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第三話〜これからの方針と王都のギルド〜

初っ端から謝罪で申し訳ないですが……すみません。

今回ちと短いです。

ですので、次回の更新には本編に加えて小話を入れたいと思います。

小話は、同じ王都の別視点のお話です。


次回の更新は、5/14土曜日、21時です。

 チンピラたちを追い払ってから少し経ち、強面店主に話しかけて店の中に入れて貰った。

 内装はログハウスのような落ち着いた雰囲気で、食事処も兼ねているのかカウンター席とテーブル席がある。

 何となく、全体的に建物の質が良かったので聴いてみたが、この宿の名前は「悠久亭」といい、五百年ほど前の国王が宿泊してたいそう気に入り、「何時までも存在してほしい」という願いを込めて名付けられたそうだ。

 小さい宿だがサービスの質は良く、王都でも有名な宿らしい。

 値段は、三食その他サービス付きで一泊銀貨20枚。

 他の平均的な宿が三食付き一泊銀貨5枚であることを考えると結構高いが、払えなくはないので遠慮なく泊まらせて貰う。

 十日分を纏めて支払い、あてがわれた部屋に行く。


『落ち着いたことだし、一度やる事を整理しようか』

『了解〜』

『応答:了解しました』


 僕、ティア、メティスの三人(?)で今後について話し合うことにした。






 帰還の方法を探すのが最終目的とは言え、どうやって探したものか。

 まず最初にティアに確認したのは、父さんたちと同じ方法で帰れないかという事だ。

 だがティアは『絶対に無理です』と断言した。

 理由を尋ねると、どうやら僕の母さんの神殺しで奪った能力が必要らしいのだ。

 その能力自体は「どのような場所からでも必ず目的地へと至る力」と少し地味な感じだが、世界の狭間を渡る際にこれ以上に最適な能力は無いらしい。


 と、いうわけで父さんたちは参考にならない。

 だから僕が気になったのは、ティアが居なくなってからの千年間の間に、僕のような異世界に来てしまった人間がいるかどうかだ。

 もし居たのなら、彼らの足跡を辿っていけば何か解るんじゃないだろうか。


『いいですね。一度、他に転移者が居たかどうかを調べるのはいい案だと思います』

『応答:賛成します。私の検索能力は、どうやらそんなに高くないようですし』

『おーけー。二人の賛同も得たし、方針は確定ね。じゃあ、ちょっと冒険者ギルドに行ってクエスト受けたら調べ始めようか』


 本当はすぐにでも調べたいが、ちょっとお金を貯めたい。

 今の所持金は全て、ミレットの街を守った報酬として貰ったお金だ。

 内容は、金貨20枚銀貨50枚。

 そこから宿代を引いた残りが、金貨18枚銀貨50枚

 まだまだお金は有るが、あって困る物ではないしアイテムストレージがあるので幾ら稼いでも仕舞う場所には困らない。

 それに情報料として使う可能性もある以上、最低でも金貨30枚は保持しておきたい。

 なので早速、王都の冒険者ギルドに向かった。






 王都のギルドに着いて、僕はおもわず呟く。


「デカイ……な」

『デカイですねぇ』

『反応:大きいです』


 そう、王都のギルドは途轍もなく大きかった。

 ちょっとした豪邸くらいはありそうだ。

 建物は地下一階、地上四階の全五階建て。

 中に入ると、一階にはギルドのカウンターと酒場があった。

 それはミレットでも同じだったが、二階以降が違った。

 二階はあらゆる支給品が売っている商店になっており、三階は会議室、四階は王国のギルド全てを束ねるギルド長たちの執務室になっているようだ。

 地下一階は倉庫になっているようで、かなりの広さがあった。

 しかし、この天眼はフロアの中身まである程度見えるのだから便利だ。

 プライバシーが皆無だね。

 ギルド長が秘書の女性のお尻撫でてるのまで丸見えだ。


『何見てんですか……どれどれ?』

『ティアだって見てるじゃないかー……うわぁ、お尻ガッツリ掴んで離してないぞ』

『ありゃもう痴漢のレベルを超えていますねぇ……次のステップへ行け!GO!』

『沈黙:………………』


 いやー眼福眼福。

 こんな事が出来るとは、天眼ってのは良いものだn――


『目がぁ!目がぁぁぁアバババ!?』

『何で私まで痛みが感じるんですかぁぁー!?イダダダダ!』

『応答:お仕置きです』


 どうやらメティスはこういうのは許さないらしい。

 残念だ……






 気を取り直して、酒場の壁に掛けてあるクエストボードに向かう。

 討伐系から人の手伝いなど、多種多様な依頼が貼ってある。

 さすが王都だ。

 ミレットの街の何倍も仕事がある。

 討伐系は無視して、ここはやはり街での依頼をやった方がいいだろう。


『どうしてですか?報酬なら討伐系の方が多いじゃないですか』

『王都の地理を把握する為にも、こういう依頼っていいと思うんだ。何が起こるかわからないしね』


 無いと思いたいが、王都を追われる身になったとしたら、地理の把握の有無は命を左右する問題になるだろう。

 入り口に張ってあった……あの網のような結界が、どういう意図のものなのかわからないが警戒した方がいいだろうし。

 そんな事を考えながら、クエストを吟味していく。

 ……この荷物配達系やるかな?

 早速クエストの紙をカウンターに持っていく。

 ギルドの受付には、これまた綺麗な女性たちが座っている。

 なんか……この世界は美少女とかが多い気がするんだよなぁ。

 そんな事を考えながら、一番近くにいた受付嬢に紙を渡す。


「こんにちは!この依頼を受けるのですか?」

「ええ、手続きをお願いします」

「それではギルドカードを提示して下さい」


 言われた通りに、ギルドカードを見せる。


「……はい。手続きが完了しました。荷物の配達クエスト、頑張って下さいね」


 営業スマイルで見送ってくれた受付嬢に会釈をしてギルドを出る

 さて……お仕事開始だ!






 ここで一つ、王都の構造を軽く説明しよう。

 大きな王城を中心に、貴族街、職人街、平民街の順に、身分毎に四つの区が存在する。

 さらに東西南北で街が別れており、平民街は王城に伸びる大通りで区分けしていおり、その大通りからあみだくじのように枝道が伸びており複雑な街を形成している。

 さらにそれぞれの区域には名前が付いており……

 東区域をカエルレウム

 西区域をアルブス

 北区域をアーテル

 南区域をルーフス

 と呼ぶそうだ。

 この名前はこの世界の主神十二柱の内の一柱、秩序と正義の女神「テュルケー」が使役する四体の聖獣の名前らしい。

 ……話が逸れたが、いくら広くても自分の住む区域での配達なら自分がやりゃいいのだから依頼など出さない。

 が、それが別区域になると話は別だ。

 まぁ何が言いたいかって言うと……とてつもなく王都が広いから荷物を届けるのも一苦労なのだ。


『ちょ……王都広すぎません?もう1時間くらい歩いてますけどまだ南区域出てないんですけど』

『こりゃー選択間違えたかなぁ……』


 ギルドを出た後、僕らは依頼者の元に行って荷物を受け取った。

 ひと抱えの大きな木箱だが、まぁアイテムストレージがあるので問題にはならなかった。

 地理把握も兼ねて……とゆっくり周囲を見ながら歩いていたのだが、いつまで経っても隣の区域に着かない。

 マップのお陰で迷路のような路地を迷うことはないが、あまり時間をかけ過ぎるのも問題だ。

 ちなみに、冒険者ギルドは僕らのいる南区域に本拠地があり他の区域には支部が置いてあるようだ。

 一つの街に支部が複数とかおかしいと思うが、この広さなら納得だ。

 ちなみに依頼の報告はどこの支部でやってもちゃんと処理されるようだ。


『屋根の上歩いていけば楽なんですけどねぇ。直線距離で行けるじゃないですか』

『そんな事したら大騒ぎだろ。絶対やらないからな』


 ティアの阿呆な提案を一蹴しながら、隣の区域へと歩く。

 途中、露店で食事を摘み食いをしたりして散歩気分だったが中々キツイクエストだ。


(今日はこれだけで終わるかもしれない……)


 そんな不安に駆られながら、少し早足で目的地へと向かうのだった。

お読みいただきありがとうございます!

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