第十三話~プチ謁見と、女神の教会~
異様にキリが良かったので、ここで切らして貰いました。
次回の投稿は、7/1金曜の、21時です。
僕が三徹して死にかけた夜から翌朝、国王、王妃、お姫様の三人と面会する日が来た。
メイドさんに案内されて通された部屋を見渡す。
部屋は僕の泊まっている部屋と大きさは同じくらいで、とても謁見する様な場所には思えない。王様たちに付いているお付きの人もガルディスさんと、少し年老いた宰相っぽい人くらいだ。
王様たちはソファに座り、臣下の2人はその背後に立っている感じだ。
「よく来たな、渡り人よ。さぁ、座るが良い」
王様が開口一番に、威圧と共に言い放った。一国を束ねる王だけあって、凄い威圧だ。しかし……はて、何か怒られる様な事したっけ?
『お姫様を誑かしおって! ……的な怒りじゃないですか?』
『応答:それ以外にも、王城の壁を盛大に壊したり、庭園にクレーターを作ったり……怒られる事案には事欠かないと思いますが?』
なるほど……それは怒られても仕方ないかなぁ。謝らないけどね。
「では、御言葉に甘えて失礼します」
用意された椅子は、なんだかとても柔らかく、気持ち良かった。何で出来てるとか、どう装飾がとか理解出来ないけど。
椅子の感触を楽しんでいると、王様が切り出した。
「さて、では今回余が其方を此処に呼んだ理由から話すとしよう。と言っても、そんなに多くないのだ」
「はぁ……」
「貴様、王に対して不敬であろう」
僕の態度が気に入らないのか、後ろに控えている宰相っぽい人が静かに怒ってきた。
「良いのだフェルゴー。この者は渡り人。此方の世界での礼儀等知らぬのは当たり前であろう? 多少の無礼くらい許せ」
「む……失礼いたしました」
王様が即座に宰相――フェルゴーさんに注意をする。有難い事だ。
「で、結局僕は何故此処に呼ばれたんですか?」
「うむ。それなのだが……結局の所、其方とアルミナはどういった関係なのであろうか? それによって余のする事も変わるのだが」
結局それが理由か……まぁ予想してたけどさ。
僕がお姫様に視線を向けると、お姫様は期待を持った目で僕を見つめ返してくる。ふむ……
「お姫様とは、良き友人としてお付き合いさせて頂いてましたね。まぁここ一ヶ月程の話ですが」
「ほう? 其方、余の娘を捕まえて唯の友人と申すか。ん?」
王様がメンチを切る様に顔を近づけてガンを飛ばしてくる。
この人面倒臭いなー。
僕が顔に1発入れるのを必死に耐えていると、王妃様が凄くいい笑顔で王様の首を掴み、叱り始めた。
「旦那様?いい加減本題に入って頂けますか?渡り人様も困っていらっしゃいますし、私たちも暇ではないので」
「うむ……分かった。分かったから首から手を離して貰えんか?苦しい」
威厳の欠片も感じられなくなるような会話だが、必死に崩れそうな顔の表情を保つ。でないと今度こそ不敬罪で切り捨て御免だ。
王様が居住まいを正して、改めて僕に向き直る。先程のように威厳を放つが、あまり感じられない。
「それで、本題なのだが……其方らを襲った、あの黒い男。アレは其方が原因で呼び込まれた者か、というのと、其方の目的は何だ?というのが聞きたくて呼んだのだ」
ああ、あの男と僕の目的が本題なのか。言うのは簡単だけど、お姫様が僕の事を何処まで王様に言ってるか分からないし、どう言ったもんかねぇ……
僕の悩む顔から、何を悩んでいるのか察したらしいお姫様が、助け船を出してくれた。いや、助け船になるのかどうかはあまり微妙だけど。
「お父様、あの者は確かにミナト様が原因で現れました。しかし、ミナト様も予想外の襲撃だとお思いの筈です」
「ふむ……其方、何か悪い事でもしたのか?」
「した……と言うより、存在する事自体がたぶんこの世界にとっては悪い事なんじゃないですかねぇ」
王様の疑問に、正直に返す。神殺しの魔力は、例え封印していても害悪になるだろうし、虚無の神の標的がティアだし。
「だから、早く帰りたいんですよ。自分の世界に。僕自身の為にも、この世界の為にも。sれが僕の目的でもあります」
だから僕に関わってくれるな、放っといてくれ――暗にそう伝える為にこう言ったのだが、お姫様も王様も、理解はしても拒否の反応を示した。
「何で聞き入れてくれないかなぁ……」
「ミナト様にはまだ聞きたい事が沢山あります!」
「帰りたいという気持ちは理解出来るが、娘と余の信仰する女神がそう望んでいるからな……簡単に手放そうとは思えん」
テュルケーも絡んでるのか……
僕は頼みの綱の(勝手にそう思ってるだけだが)王妃様に救いの目を向ける。彼女なら、少なくとも王様たちの説得は出来る筈!
「良いのではないですか? テュルケー様が望まれているのであれば、世界に対して害悪になっているとは思えませんし。帰りたいという気持ちは、まぁ大事にしてあげたいとは思いますが」
この人も敵かっ!?
『逃げ場がありませんねぇ……これは、帰るのに相当時間が必要になるかもしれませんよ……』
『応答:今度あの女神を見かけたら、隅々まで解析して二度と顕現出来なくなるくらいボロボロに壊してやりましょうか?」
『……いいよ別に。虚無の神については協力しないと無理なのは分かってたし、それが終わっても解放されなければ僕の全力でこの国から逃げるだけだよ』
どうとでもなるから、この際どうでもいいや。別に考えるのが面倒になって投げ出した訳じゃないんだ。
「わかった……ええ、わかりましたよ。少なくとも当分は、この国から出ません。これでいいですか?」
「うむ」
「良いですよ。ついでに当分はここで生活なさったらどうですか? アルミナも喜びます」
王妃様の言葉に結局適当な理由を返せず、無期限でこの城に滞在する事になった。……どうしてこうなった!
異様に疲れた謁見の後、テュルケーに呼び出されたので、城の敷地内にある教会へと向かった。王都が大きい理由に、多分この王城の敷地の広さも関わっていそうなもんだ。王都の広さに圧倒はされるが、敵からの襲撃の時は守るの大変そうだな……
そんなことを考えていると、テュルケーが姿を現した。信者の人が見たら卒倒するんじゃないかな……?
ちなみに、ティアとメティスはお姫様と何か話があるようで、珍しく同行を拒否した。ティアは最近、ある程度まで魂が修復出来たからなのか、姿を表に出すことが多くなってきた。
『よく来てくれました……あの、ティア様は?』
「お姫様とお話があるから、ミナトだあけで行ってきてくれ……だってさ」
別にいいけど、話ってなんだろうか。
『そうですか……』
「で、僕に何の用なの?」
『用がなければ呼んではいけませんか?』
「帰る」
テュルケーのふざけた回答にイラッと来たので、身体を反転して出口に向かう。流石にふざけが過ぎたと思ったのか、すぐに謝ってきたけど。
『ごめんなさい……』
「いいから早く要件を言ってよ。僕眠いんだ」
先程の謁見は抑えていたが、いい加減眠くて沸点が下がってる。疲れが溜まって、そろそろ気が狂いそうだ。
僕の体調を何となく察したテュルケーは、教会の長椅子を指さしてこんなことを言った。
『なら、その椅子で仮眠をと取って下さい。ミナト様の体調が最優先です』
「いいのか? 用があるんじゃなかったのか?」
『まだ時間はありますし、問題ありません』
テュルケーの言葉に後押しされる形で、だんだん眠気が耐えられないほどに膨らんで来た。唯一の気がかりは、教会の椅子で寝るとか、いいのか? って事だったが、テュルケーに聞くと『ここは私の家でもあるんですから、私の好きなようにしていいんですっ』と言われてしまった。
それでもまだ、僕は結構不安だったけど、お許しが出て気が緩んだのかフラフラと椅子に向かい、腰かけて目を瞑った。直ぐに意識が闇に包まれていく。そして、全身が優しい何かに包まれていくのを感じながら、僕の意識は落ちた。
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