第十一話〜襲撃者〜
嗚呼……改稿したい。
そう思わずにはいられないですこんばんは。
久しぶりの戦闘回で加減がわからず、なんか短くなってしまった感じが……
じ、時間が出来たら順次改稿したいと思ってるんです!本当なんですよー!
次回の更新は6/21日、火曜の21時です。
*6/19、前書きの誤字を修正しました。
煙の中から現れた男は僕らを一通り眺めて、僕とティアに視線を定めた。
僕らが沈黙している中、男が口を開く。
「宵天・ナハティアと守護者の少年だな?」
意外と渋い声だな……と無駄な感想を抱く。男は、僕と同じような黒いコートを羽織っていて顔はフードを被っていてよく見えない。ただ口元の肌は浅黒いし、フードの端から微かに銀髪が見えたりしている。
っと……こいつの観察も大事だけど、一応聞かれた事には答えないといけないな。嘘吐いてもいいけど、なんか確信持って聞いてる気がするから意味はなさそうだ。
「そうですけど。何か用ですか?」
「単刀直入に言おう……まず少年、君は死んでくれ。そして宵天をこちらに引き渡して貰おう。我が主がそうお望みだ」
初対面の人間に死ねって言われるほど悪い事した記憶無いんだけど……理不尽にも程がある。
よく分からんがあいつらの要求を呑む必要は無いな。お断りしよう。
「お断りです。死ぬ理由無いし、ティアを渡す理由も無い。欲しけりゃ本人が来て力尽くで奪え、と主とやらに伝えて貰えます?」
多少相手の主とやらを貶しつつ意思を伝える。これで逆上してくれれば殺り易いんだけどなぁ。
『殺す気満々なんですねぇ……過激なことで』
『だって放っといても害悪にしかならないでしょ。ついでに、この主って心当たりある?』
『どう考えても虚無の神でしょう。タイミング良いですし、なんだかんだで私に執着してるとこ変わってませんし』
成る程……じゃあ本格的に殺ってしまって構わんのか。じゃあ心剣出しておこう。
僕とティアの脳内相談をしてる間にあちらの意思も固まったのか、少しずつ魔力が溢れ出していく。
「フフフ……そう来るとは思っていたさ。では……本人では無いのは悪いが、部下であるこの私が、力尽くで奪っていくとしよう!《吹き荒べ――虚ノ風――!!》」
男が魔力を手に集め放射状に拡散させる。魔力によって発生した衝撃波は僕の結界を粉々に破壊した。
――嘘だろ!?神殺しの魔力で編んだ結界だぞっ!
『解析……報告:アレは虚無の神の魔力を乗せています。全てを飲み込む虚無の魔力は神殺しの魔力と特性が似ており、あらゆる物を消失させます。マスターの魔力特性が効き辛い唯一の敵と言えるでしょう』
「クソッごり押しで行けないってことかな!だが一発目はデカイぞ!!《我が心はあらゆる希望を以て、あらゆる絶望を払う光なり!気高き華よ咲き誇れ――白天乱華――!》」
男が結界を吹き飛ばした直後、最速で詠唱を完成させ最大威力で心剣の力を解放する。お姫様には悪いがこの部屋の壁をぶち破る勢いだ。
「ハッ!貴様の心剣の力……この程度か!!」
いつの間にか出現させていた赤黒い剣を使って白い剣閃を全ていなした男が挑発してくる。挑発に乗るつもりはないが、心剣を握り切り掛かる。
一合二合三合……休む間も無く斬り結ぶ。しかし、事態は進展しない。
「糞面倒臭いなこのおっさん!いい加減斃れろよ!《夜の帳よ優しく包め――宵闇之抱擁――!》」
『ちょっとそれ私の術じゃないですかーっ!』
これまでお姫様やテュルケーが動かなかったので、何かあってはマズイと思って結界を張った。あいつに一度破られたから油断は出来ないが無いよりましだ。
「他人の心配をしていて良いのか?」
男がそう忠告しながら突きを放ってくる。別に、まだこの程度なら問題は無い。これくらいなら、まだ目を瞑ってても対処できる。
「別に問題無いね。――メティス!」
『応答:了解です、マスター。――突風撃――!』
ここで、今まで詠唱に集中していて沈黙してたメティスが魔術を放つ。
「何っ!?――ッうぉぉぉーー……」
男は、最初の僕の一撃でだいぶ開放的になった壁から吹き飛んで行き、王城の庭の中心あたりに落ちていった。
魔術『突風撃』は、殺傷能力は低いが相手をかなりの距離吹き飛ばす事が出来る。戦闘場所を変えたい時は割と便利かもしれない。
さて仕切り直しだ――と思った所でガルディスさん以下近衛兵たちが部屋に雪崩れ込んで来た。ええ……?
「姫様!ご無事ですか!?」
「ガルディス!?ええ、ミナト様が守って下さいましたから」
「そうでしたか……。少年――いやミナト殿、感謝する。して、襲撃者は何処へ?」
「そこの崖から魔術で突き落として……あ、彼処にいるね」
男は王城の中心にある大きな庭園に着地していた。一応、ここの部屋からビル10階以上の高さはある筈なんだけどなぁ……。お、なんか身体強化でここまで跳んで来そうな気がする。是非とも進路上で潰そう。
「ガルディスさん、お姫様を下がらせて。僕はあれを倒して来るんで」
「は?あの、ミナト殿?」
「じゃー頼みましたからね。――ハッ!!」
相手の跳躍のタイミングに合わせてこちらも跳ぶ。そしてあの男の跳躍進路の途中に割り込む。そのまま腕を掲げ、ラリアットの姿勢を取る。この勢いでのラリアットは首の骨折るぞ!
「食らえぇぇーーーっ!
「何!――クペッ!?!?」
衝突した瞬間、ゴキンッ!という音が静かな庭園に響き渡った。
衝突したせいで勢いを無くした僕は、庭園に着地する。
男は背中から墜落していたが知ったことじゃ無い。
『うわぁ……アレは痛い』
『唖然:マスター……』
『えっ?えっ?何が起きたんですか?ナハティア様?』
「何か凄い音が聞こえたのですが……ミナト様はご無事でしょうか」
強化した聴力で反応が聴けたが……どうやらお姫様と一緒にテュルケーも下げられたようで、このショッキングなシーンは見てないみたいだ。うん、そっちの方がいいと思うな。
首折ったし墜落してから動かないし、殺ったかな?と思ったがそうは甘くなかった。
むくりと起きた男は頭に両手を当てて……折れた方向と逆の方に無理矢理動かして治そうとしていた。
「ガッ……グッ!………………フン!!」
バギン!!!
「おおう……」
首をはめ直して、復活してしまった。こいつ不死身なのか……
男は身体の調子を確かめるように少し動かすと、此方に向き直った。
「ううむ……思ったより強いな貴様。まさかあの様な倒され方をされるとは思わなんだ」
なんか敵に褒められてしまった。
「……まだやるのか?そうなったら次は本気で行くぞ」
「フム……いや、ここは一度退かせて貰おう。どうやら邪魔者が入りそうだ」
男が視線を向けた先を見ると、甲冑を着た騎士たちが大勢走ってくる所だった。
確かに……邪魔者だなぁ。
「はぁ……仕方ないな。良いよ分かった。ここはお互い退こう」
「賢明な判断を感謝しよう。時に少年。私の名はグレイ=アルスターだ。覚えておくが良い」
「何でだよ……」
「いずれわかるさ。では宵天・ナハティアの守護者たる少年よ、また会おう!」
「御断りだ!!!!」
好きなだけ喋って、あの男――グレイ=アルスターは忽然と姿を消した。何だったんだ本当に……
呆然と立っていると、後ろからティアが声をかけてきた。今回こいつとメティス殆ど表で戦わなかったなぁ……まぁいっか。
『お疲れ様ですミナトさん。カッコよかったですよー』
「ハイハイありがとーありがとー」
『褒めてあげたんですから素直に受け取って下さいよー』
「そんな事よりあの騎士たちに事情説明するのが面倒臭すぎて今すぐトンズラしたい。お姫様いる手前それが出来ないけど」
『慰労:お疲れ様ですマスター。説明は我々の方で……あ、出来ませんね見えないですし。頑張ってください』
「酷いなぁ……」
あの怖いおじさんたちにどう説明しようか……と悩みながらお姫様とテュルケーのいる場所へ向かうのだった。
お読みいただきありがとうございます!




