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チャラっ!

…………。何でだ!それらしい陣が一切見当たらねー!契約を強制解除する系の陣って普通要るだろ!?

文字書く道具作ったら並行してそれを消す道具も作り出すもんだろ!?

毒ガス兵器開発して解毒薬は開発し忘れてました。っんな事ありえねーだろ!


あれから最後まで本を見たが強制的に現状の契約を解除するものは無かった。何でだ?見落としか?

長く調べてたせいでもう夜が明けそうだ。


ちくしょう!…何でだ?…はっ、そうだ!脳内書記で記憶に検索かけりゃいいんだ。見落としの可能性があるからな。

最初からこうすりゃ良かった、無駄な時間使っちまったゾ。


「よし。【脳内書記】、隷属契約解除に関する記憶だ。出せ」



《誓約陣の誓約解除》

誓約陣による誓約の解除取消は誓約者全員の血液を触媒とした再誓約(前誓約を取り消すという誓約)、もしくは被誓約者の死ををもって解除される



「いや、そうじゃねー、通常の流れは大体分かってる。強制解除や、緊急解除の方法だ」



《誓約陣の誓約解除》 検索内容に近しい参考文献を表示


《誓約陣原典・前書き》

本書により誓約陣の深淵に至れる事を確約し原典の書き出しとする。

本書《以下、書》は現状でこの世界に存在する古今の誓約陣の紋様、及び効果を編集し記載するものである。

この書に記載…ウンタラカンタラ。

ーーーなんちゃって〜。あ〜もう面倒くさいから硬い文で書くのやめちゃう?

大体これって原典といえどもフェイクの飾り用だもんねー。マジ、だりぃ〜。

そもそもこの本を依頼した貴族だって、こうやって古代文字で書いてりゃ何書いてあったって分かりゃしないって。ははは、ウケる。


あっ!いやいや、コレをちゃんと読んでる人はガッカリしないで、【原典】ってのは本当だからさ。俺、ちゃんとした誓約陣描けるしね。ラッキーだったね君!

ただ、古代当時に書かれた書物は中々手に入らなくてね〜。で、こうやって俺がフェイク物を作ってるって訳っ。つまりこれは見た目だけ古ぼかした近年の物って事。ははは、騙されちゃった?


いや、俺だってこんな事したくないよ〜、でも本業のトレジャーハントに行くにも要り用でさ。

……ウンタラカンタラ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


何だこのチャラい文章は…。

一瞬、【脳内書記】が喋り出したのかと思ったがこいつには意志や人格なんてものはねーしな。オレの中にある記憶を検索して表示するだけだ。


どうやら飛ばし読みしてちゃんと見てなかった前半部分の文章のようだ。こんな事書いてあったのか…。

しかし…コイツ。ダラダラと殆んど愚痴が書いてある。しかも文章がチャラいゾ、女子高生か!


で、コレが表示されるって事はこの文の中に契約解除に関係する事が書いてあんのか?

…もうなんか読みたくねーけど。


やれやれ。…ん!?この辺か?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


……って訳でさ俺は言ってやったんだよ「大人になれよ」ってさ。どう?カッコイイっしょ。

ははは、大分ページも埋まってきたね。

もうちょっと書いたらそれらしくなって前書きを終われそう。頑張ったね俺!


大体さ〜前書きなんて要らなくない?陣とその注釈書いてる時はそこそこ面白かったんだけどね〜。こんな文字ばっか書いてると、もはや作業と化してくるね。

まぁ、せっかくだから誓約陣についてちょっと語っとこうか。


この誓約陣ってさ魔力的な力で約束を強制させられるってトコはかなり有用なんだけどさ〜。ちょっと問題有り、なんだよね〜。ここ、チェックだよ、チェック!テストに出るよ。


まず問題点その1、使える陣が少ない!


誓約陣の利点って約束を強制・・させられるってトコだろ?

隷属系はいいとしても主従系とかはさ普通に王や領主や雇い主、そんな上に立つような人は誓約陣なんて使わなくても従わせれるもんね〜。


主従関係を結んで、いう事きいてればお金だって貰えるしね。

それに誰だって権力者に逆らって痛い目にあったり殺されたりしたくないしさ。今俺がこうやって本を書いてるのもそう。お金欲しい〜。


もしかして誓約陣を発明して使ってた者達ってよっぽど従順さが無かったり、誰にも頼らなくても生きていけるくらい個人能力高かったのかな?でもそんな人ばかりじゃないよね?


もしくは痛いのも殺されるのも平気…ってそんな事ないよね?そんな人がいるとしたら………マゾ?


ああ、あと契約系のお互いに約束するヤツ!これっ、これこそ使わないっての。

この相互誓約ってのも、破った場合のペナルティが例にもれず【死】なんだよ?おかしくない?

他のと違って【相互】って所が、大・問・題〜!


上下関係が無いのにお互いに約束させる。その時に命まで賭ける奴、もしくは賭けさせられる状況なんてあるかな!?お互い50:50フィフティフィフティの関係なのに命まで賭けるんなら約束しなくな〜い?アンビリーバボって感じ。


オマケにこの系統の陣には【お互いの命が尽きる時には共に死ぬ】って陣があって、何の為の陣?ってハテナが止まんないっての。

何でも遺跡で仕入れた知識によると三割国みかつくにで義兄弟の契りを交わす時に使ったって記述があったけど、生まれた時は違えども死ぬる時は…。みたいな?そんなの嘘くさ〜。


だってさ、誓約した相手が寿命で死んだり事故で死んじゃう事もあるじゃん!っていうか寿命に関したらかなりの高確率で人それぞれだろう?こんな陣、使われたと思えないよね〜。基本、誓約陣って誓約者全員の血液が無いと解除出来ないしねっ。


あっ、それも疑問なんだよね〜、解除の件。ここ、問題点2ね。

いやさぁ、何か誓約陣って全般的に相手が先に死んじゃう可能性を見落としてない?いや、マジで。

どの誓約も相手に先に死なれると解除不可能になっちゃうんだよね〜。みんな気を付けてね〜。


まぁ、うっかりで間違った誓約しちゃった人なんかは相手に頼んで解除して貰えばいいし、無理やり誓約させられたなら…あっ、これは隷属系の誓約だったらもう詰んでるね。ははは。そういうのマジ勘弁って感じ。あははは〜。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


成る程、確かにここに解答が書いてあったね脳内書記!強制解除の方法なんてねーって答えがな!!

誰だ、この出来損ないの陣術作った奴!どこのうっかりさんだーーーーーーーーーー!!!!


ったく、これじゃ独力での解除は絶望的じゃねーか!クソったれ!ヒゲ野郎の血を手に入れるにもオレじゃ傷付けられねーしよ。

いっその事、ババァに精液搾り取らせてくるか?いや…ブルブル。そりゃダメだ。


コン!コン!コン!


「あんた達、入るよ。早く服を着な!」


「ん?ババァか?ああ、もう朝になっちまったのか…ってか服なら着てるゾ!何を想像してるんだ!!」


ババァがそ〜っと覗きながらドアを開けてくる。違うっつってんだろ。


「ふぅ…。何だい、坊やは終わったらさっさと服着て寝ちまうタイプかい…」

「違うわ!いやっ、ていうか何もねーつってんだ!」

「あっ、お館様。おはようございます!」


アリムが慌てて起き出し、立って挨拶する。

ババァはババァで、【いや、良いんだよ。疲れてんだろ?】みたいな生暖かい目で頷いてる。

おいコラ、サムズアップしてんじゃねー。…アリム、同じく親指立てて答えるんじゃありません。


「何だ、もうダンジョン探索の奴等が来たのか?」

「いいや、まだこんな早くに貴族様は起きてもいないだろうねぇ」

「じゃ何だってんだ?」

「衣装合わせしなきゃ、みっともない格好で出す訳にはいかないさね」

「ああ、なんか言ってたなそういや」

「そうさ、だから早く着いておいで」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ババァに誘われて普段は使っていない大部屋に通される。

そこには簡素な長机が幾つか並べられその上に色々な衣服が置かれていた。


また着せ替え人形されんのか…。ここにいる間、何度となくババァの着せ替え人形にされた覚えがある。

他の奴隷を使えばいいのにと何度も思ったが、ここには何故だか少年の奴隷はオレ一人だ。その所為もあってよくババァ趣味の坊ちゃんぽい服を着せられてた。楽しのかこれ?


よく着せられる服は良く言えば貴族然とした立派な、悪く言えばボンボンっぽい服が大概だ。概ね動きにくいので好きじゃない。

今回もまたいつもの感じか?と思い並んだ服を見回すと、何だか記憶に引っかかる服が目に入った。


「ん?これって…」

「ああ、やっと出来てきたんさね。初日にオーダーしてた坊やの注文の品さ」


たしかあの時に好きなデザインで注文しろってんで、前合わせの和風っぽい服を頼んだ覚えがあるな…。
















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