そんな簡単じゃない
一刀がそれを見送った後振り返った。
一刀「さてて、もう出かける事も無いし、ゆっくり皆の戦いを見ようかな~、っと。」
そういいながら先ほどとは違い皆のいる応援席の真ん中に座った一刀だった。
席は左右にひとつずつあったのだが直ぐに埋まってしまった。
片方に凪、片方に霞が陣取った。他の子も横に座ろうとしたが、一歩でおくれたようだ。
一刀「なんだなんだ。そんな慌てずに座ればいいのに。」
霞「そんな悠長にしとったら誰かが先に一刀の横にいってまうやろ?」
凪「せきとりは早さも重要です。」
横に座った二人が勝ち誇った表情で一刀に告げた。
一刀「まぁ・・・、両手に花って状態で俺は嬉しいけどな。」
そういう一刀の前にふと流琉が立っていた。
流琉「あ・・・、あの兄様・・・。」
恥ずかしそうに流琉が俯いて一刀に尋ねた。
一刀「ん? どうした流琉?」
流琉「えと・・・あの・・・。」
流琉にしては珍しい態度に一刀が疑問を抱いたが
あることを思い出してすぐにその行動がわかった。
一刀「流琉。」
流琉「は、はい。」
一刀「おいで。」
膝の上を指差して、ニッコリと笑顔で流琉に一刀が言った。
流琉「あ、ありがとうございます!」
そういうと流琉が一刀の膝の上にのって座った。
一刀「前したいっていってたもんな~。」
そういいながら自分の膝の上にのった流琉を両手でおなかを押さえて自分の方へ引き寄せた。
流琉「兄様・・・、お・・、おぼえてたんですか?」
一刀「皆の願い事や言った事はそうそう忘れないって。」
流琉「あ、ありがとうございます!」
流琉が今までに無い笑顔で一刀の言ってくれた事に答えた。
霞「なんや流琉、ずるいな~。」
からかう霞と
凪「そんな約束をしていたとは・・・・私もするべきでしょうか・・・。」
自分もいずれはと狙う凪であった。
一刀「ははは。こんなんでよければいつでもやるさ。」
一刀が笑ったとき司会の大きな声が会場に響き渡った。
司会「厳顔対うきん・・・・、試合開始ぃ!!!!」
厳顔対うきんの戦いが始まった・・・・・。
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沙和「今日は桔梗さんにも負けれないのなの!」
厳顔「ふむ・・・、手加減はせんぞ、沙和。」
沙和「望むところなの!」
そういうと互いに武器を構え、牽制しあった。
第七聖t(ry パイルバンカーをもつ厳顔相手に遠距離でい続けるのは危ない
しかし、近づけばあのデカイ獲物に吹き飛ばされる。
まだ武将としてそこまで強くない沙和にとってこれほどやりにくい相手はいないであろう。
だが、沙和は攻めるしかないのだ。
防御にでても万が一にも勝ち目がないからだ。
それは沙和自体理解していたため、始めはあんなに弱気だったのだ。
あの時は負けることしか考えていなかった。
だが、一刀の言葉に己を焚きつけ、勝つことしか考えなくなったのだ。
だから・・・・
沙和「てやぁ!」
二人の均衡を破ったのは沙和だった。
大きく前進し、厳顔との距離を一気に縮めた。
厳顔「やぶれかぶれの前進か・・・、沙和!」
沙和の動きを確実に捉え、沙和めがけ、大きな弩弓が弧を描いた。
ドゴン!!!
大きく地面に叩きつけられた衝撃が空を震わした。
厳顔「なにっ!?」
そう、すんでのところで沙和がさらに加速し、更に目の前で体を捻り、難を逃れたのだ。
沙和「桔梗さん、覚悟!!」
そういうと沙和が身を捻った勢い其の儘に剣を厳顔めがけ振りかざした。
厳顔「くっ!!」
目の前に振りかざされた刃をみて厳顔が一瞬あせったのだが
ガンッ!!!
沙和「あわわっ。」
パシッ!
厳顔が豪天砲自身に引き寄せ砲塔を盾にし、剣を防ぎ沙和の
動きがとまったところで、沙和の軸足を蹴ってこかしたのだ。
お互いすぐさま体勢を立て直し、また距離をとった。
厳顔「今日はなかなかやるのう、沙和よ。」
沙和「いつも負けてばっかりじゃいやなの!」
厳顔「よかろう・・・、ならば来い!」
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その後、厳顔対于禁の戦いは沙和が善戦するも、やはり戦いに関しては
一日の長のある、厳顔に終始圧倒され、沙和の敗北に終わった。
沙和「うぅ~・・負けちゃったのなの~。」
沙和が落ち込みながらリングアウトをした。
凪「沙和は、あの桔梗様相手によく頑張ったと思う。」
真桜「そやそや、桔梗はんに勝てるのはそうはおらんで。
ウチや凪でも絶対負けてたわ。」
親衛隊の二人が沙和を慰めた。
一刀「それでもあそこまで頑張ったんだ、よくやったぞ、沙和。」
一刀が沙和の善戦に喜び、沙和の頭をワシワシと撫でた。
沙和「隊長~、やさしくしてくれないと髪の毛グシャグシャになるの~!」
ワシャワシャと撫でられた沙和の髪の毛はセットもくそもなくなってしまっていた。
一刀「おうおう、すまん。」
一刀がサッと沙和の頭から手を離した。
霞「まぁ、うちらが強くなってるっちゅうことは確実やけど、他のとこも一緒やさかいな。」
秋蘭「うむ・・・、心してかかるしかなかろう。」
腕を組みながら二人が言った。
季衣「でもでも、今日は兄ちゃんのために負けたくないんだよね!」
春蘭「北郷のためではないが、華琳様にそろそろ優勝というものを献上したいしな。」
一刀「なんにせよ・・・、俺達は負けっぱなしじゃないってこと、見せ付けようぜ、皆にさ。
そして、惜しくも負けた流琉や沙和のためにも。」
皆「おう!!」
一刀の言葉が、魏の皆の心にもう一度大きな火を投げ入れた。