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第四話〜図書館での調べ物〜

途中熱出したけどなんとか……書き終えたと思いたい。

GW明けてから身体が怠くて仕方がないです。


次の更新は……5/17火曜の21時です。

 ルーフス(南区域)を歩き続けて数時間、ようやくアルブス(西区域)の目的地に着き、荷物を渡した。


「すまないねぇ……」

「いえいえ、気にしないでください。こういうのも仕事ですから」


 届け先のお爺さんにそう返す僕。

 話を聞くと依頼者はこのお爺さんの娘さんらしく、よくこうして贈り物をしているそうだ。


「それじゃあ、ありがとうね。これ、終了証明のサイン書いたから」


 お爺さんに依頼書の署名欄にサインを書いて貰った。


「あ、ありがとうございます。それでは失礼しますね」


 話もそこそこに切り上げて、アルブスの冒険者ギルドに向かう。

 ルーフスにあるギルドが本部らしく、アルブスのギルドはミレット等の物と規模は同じ程度だった。

 受付の女性に依頼完了を伝える。


「配達依頼、完了しました」

「ギルドカードと、依頼書を提示してください。……はい、大丈夫です。お疲れ様でした」

「あ〜ようやっと終わった……」


 普段なら言わないような呟きが、今回は口をついて出てしまった。

 まぁ何時間も人混みの中を歩き続けてたわけだし、これくらいは許してほしい。


「……そんなに疲れるような依頼でしたか?」

「ええそりゃもう。ルーフスからアルブスまで遠すぎますよ。たぶん6時間は歩いたんじゃないかな……」

「はい?」


 そう僕が返すと受付嬢は思わずといった感じで変な声を上げて、しまった!と口に手を当てている。

 僕……何かおかしなこと言ったかな?


「……あの、もしかして隣の区域から歩いてきたんですか?」

「そうだけど?」

「……うわぁ」


 受付嬢は額に手を当てて首を振る。

 え、何その反応。


「あの、転移門をお使いにならなかったんですか?」

「……何それ?」

「各区域の中心部と、大通りの中で何箇所か、あとはこのギルド内にある、結晶の形をした門ですよ」

「…………???」

「あーもう……アレですよアレ!あの壁の隅っこに置いてある人間大の白い塊のことです!」


 受付嬢が指差した先を見ると、確かに白い結晶が空間を浮遊し、そこの周囲からワラワラと冒険者が出てきたり消えたりしている。

 ……あんなの本部にあったっけ?


『ありましたよ?でも徒歩で行くって言うし、理由が地理を把握する為だーとかだったので、まぁいいかな?と。しかし気付いてなかったとは……」

『同意:まさか本当にそんな事があったとは思いませんでした』


 ティアとメティスに呆れた口調で言われて、流石にへこむ。

 うう……ごめん。

 しかし天眼で見た時あんなのあったっけかなぁ……


『ありました!天眼の俯瞰視点に頼り過ぎで、足元というか近くにあるものが見えなくなってます!気をつけてください』

『反省します……』


 僕が思考内でティアたちにお説教されている間も受付嬢は説明をしていた。

 ヤバイよ聞いてなかった。


「――ですから、冒険者は街にある結晶は全て無料で、自由に使えます。あと、あの結晶はこの王都にある結晶一部を除いて全て繋がっていますので、様々なところに転移できます。説明は以上です」


 ……うん、もう手遅れだったけど何とか重要そうな所は聞き逃さずに済んだようだ。


「ありがとう。次からはアレを使うようにするよ」

「そうして下さい。では、次のクエスト頑張ってくださいね」

「うんじゃあね」


 受付嬢をこれ以上拘束するわけにもいかないしキリもいいので、ここで会話を打ち切って離れる。

 さて、とりあえず次は情報収集しないとな。






 情報を集めるために、僕は今図書館に向かっている。

 図書館は一般人が唯一行ける王城付近の建物で、警備は凄く厳重だ。

 入るために入場審査が必要らしく、あまり長くはないが待つ必要があった。

 受付でギルドカードを見せた後、武器を預ける決まりになっていたが武器を持っておらず、「普段はどう戦っている」と問われたので「己の身体そのものが武器」と答えたら監視がついた。

 自分でもバカやったなとは思う。


『何してんですか大バカ』

『あの時は何故かああ答えるのが一番だと思っちゃったんだよ……』


 ティアに叱られながら本を探す。

 タイトルが見た事ない字で書かれているのに、その字の横に日本語が浮かんでいる。

 ……これ、海外の映像作品なんかの翻訳で出てくることあるけど、現実に出てくると気持ち悪いね。

 幾つか歴史に関する書籍を見つけたので、近くにある読書スペースで調べ始める。

 後ろでは騎士の男性が直立不動のままジッとこちらを注視している。

 やりにくいなぁ……






 調べ始めてから5時間程経った。

 本来の異世界言語の真上に浮かんで日本語訳が表示されるせいで読みにくかったが、何とか調べ物は進んでいた。

 と言ってもだいたいは、嘗て異世界から召喚された人間――後に神殺しとして覚醒する僕の父さんたちと、当時の六柱の戦争の話ばかりだった。


 本によれば、当時の主神六柱が世界の管理を怠り享楽に耽っていたのに激怒した一部の神たちが、神座から引きずり下ろすと決意。自分たちだけでは心許ない為、神に打ち勝つ事のできる英雄の素質のある者を探し、力を与えた。

 そして、人間・獣人・亜人・魔人・神の奇跡の同盟軍が誕生し、主神たちの世界に攻め込んだ。

 同盟軍に攻められた六柱たちも対抗して異世界の化物を召喚し、大戦争が起こった

 十年間続いた戦争は、世界を荒廃させ滅亡の一歩手前までになっていた。

 結果として六柱は四柱が消滅、二柱は行方不明として同盟軍の勝利で終わった。

 しかし、同盟軍の方も十何体もの神と数百万の人類を失い、当時最大の国・帝国も消滅した。

 それから、残った者たちのうちの十二の神が中心になり、時間をかけて世界を復興させ今に至る。



『この六柱ってティアだよね?呼ばれた化物ってのが父さん?』

『ええ、恐らくは。……まぁそんなことより過去に召喚された例は見つかりました?』

『……いや、まだ見つけてない。もう20冊も調べてるけど、どこにもそんな記録は無いんだ』


 もしかして、本当に召喚者は居ない?

 ……ダメだ、煮詰まってきたな。

 今日はここまでにしよう。

 どうせ時間もいい頃だし、夕飯でも食べに行くか。

 そう考えた僕は、監視の騎士と受付の人に挨拶をして図書館を後にした。

 近くにある酒屋のカウンターに座り、マスターに料理を頼む。


「注文は?」

「パンと……えっと……ルーメンシュルツ(コンソメスープ)?一つ」

「了解、まいど」


 異世界のメニューは本当に意味わからん読みだな……

 でも何で殆ど別言語なのにパンはパンで変わらないんだろう?

 そんなことを考えながら他の客の話を盗み聴く。

 ……有益な情報は無しか。

 というか隣の家の奥さんとのニャンニャンなんてこんな場所で大声で話してていいのか……?


「マスター!次、このシュベールアントプ(豚の煮込み)リルス()一つお願い」

「まいど!」


 あ、大声で自慢してた優男に筋骨隆々の強面のおっさんが近づいていく。

 あー、奥さんの夫かな?死んだな、あの優男。


『何益体もない事考えてるんですか?というか、さっきから頼み過ぎです!』

『だってお腹減ってたし……』

『擁護:まぁいいでしょう?今日は身体を動かして更に頭も酷使しましたし。それにこのくらい食べないと大きくなりませんよ』

『メティス!貴女はミナトのお母さんですか!?』

『応答:保護者代わりですし、間違いではありませんね』

『!?』


 メティスとティアが頭の中で言い争いを始めてしまった。

 他人の喧嘩が目の前で展開される事ほど煩わしい物もない。

 ご飯も不味くなる。


『うるさいよ二人とも。もう食べ終わったし、帰るから』

『ええ!?っていうか早い!もっと良く噛みなさい!』

『追求:貴女こそ母親のような事を言っているではないですか!貴女人の事言えないでしょう!』

『うるさいです!だいたい貴女は――』

『応答:なんですって!?それなら貴女は――』

『もう……本当……黙ってくれ』


 宿までの道を歩く途中、頭の中でキャンキャン騒ぐ女性二人の事を意識から逸らして現実逃避をする。

 悠久亭で晩ご飯が出るという事を思い出したのは、そんな時だった。

 宿のご飯の味は、女性二人が煩くて全然わからなかった。

お読みいただきありがとうございます!

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