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第六話〜初クエストと立ち込める暗雲〜

お姉さんというものには、憧れを抱いております。

この想いは変わることなく、幼い頃より私は兄共々姉モノにハマっております。


こんな変態的カミングアウトはさて置き、14歳の主人公に対してヒロインになりうるお姉さんとは何歳なのか?という問いに、私は答えが出せず日和ました。

何を言っているかは冒頭を見ればすぐわかりますね。


と、言うわけで第六話です。

どうか暇潰しのお供にでも、お楽しみください。


16/04/29

ステータスの表示を若干変更しました。

 自分のステータスの教えられるところを教えたら、セレーネのステータスを見せてくれた。

 僕が教えなかったから、そっちも口頭で言ってくれってお願いしたんだけど……


「見せて困るようなステータスしてないし、君に見せなきゃパーティとしてサポートする時に色々困るから見て!」


 と、強く言われて抵抗出来なかった……


 ******************


 セレーネ=マレウス 19歳

 Lv.38

 職業:冒険者

 HP:1390

 MP:2650


 STR:157

 DEX:189(-10)

 VIT:278

 INT:748(+68)

 MND:583(+53)

 LUK:394


 技能: 魔力操作 並列起動 魔術:火系統(Lv.8)

 魔術:無系統(Lv.5)奇跡:治癒(Lv.3)


 称号:『紅焰の魔女』『紅玉の姫君』

『誤爆姫』『火精の加護』


 ******************


 ……どうしてこう、称号欄にはネタというか突っ込み所が用意されているのか。

 これを設定した神様を一度締め上げたい。


『………………ッ⁉︎』


 ……?どうかしたの?


『いいいいえ〜?べべべ別にぃ?なーんにもありませんよ〜?』


 ……冗談だから、普通にしてくれ。そうしなきゃ本当に締める。

 しかし……ふむ、これでティアが神様に関係のある存在である事は確定……と。


『あ……』


 別に深く問いただすつもりはないけど、いつかはゲロって貰うから覚悟してね?


『ふぁい……』


 話が脱線した。

 で、ステータスを見せてもらってからは明日の事を相談した。


「お互い初めて組むからね。明日は簡単な討伐系のクエストをやろうと思うんだけどいいかな?」

「いいですよ。それじゃあ、いつ頃酒場に行きます?」

「そうだね〜日の出が四時くらいだから……六時くらいに下に行こうか」


 どうやら、この世界の時間の概念は僕らの世界と大体同じらしい。

 今度、一月が何日かとかも調べないといけないな。


「わかりました。明日六時に下に集合ですね」

「お願いねー。私寝むいからもう寝るね?おやすみ〜」


 返事をする間もなくベッドに入り込み、すぐに寝息が聞こえてきた。

 早くないか⁉︎


『凄い寝つきの良さですね。それはそうと、私たちも早く寝ましょう』


 ティアに急かされるように寝る準備を始める。

 服は学校の制服のままだが、この世界には便利な事に、浄化の魔法で肉体の汚れも臭いも服の汚れその他諸々全てが消し去れるらしい。

 一般人は魔術が使えないので水浴びなどで清潔にしているらしい。

 セレーネが浄化の魔術を使えたので、全身にかけて貰った。

 うーん……身体に疲労は溜まってるけど、眠気がないんだよなぁ。






 異世界に来て二回目の夜。

 窓から射す月光だけが、静まり返った室内を照らす。

 セレーネはあれからずっと身じろぎもせずに寝ている。

 少し怖い。


『何を考えてるんですか?明日は雑魚相手とはいえ討伐のクエストです。夜更かしし過ぎると後で痛い目見ますよ?』


 ティアが頭の中で話しかけてくる。

 僕の視界の先には、空中を漂うティアの姿を捉えている。

 ゆらゆらと漂う銀髪が、月光を透して輝く。

 僕だけにしか見えない、銀の精霊だ。


『何か、私に聞きたい事でもあるんですか?』


 僕が返事を返さないのを焦ったく思ったのか、質問を重ねてくる。

 思考を読めばいいのに、僕が嫌がるからと、僕が思考をオープンにしている時以外全然読まないのだ。

 全く、いつもの態度に反してとても律儀な神様だ。

 お礼と言うわけじゃないけど、少しはやり方が理解できた念話で今後は話そうかな。

 早速、返事をしてみよう。


『いや、まぁ聞きたいことは沢山あるけど今じゃなくていいよ。考えていたのは、あっちの世界のことだよ。姉さんやセツさんたちは元気かなってさ』


 ちゃんと伝わってるかな?


『あ……』


 ティアが申し訳なさそうな顔をする。

 伝わってるみたいだけど、返事を間違えたか。

 ……一度、ハッキリと言っておいた方がいいかも。


『あのね、ティア。今回のことは気にする必要なんかないんだよ。例えあそこでティアと関わらなくても、黒い裂け目に吸い込まれていただろうしね。そんなことより、僕としては両親の友人を見捨てることの方が重い問題だよ。あの時話しかけてよかったと、今でも思ってる。そうじゃなかったら、たぶんティアはあそこで死んでいたと思うんだ』


 力もなく、無言で肯定するティア。

 うーん、この空気を変えたい。


『そういえば、ティアは父さんと母さんの二人にいつ出会ったの?』

『ナガレとリーナにですか?そうですねぇ……リーナは聖女だったので、よく念話で会話してましたね。お告げのついでって感じでしたが。ナガレに関しては、この世界に来た時に出会いました。あと、ユキノも一緒でしたよ』


 え、ユキノ……って雪乃さんか⁉︎

 劇的な出会いって……異世界でってことかよ。そりゃあ確かに劇的だけどさ


『そうか……父さんたちはこの世界で出逢ったのか。ちょっとだけ、この世界を見てみたくなったよ』

『……そう言ってくれて嬉しいですよ』


 ティアが嬉しそうに微笑む。

 うん、やっぱり悲しい顔は似合わないよね。

 あ、一つ気になってたんだけどそれを聞くいい機会だな。


『気になってたんだけどさ、どうして僕レベル13なのにあんな補正がつくのさ?ティアの基礎能力が高いって言われたらそれまでだけど……』

『それは私にもわかりません。私と魂を繋いだことで、私のステータスの20%分は補正が付きますが……それでもあんなアホみたいな数字にはならない筈です。おそらく、別の称号が関係しているのだと思います』


 うーん……称号に関しては全部が怪しく感じるなぁ。

 たぶん、神殺しか始祖の血族とかいうのが関係してるんだろうけど……深く考えるのは止めよう。

 それに、そろそろいい時間だし、少し眠くなってきたかな。

 まだ、もっと話したかったけど仕方ない。また明日にしよう。


『ふぁふ……少し眠くなったから寝るよ』

『それがいいでしょうね。明日は少し大変でしょうから、ゆっくり休んで下さいね』

『うん、おやすみ』

『おやすみなさい、ミナト』


 ティアの優しい気配に包まれて、僕は眠りについた。








 起きた時、身体に疲れは微塵も残っていなかった。けれど外の様子を見る限り、まだ日の出より少し前だ。

 最近、短時間で疲労とかが回復するようになってきた気がする。


『起きましたか。少し早いですが、よく眠れました?』


 ティアはあれからずっと僕の側にいたらしい。

寝たときと殆ど変わらない姿で僕を見ていた。


『眠気も身体の怠さも無し。問題はないよ』

『そうですか。では、もう少ししたらセレーネも起こして下に行きましょうか』


 それまではどうしようか……

 あ、そうだ!

『僕に付与した『天眼』ってやつの説明してもらうの忘れてた。説明お願い』

『あ、そう言えばそうでしたね。えーっとですね……天眼というのは、読んで字の如く天の瞳です。天上の瞳は世の全てを見透かす力です。その力を使えば、建物の内部構造なんて全てわかります。また、俯瞰視点的に見えるので戦場で指揮を執る時にも使えます。右目に魔力を流せば勝手に発動しますよ。それと、天眼を使うと目がほんのりと光るんです。魔眼と思われると変な好事家とかが抉り取ろうとしますから、眼帯か何かで隠してください』

『怖いなぁ……了解』


 さてさて……布はどうやって調達しようかね。





 眼帯のことは置いておき、天眼の細かい使い方を教えてもらっていたらいい時間になった。

 なのでセレーネを起こして、今は一階のギルドカウンターの前にいる。

 受付嬢のレイニーに軽く挨拶をして、酒場の壁に掛けられている掲示板を見る。

 基本的にこの掲示板に貼り出されたクエストを選択していくようだ。


「うーむ……君がレベル13だからなぁ。やっぱりミリムとかの討伐は物足りないよね?」


 ちなみに、ミリムというのはこの世界でのスライムの名称だ。

 ゴブリンやオーク等のように変わらないものもいれば、スライムのように違う名前になっている物もある


「まぁねぇ」

「うーん……じゃあこのゴブリン三十体の討伐とかどう?ここから割と行った先にある森の中が指定場所。私は火の魔術が得意だから制限がかかるけど、ミナトがイケるなら受けてもいいと思って」


 まぁそれくらいなら問題なく出来るだろう。

 別に一人で全部狩れと言われても可能だろうけど。


「じゃあそれにしよう」

「うん、じゃあ手続きしてくるから。終わったら早速行こう」


 さて……どこまで本気を出せばいいのやら。

 あ、街を出る前にセレーネに適当な布を買ってくれと頼んでみようかな?






 セレーネは「ここから割と行った先にある森」と言っていた。

 せいぜい一時間程歩く程度だと思ってたよ。

 現実は、ミレットの街から馬車で一日かかる場所だった。

 行商人の馬車で近くまで来てから歩いて来たが、これを「割と行った先」としか表現しないのは如何なものか。


「さぁて、それじゃあお仕事開始だね!」


 疑問はスルーですかそうですか。

 そうそう、結局布はセレーネが買ってくれた。

 上質な物ではないが、それなりに肌触りのいい黒い布だ。


『まぁ気にしてもしかたないですね。切り替えていきましょう』


「仕事やるのはいいけど、このまま無策に突っ込んでも袋叩きに遭うだけだと思うんだ」


 魔術で数体ずつ炙り出すとか、何かいい案はないだろうか。

 そう考えていると、セレーネが自信に満ちた声で言った。


「策じゃないけど、案ならあるよ。君の勘の良さを使って倒していこう!」


 なぜ他力本願なのに自信満々なのか。

 それに、それは案とは言わない。


「別にいいけどさ……外れても文句言わないでね?」

「いやいや、ここまでで魔物を視認する前に何体来るとか種類は何だとか正確に言い当ててたんだから外すとは思えないなぁ」


 お判りとは思うが、勘の良さとはマップの事だ。

 さすがにそのまま説明する訳にもいかないので、勘と言い張っている。


「もう……取り敢えずこの付近にいるであろうゴブリンを……って、あれ?」


 マップを見ると、森の中に生物の反応が無い。

 森の中も建物等と同じように、通常ならただ「森」としか表示されない。

 しかし、どのような生き物がいるか程度はわかるはずなのだ。

 なのに、今は一切の生命反応がない。

 これは……おかしい。

 ゴブリンが居ないってことよりも、どうして生き物そのものの反応が無いんだ?


『天眼を発動し、もっと細かく見てください。これはかなりマズイ異常事態だと思います』

『了解』


「……セレーネ、森に入るの少し待って」

「え、どうして?」

「ごめん、理由はもう少ししたら説明するから、今は待って。もしかしたら全力で魔術を使ってもらうかもしれないから、いつでも詠唱に入れるようにしておいて」


 今はまだこれくらいしか指示が出せない。

 セレーネに細かく説明するのはもう少し状況を理解してからにしよう。

 眼帯を指でそっと抑えながら、ゆっくりと丁寧に魔力を右目に注ぐ。

 天眼、発動!!






 天眼を発動した時の僕の視界は、テレビ画面で例えれば、画面を分割して同じ景色を上空からと通常視点からに分けて表示される感じだ。

 しかも、天眼の方が圧倒的に情報量が多くて両目の間で物凄い差が出来ている。

 これは大変気持ちが悪い。

 しかし、そんなに余裕はないので気持ち悪さを我慢してマップを確認する。

 僕らのいる位置から森の奥、森の中心辺りに異常に巨大な黒い塊を見つけた。

 天眼で、そいつのステータスを隅々まで探る。


 ******************


 虚人

 Lv.?????

 HP:測定不能

 MP:測定不能


 STR:測定不能

 DEX:測定不能

 VIT:測定不能

 INT:測定不能

 MND:測定不能

 LUK:測定不能


 技能:表示不能


 称号:表示不能


 ******************


 ……見た時、開いた口が塞がらなかった。

 なんなんだこの意味不明なステータスは!

 これはクエストどころじゃない。

 マップには黒い点で表示されている。

 これは能力に差があり過ぎる時の表示の筈だ。

 街に戻って報告しなきゃ、最悪街が滅びかねない。


「セレーネ、一度引く!デカいやつ一撃かまして逃げるよ!!」

「ええっ!?急になんなのよもうっ!」

「愚痴言う暇は無い!この森の奥にヤバイ奴が居るんだ!何も考えずに詠唱短めで可能な限り高威力のやつを至急頼む!」

「〜〜っわかった!全力全開行くよ!!」


 セレーネが詠唱には入った。

 僕も心剣を出現させて、全力で魔力を込める。

 そしたら勝手に口が動き始めた。

 え、何事!?


『世界の根源たる火よ、我が魔力を喰らい敵を焼滅させよ!』

 《我が心はあらゆる希望を以て、あらゆる絶望を払う光なり!》


 ほぼ同時に詠唱が進行する。

 案外息ピッタリだ。


「森の奥深く、ここから真っ直ぐ一キロ先にブチかまして!!」

「わかった!」


『其は偉大なる破壊の徴なり!!』

 《気高き白き華よ咲き誇れ!!》


『ーー煌焔爆裂ーー!!』

 《ーー白天乱華ーー!!》


 僕からは、花びらの形をした魔力を飛び散らしながら飛んでいく無数の白い斬撃が、セレーネからは小さな太陽の様に輝く炎の塊が、木々を焼き尽くしたり斬り飛ばして行きながら森の中心に飛んでいく。

 木を吹き飛ばすのダメって言われたばかりな気がするが、死ぬよりマシだ。


 ッドォォォーーーン!!!


 着弾の爆発が収まり、視界が土煙で覆われる。

 天眼でヤツのステータスを再確認する。


 ******************


 虚人

 Lv.?????

 HP:????????/測定不能

 MP:測定不能


 STR:測定不能

 DEX:測定不能

 VIT:測定不能

 INT:測定不能

 MND:測定不能

 LUK:測定不能


 技能:表示不能


 称号:表示不能


 ******************


 全然視えない……!!

 どうして何も視えないんだ!?


『それは恐らくですが、能力に差があり過ぎるせいだと思います。確かに貴方は、私と魂を繋げて通常の人間より遥かに高い能力を得ています。が、繋げているのはほんの一部だけなんです。だから、神によって創り出された存在などはまだ視えない』


ステータスがある程度でもわからなきゃ、あんなのを相手に出来ない。


『クソッ!それじゃあいつを倒すのは無理ってこと?』

『いえ、方法はあります。ですが今は逃げて下さい!ヤツがこちらの存在に気づきました!案外先ほどの攻撃はイイ線いってたかもしれません!』


 なんだよ微妙に嬉しくない!

 ていうかヤバイ逃げなきゃ!ーーって!?


「何やってんのセレーネ!逃げないと死ぬよ!?」

「……魔力使い果たして動けなくなっちゃった」


 セレーネがうつ伏せで倒れていた。

 全力でとは言ったけど後先考えてよ!?


『早くしないとあの虚人が来ちゃいますよ!?』


 こっちを顔らしき何かがジッと見つめてる!?

 うわぁぁー!マズイよ!

 もう抱えていくしかない!

 例えここが馬車で一日かかったとしても、僕の身体強化ですぐに街に着く!


「セレーネ、文句は後で聞くから!」

「ええっ!?ちょっと!」


 セレーネをお姫様抱っこして、全力の身体強化で走る。

 虚人はこちらを見つめているだけで何もしてこなかった。

 お陰でなんとか逃げ出せた。

 車なんかより速度が出ていたから、街にはものの数分で着いた。

 セレーネを見るとグッタリしている。

 ……セレーネは、おそらく人生で初めて体験したであろう超高速度に気を失っていたのだった。

ここから先、少しシリアスになるかも?


批判応援その他含めた感想、お待ちしております。

お読みいただきありがとうございます!

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