表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/50

アリムどんな子?

「フハハハハッ、フハーハッハッハーーーーー!」


クロウだゾ。今の高笑い?何となくだゾ。

いや何かオレの出番が久しぶりのような気がしてよ。ちょっとしたアピールだ。


たぶん、これはただの勘だがこの間までジュウロウがお話ししてた気がする。そしてつまんなかった気がする。

だってそうだろ?あいつはそもそも人間がつまんねー奴だからな。なんて言うか普通!いたって普通!悪い奴じゃねーんだけど人間性に華がねーんだよな。


やっぱよ。人生なんてパッと咲いてパッと散る、そんな桜の花みてーのがスカッとするだろ?

オレなんて今、奴隷になっちまってるけどそんな環境すらちょっと面白ぇかな?とか思っちゃってますから。


……すまん、嘘ついた。奴隷は嫌だ。

今はババアも無茶な事を命令してきたりしねーけど、今後どうなっていくか分かんねー。しつけ期間が終わってヒゲ王に引き渡された後とかな。


考えてもみろよ。現代日本に生きてて奴隷って立場なんて理解出来ねーだろうけど、他人の命令に絶対服従なんてありえねーだろ?

勿論、会社勤めすりゃ上司の指示にゃ従わなきゃいけねーし、学校でも先生の言う事を聞かねぇとダメだろうよ。

でもよ、それって絶対って訳じゃねーだろ?会社で上司の指示に逆らっちゃ出世しにくいとか、社長に逆らったらクビになるとかあってもよ、リスクさえ背負えば自分の好きに出来るじゃねーか。


それが奴隷の場合、背負うリスクがでかすぎるゾ。ちょっと逆らったら痛い目にあわされる、最後まで逆らってたら背負うリスクは【死】だからな。


オレは自由を愛する男だ!絶対にこの隷属契約を解除させてやるーーー!


「誰と話してるんですか?ご主人様」

「うおっ!ビックリした、アリムかよ」

「ええ、ずっと同じ部屋で居ましたが?」

「!?っていうか別に誰とも話しなんかしてねーゾ。心の声だゾ!何で分かんだよ!?」


「いえ…なんとなく誰かとお話ししているような気がしまして。口に出していなくても主人の望む事を察するのが奴隷の嗜みですから」


そうだった、帰ってからすぐにババアからアリムを丸投げされてたんだった。っていうか、心まで読んじまうなんて【奴隷教養】か?あぶねースキルだ…。

それにあれからコイツずっとご主人様って呼びやがる。そもそも奴隷の奴隷って何だよ…。


今はオレが使ってた一人部屋でアリムも寝泊りしてる。オレの奴隷だから身の回りの世話とかさせろってことだ。…そりゃ良いんだけど部屋は別で良いだろ。

ここには一人部屋か大部屋しかないらしくて狭い部屋にベットをもう一個つっこまれた。


何か同じ部屋につっこまれた事に別の意図も感じるが…。アリムが部屋を移ってきたときに、ババアがアリムにサムズアップしてたのが気になる。

大方、夜のご奉仕でもさせて気に入らさせようってんだろうがな。


生憎と今のオレは子供だし、…にしてもおかしいな?この性欲のなさ。中身はおっさんだぞ?

それにアリムだってかなりの美形で、どっちかといえばモロにタイプだ。


こいつの容姿だが髪はショートボブっていうのかな、深めの色の茶髪でふわふわしてる。光の加減で薄赤く出る艶が良い髪質をあらわしてる。

顔立ちは【目が印象的】とか【口元が…】なんていう特徴はなく、全てが一級品のパーツで組み合わせたような作りだ。モデルやアイドルに多いタイプじゃないな、国民的美少女コンテストとかで選ばれそうな欠点のない可愛さだ。


んん?全部が整ってんのかと思ったらそうでもねーな。口元の斜め下のアゴに小さなホクロがある。

でもそれが逆に魅力を増してるのかもな、完璧に均整がとれた顔に落ち着きを与えてるようだゾ。

人って人形みたいな完璧に整った顔には忌避感を感じるらしいからな。

あ〜、そういや人気若手女優のあの子に似てるなぁ…何て名前だっけな?ほらあの朝の連ドラで主役より人気出ちゃった…CMにも一杯出てる…う〜ん忘れた。まっいいか。


んで、スタイルの方は盗賊との戦闘時に確認済みだが、ぽよぽよと肉感はあるのに引き締まるところは締まってる抜群のプロポーションだ。グラビアアイドルみたいだゾ。


はっきりいってこんな据膳に食いつかなきゃ男の恥。…でもな〜、ムラっとこねーんだよ何でか。

そうだ!脳内書記で何か分かんねーか?…えっと、オレの性欲についてかな?



《クロウの性欲》肉体が生殖可能な状態にないため性的欲求は無い



んん?要するに、まだお子ちゃまだからそんな気が起きないって事でいいのか?

…待てよ、生殖可能な状態じゃねーのは今だけか?オレって不老不死だろ!?ずっと子供のままで、ずっと不能なんじゃねーだろな!?



《種族ヴァンパイア・ストライクの成長》

不老のヴァンパイア族の中でも限りなく不死に近いストライク種は、それ故に成長速度が遅く生殖可能年齢に達しても交配による母体の受精率が極めて低い



おぅっふ。あぶねー。成長速度は遅いが一応大人になるみてぇだし、そのうち生殖行動自体は問題無く出来そうだ。

そりゃそうか、成人するまでは老いてるんじゃ無く成長してんだから不老不死は関係ねーわな。

ヴァンパイアだってどっかで突然湧いて出る訳じゃなし、子供期もあれば成人期もあるだろ。


ふー。焦ったゾ。男として終わるとこだった。

しかし人間の時はこのくらいの年齢には【おっぱい】とか【スカートめくり】とか興味あったような気がするんだが…ヴァンパイアは何歳でそんな欲求が出てくんだ?



《種族ヴァンパイア・ストライクの生殖可能年齢》

転生後から今までの成長速度を目安に試算する生殖可能時期は、約100年後と予測される



あ〜、なんだ100年後か……。


「なっ、何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーー!!!」

「きゃっ、どうされたんですか!?ご主人様、大丈夫ですか!?」


「ええっ!?どういう事だ。じゃぁなにか?向こう100年ずっと子供のままだってのかぁーーー!?

Hエッチなんてそのうち出来るようになりゃいつでもいいが子供の体で100年も、っってふざけんな!!待ってられるかーーー!!うがぁぁぁーーーーー!!!」


「ごっ、ご主人様。何があったんですか!?大丈夫ですか!?」


「はぁ、はぁ…。くそっ!ゴンベイめ、絶対・・に仕返ししてやる!オレは決めた、奴への復讐を人生の目標にしてやるかんな!」


「えっ?誰かに復讐するのですか?ご主人様がそう決めたのならば私もお手伝いします!何でもお申し付け下さい」


え?ああ、アリムか。ショックで周りが見えてなかった、そういや100年も不能なんじゃコイツにナンダカンダ・・・・・・出来んのもそれ以降か…。

んん?っていうかその頃はアリムも、もうババアもいいとこ…っていうか死んでんじゃねーか。全然、価値無ぇー。


いや待てよ。こいつも人族じゃねーし、シアンスロープ…だっけか?獣人なら2〜300年くらい生きるのか?それならまだ値打ちが…。


「おいっ、お前。シアンスロープだっけか?獣人の寿命ってどのくらいだ?」


「え?寿命…ですか?ああ、復讐には時間がかかるのですね。ご安心下さい、獣人は寿命こそ人族に比べ50年前後と短いですが代わりに生涯にわたり肉体的には全盛期が続ます。ですので復讐が何十年とかかろうと決して足手まといにはなりませんので。それに…そのぅ……のご奉仕の方でもご主人様に長年喜んで頂けるかと…」


「50年……」

「あっ、いえ。私は人族との混血ですのでもう少し生きると思います。……でっ、ですが先祖返りで獣人の血が色濃く出ている方ですし、肉体的には長く全盛期をキープ出来ると思います!大丈夫です!」


何が大丈夫なのか分かんねーが、とりあえずコイツがオレにとって無価値なのが分かった。

混血だから50年より長生きしたところで精々6〜70年だろう。その頃オレは全盛の不能だゾ。

身の回りの事や料理だってオレは自分でも出来る。別にコイツいらねー。


いや、でもババアに言っても返品出来そうにねーしなぁ…。


身の回りの事は自分で出来るっていっても、誰かにやらせればその分楽できるのは違いないしな…。

その辺にコイツの価値を見出して折り合いつけるか?


「なぁ、お前って何が得意なんだ?身の回りの世話用って言ってもここ2〜3日、何もして貰ってねーしな」


「はっ、いっ、今からですか?分かりました」

「ん?……っち、違うわ!何、おもむろに服を脱ぎ出してんだ!!」

「?いえ、でもさっき何もしてないからお世話をせよと…」

「他にあんだろーが!そういうのはいいって言ってんだろ!」

「???」

「何を可愛く小首かしげてんだ!お前の頭の中はそれだけか!?」


そういえば同室になった初日から、やたらとソッチの世話ばかりしようとしてたな。

ここ何日かもそんな気分じゃねーって言って断ってたが、気分だけじゃなく能力的にも不能なら全然そっちは必要ねー。

しかし……不能だとは口が裂けても言えねー。オレの中の男がそれを言っちゃオシメーヨと語りかけてる。

幸い今は子供の体だから名実共に言い訳は立つしな。


「そういう世話じゃなくて例えば掃除洗濯、片付けとか料理とかよ。色々あんだろ」


「あっ、お掃除は出来ます。でも…私がやると勢い余って物を壊してしまう事が多くて…それも沢山。…後、洗濯は洗濯物を破いてしまう事もあって……。か、片付けなども同様で……。あっ!お料理は得意です!硬い野菜などもサクサク切れますし、【よくそんな硬い骨をお肉ごと切れるね】って褒めてもらった事があります!ん〜?でも、味付けはさせてくれないんですよねぇ【アリムの味付けは死んだおばあちゃんに逢える】って言って。思い出の味って事でしょうか?懐かしくなっちゃうので私が味付けしない方が良いみたいです。ふふっ」


お前の味付けは殺人的に不味いって意味だろ…。

大体何で掃除してるだけで物が壊れまくるんだ!?力込め過ぎだろ。肉を骨ごと切るとか洗濯してるだけで破っちまうとか、お前は力士か!肉を骨ごと切って褒められるのは骨付カルビの下拵えの時くれーだゾ!

はぁはぁ…。ツッコミ疲れたわ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ