀「俺なんかの横に座るだけでそこまで喜んでもらえると俺も嬉しいわ。」
そういいながら二人の頭を撫でた。
その傍らには座れなかった皆が居たのだが、悔しさをこらえて平気な振りをしてリングの方へ向きなおした。
と、先ほどの流琉のように、一刀の前に立っている少女が居た。
今回一刀膝の上を所望したお客様は、魏の三大頭脳の一人、風だった。
一刀「ん、風も乗るか?」
風「はいです~。」
一刀「はい、どうぞ・・・、や、ちょっとまった。」
風「あぃ?」
なぜか一刀が風を膝に乗せるのを待機させた。
そしてそのままその場で立ち上がった。
風「むぅ、お兄さん、風はだめなのですかぁ?」
一刀「違う違う、ちょいまって。」
そういうと一刀が上着を脱いだ。
そしてそれをもったままもう一度座った。
一刀「はい、どうぞ。」
一刀がポンポンと自分の膝を叩いた。
風「? じゃあ、のっちゃいますよ~。」
そういうと一刀の膝の上に風が座った。
その後、一刀が風の下半身の部分に自分の上着を被せた。
風「なんですかぁ~、これは~?」
一刀の行動が理解できず、一刀に風が尋ねた。
一刀「風、お前自分のスカートの短さわかってないだろう・・、こうでもしないとスカートのなか見られちゃうぜ。」
風「おぉう、それは風も気づきませんでした。」
一刀「そういうこと。だからそれは断固阻止だ。」
風「ありがとうなのです、お兄さん。」
一刀「いえいえ、どういたしまして。」
そういうとそのまま流琉にもしたように風のおなかをもって自分の方へ引き寄せ、安定させた。
その後少したって、昔の一刀の体と違和感を覚えた季衣が一刀に尋ねた。
季衣「兄ちゃん、こんな腕太かったっけ?それに傷もできてるような・・・。」
一刀「ん? おぉ、修行してたんだから、そりゃ太くもなるし、傷もできるって。」
沙和「でもでも、こんな太くなってるなんて気づかなかったの。
しかも結構大きな傷もあるし、凪ちゃんみたいなの。」
ペタペタと沙和が一刀の腕を触った。それにつられて季衣も触った。
一刀「なんかこそばゆいなぁ・・・・。
まぁ、傷は勲章ってことで、ひとつ。」
二人の行動にこそばゆさは感じたものの嫌気はささなかったので、そのまま触らした。
そうこうしてると、司会のアナウンスが聞こえてきた。
司会「それでは、蜀軍 趙雲選手対猛獲選手 試合・・・・開始ぃ!!!」
気まぐれな猫と一直線猫の戦いが始まった。
趙雲「美以よ、このように戦うのはあの時以来だな。」
槍を構えながら趙雲が孟獲に向かって話しかけた。
孟獲「うぅ・・・、星は嘘をつくからいやなのにゃ・・・。」
大きな大槌を自分の前で持ちながら孟獲が趙雲に返した。
趙雲「大丈夫だ、美以、今日は多分嘘をつかん。」
孟獲「星の言葉は信用ならんにゃ・・・・。」
趙雲「ははっ・・・、確かにな。」
微笑みながら趙雲は槍を孟獲に向けた。しかし、次の瞬間
孟獲「うにゃ~!」
孟獲が大槌を大きく振りかぶり、趙雲に突撃した。
ドスン!!
趙雲「ぬっ!」
それに気づいた趙雲がすばやい動きで孟獲の一撃をかわした。
孟獲「にゃにゃ~、またよけられたにゃ。」
悔しがりながら孟獲が大槌を構えなおした。
趙雲「ふむ、今度はちゃんとその一撃を受けようか。」
孟獲「ほんとにゃ?」
趙雲「うむ。」
孟獲「にゃら、美以の一撃を受けるにゃ!」
趙雲が攻撃を受ける体制をとったのを確認し、孟獲はまた大きく武器を振りかぶった。
趙雲「よっ、と。」
ドスン!!
孟獲「にゃ?」
攻撃が当たるはずだった予定が空振りに驚いた孟獲がはてなマークを出した。
そう、趙雲が孟獲の攻撃を受けることなく、寸前で避けたのだ。
趙雲「はっはっは、いい振りだぞ、美以。」
おなかから声を出して笑いながら趙雲が孟獲の攻撃をほめた。
孟獲「にゃにゃ! 星、美以の攻撃を今度こそはうけるんじゃにゃいのか!?」
趙雲が避けた事に怒り、孟獲がビシッと趙雲を指差しながら怒鳴った。
趙雲「これは失敬、あまりにも美以の振りが良くてな、受けとめれそうになかったのだ。」
孟獲「ほんとにゃ?」
趙雲の言葉に孟獲が目を輝かせて問い返した。
趙雲「うむ。 だが、次はなんとか受けとめるよう努力しよう。」
孟獲「にゅう・・・、約束・・・・だじょ!!」
そういうともう一度趙雲に攻撃を当てるべく孟獲が大槌を振りかぶって、振り下ろした。
趙雲「あ、ほいっと。」
趙雲が先ほどのようにヒラリを着弾点を見定めすんでのところで避けた。
ドスン!!!
地面を叩く先ほどより大きな音が会場を突き抜けた。
孟獲「あにゃ?」
孟獲はその大きな目をパチクリして、攻撃対象の趙雲がそこにいないことを確認した。
孟獲「にゃ、にゃんで受け止めないのにゃ?」
趙雲「いやぁ、美以の攻撃を受け止めては痛いだけじゃすまなさそうなのでなぁ。」
ククッと笑いながら趙雲が孟獲に言った。
趙雲にはじめから孟獲の攻撃を受け止める気などさらさらなかった。
孟獲「うぅ~~~!!!」
それに気づいたのか孟獲がうなり声を上げた。
孟獲「もう怒ったにゃぁ~~~~!!!!」
そういうと孟獲が大槌を大きく振りかぶり、何度も趙雲めがけて叩きつけた。
ドスン! ドスン!! ドスン!!! ドスン!!!!
しかし、それを全てすんでのところで趙雲が全てかわしたのだった。