第十二話~城での一幕とメティスのお勉強タイム~
今回は微妙に区切りがよくない場所ばかりで、妙に短くなってしまいました。
多分次回は長くなります。多分……
次回の更新は遅めで、6/28の火曜、21時になります。
突然の襲撃者――グレイ=アルスターを撃退してから数時間。
近衛兵たちに自分とお姫様の関係を説明したり、事の経緯を説明したり、急に乗り込んで来た国王様が僕を全力で殴ってきたり(少し痛かった)、お返しに殴り返して喧嘩になったり、それを王妃様が王様をぶん殴って止めたりととても忙しかった。
お姫様の涙ながらの懇願と、王妃様の鶴の一声で僕の処分は保留。そして今日は王城でおとなしくしていてくれと言われてしまった。
と言う訳で、今僕は王城にある大浴場で寛いでいる。このままお泊りコースは面倒だが、この大浴場に入れた事は良かったかもしれない。
「あぁ~……温まるぅ~~~」
今日一日の疲れが溶け出していく様だ。はふぅ……
『いやー……今日はなんだか大変な一日でしたねぇ』
『戦慄:お風呂とは気持ちの良いものですね……』
何故か幻影体のティアやメティスも入っていた。別に裸体が見えてどうこうとか思はないけど。幻影体なのに疲れとか解けるのとか、疑問はあるけどそれよりも……君ら今回疲れる要素あった?
「基本戦ってたの僕だし、その後の説明とかも全部僕がやったじゃん……」
王様との殴り合いの時も『いいぞもっとやれーっ!』と煽っていたことは忘れてないぞ。
『いやー……すみません』
『応答:あの戦闘で我々の手助けは殆ど必要無かったでしょう。事後処理については申し訳なく思いますが、我々を認識出来る者は限られますので……この疲れは、まぁあのグレイ何某が現れたせいで溜まったようなものですから』
そういえばそんな奴もいたね。
「あいつ何しに来たんだろうねぇ?」
結局あいつは虚無の神様の手先でいいんだよね?
『さぁ……?正直わかんないです。まーどっちでも良いんじゃないですか?どのみちまた遭遇すれば戦闘になる気がしますし』
『同意:少々戦闘狂の気があったように思われます』
「……あいつ面倒くさいなぁ」
可能なら二度と関わり合いになりたくない。
『無理ですねー』
『同意:無理だと思います』
僕の人生に慈悲は無いんですかそーですか。
気持ちのいいお風呂を堪能した後、僕に与えられた部屋に向かう。てっきり牢屋にでもぶち込まれるかと思っていただけに、ちょっと安心した。王城だけに部屋の大きさも相当なもので、泊まっていた宿の三倍の広さがあった。
「この部屋広すぎるよね。一人じゃ持て余しちゃうよ」
『私たちが居たからじゃないんですか?お姫様が上手く伝えてくれたと思うんですが』
ティアが、そう自分の予想を伝えてくる。まぁ、二人の存在はいずれ王様たちには伝えたほうが良いとは思っていたけどさ。
「そういや、テュルケーどこ行ったの?」
『いえ……いつから居ないんでしたっけ?』
戦闘中は視界に映ってたし、庭園での王様との対立の時もいたと思うんだけど。
二人して首を傾げていると、メティスが答えてくれた。
『応答:彼女は、一度自分の領域に帰ったようです。なんでも、これからのことやマスターの処遇について考えて整理する必要があるらしく』
「もう何でもいいから早く帰してくれないかなぁ……」
虚無の神を倒せと言うならば、今すぐにでも倒しに行っているところだ。
『それは無理ですよ』
あっさりとティアに否定されて、きょとん……とする。
「何で無理なの?」
『そりゃ貴方、虚無の神は次元の狭間に居ますけど……あんなヤバい所にほいほい行ける訳無いでしょう。基本的にはその世界の主神たちで、狭間と繋がらないように封印しているんですよ』
何言ってんですかって顔で言われてしまった。……でもそれならおかしい部分がある。
「なら、どうして僕らはこの世界に跳ばされたのさ。繋がらないようにしてるんでしょ?」
『それは強制転移だからです。あの世界に、万が一、億が一、迷い込んだ存在がいたら強制的に何処かの世界に跳ばすようにしてるんですよ。全世界の神同士の協定で。一応、虚無の神を監視する神様数名で定期的に探しているそうです』
「そうなんだ……」
んじゃ、どうやって倒すんだ?虚無の神と直接相対しないと倒せないぞ?
『だから、他の神様に狭間の扉を開けてもらえるようにお願いしてるんじゃないですか?テュルケーが今いないのは多分その為でしょうし』
「じゃあ結果待ちなのか……暇だねぇ」
テュルケーが帰ってくるまで寝て居ようかなーと考えていたが、そこでメティスが声をかけてきた。……嫌な予感しかしない。
『応答:それでは魔術の勉強をしましょうか?理論とか全く理解していませんよね?』
「アッハイ」
結局そこからみっちり朝まで徹夜でお勉強タイムだった。藪蛇だったかな……
徹夜したのに、神殺しの特性で身体の限界超えても動けちゃうから「寝ます」とも言えず、眠気を隠しながらガルディスさんと立ち話をしている。
眠いよー体が問題なくても精神は休息を欲してるんだよー。
『泣き言言わないでくださいっ!完全にとばっちりで私まで徹夜ですよ!?私の睡眠帰して下さい!』
『無茶言わないでよ……グゥ、眠い』
『応答:二人ともだらしないですね。多少睡眠が無くても生きて行けるんですから頑張って下さい』
今メティスは世の中の企業戦士様たちの何人か敵に回したんじゃないだろうか?やだよ?報復に巻き込まれるの。
『応答:寝なくていいのはマスターとティアだけです。普通の人はしっかりと睡眠を取らなければ命に関わります』
『何で僕らは例外扱いなのさ……』
ほら、後ろでうんうんってティアも頷いてるよ?
『回答:マスターは神殺しの特性を持っているのですから問題ないでしょう。ティアは……そもそも人間じゃないので人間の常識で当てはめると失礼かな、と』
『!?』
ティアが何か喚いていたが、もう聞こえない振りをしよう。考えるのも疲れてきたし。
ガルディスさんに別れを告げて、僕は自分の部屋に戻った。ガルディスさんが何をしに来たかと言うと、この後の予定を伝えに来てくれたのだった。
話を要約するとこうである。
・王様たちの公務が忙しいので、面会は三日後になると言うこと
・テュルケーの神託により、僕「朝霧湊」の身柄は丁重に扱うことになったと言うこと
・お姫様は教会の司祭たちに説明をせねばならず、次に会えるのは面会の時であると言うこと
・この城は自由に散策して良いが、移動の際は部屋についているベルを鳴らし、護衛を連れていけとのこと
・他に何か困ったことがあれば、ベルを鳴らせば対応してくれるとのこと
この五つがガルディスさんからの伝言だった。ふむ……まぁ普通の対応かな?
『まぁそうですね。そんなことよりも、これで多少は時間が出来たんです。さぁ……寝ましょう!お願いですから寝させてください!!』
ティアが本気の視線で懇願してくる。威厳たっぷりで格好良さそうだが、言ってるも事そうだし、言う時の姿勢もベッドに寄りかかってで、ただただ情けなく感じる。
だが、その意見には賛成だ。今はただ心の安寧と身体の休息が――
『警告:言っておきますがマスターはまだ寝ちゃダメです』
「どうしてっ!?」
メティスの無慈悲な宣告に戦々恐々とする。まだ勉強するの……?
『応答:当然です。面会までにマスターの持つ膨大な魔術のうちの半分は使いこなせるようになって貰うつもりですから』
「………………………」
『応答:このまま面会まで休みなどありませんよ?』
「………ハイ」
この日、僕は人生で初めて三徹をした。
お読みいただきありがとうございます!




