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奴隷でもチートを目指す  作者: sterl
一章 勇者召喚→奴隷
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8話 希望を持って、殺意を研く

「さぁて、みなさん。初めての仕事の、成果報告をしてもらいましょうか」


「お前ら並べ!」


 デブ男がいつの間にか連れてきていた鞭を腰に引っ提げた男達の一人の声で、俺達はそれぞれ鉱石を持ってデブ男の前に並ぶ。


 俺達はみんな俯いている。俺達は痛みを知った、絶望を知った、憎悪を知った、殺意を知った、……自身の無力を、知った。


「おや? 魔鉱石が無いじゃないですか」


「どれが魔鉱石かなんて解らねぇよ! どれが魔鉱石か教えてくれてもいいじゃないか!」


「うるさいですよ。魔鉱石が無かったのは事実です。……連れていきなさい」


「了解!」


 鞭を腰に提げた男達が、列の先頭に並んでいたマッチョ男を引き摺って連れていく。


「次、連れていきなさい。次、連れていきなさい。次……おや? お前は魔鉱石が有りますね、それも……二個、ですか」


「うっし。……俺は、お前の支配から絶対に逃れるからな」


「せいぜい頑張りなさい。次」


 次々とマッチョ男達が連れていかれる中、マッチョ1号は魔鉱石を持っていた。デブ男が魔鉱石として手に取った物は、ただの石ころに見える何かだった。


 今俺の持っている鉱石の中に、ただの石ころに見える鉱石は無い。俺の希望は潰えた。


「次、……お前ですよ? 早くしなさい」


 デブ男の前にある、石の台の上に持っている鉱石を並べていく。俺の服は貴重だからと言う理由だけで奪われ、三個しか持つことは出来なかった。


「……お前、これを、どこで見つけたのです?」


 デブ男が示したのは、俺が2つだけ見付けた、太陽に照らすと虹色に光る銀色の石だった。


「掘ったら出てきた」


「そう、ですか。その様子だとこの鉱石を知らないようですねぇ。ついでですし、お前らも聞きなさい! この銀の石は、魔銀石。いわゆるミスリルの鉱石です。これを見付けた者には、魔鉱石5個分の評価をしましょう」


 良かった。俺の希望はまだ続くんだ。魔鉱石10個分。あと90個。奴隷王が来るまでに集めて、こいつの支配から抜けてやる。そして――。


「ワタシもここでこの鉱石が採れることは知りませんでした。褒美として、お前から奪った服を返して、いくつかの寝具を与えましょう。そこで待っていなさい。次」


 そして、こいつらを絶対、殺してやる。


『熟練度が一定に達しました。殺意を修得しました』

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