取り分
「どうも、前書き初めましてのジュウロウです。」
「オレもいるゾ」
「今回は初めて誤字脱字報告を頂いたお礼のご報告です。作者は極度の人見知りによりメール等で直接お返事出来ませんがちゃんと読んでるそうです」
「何だそりゃ、人見知りで連絡とれねークセに人からの意見や誤字報告は欲しいのかよ。」
「ちょっと兄貴だまってて、作者が拗ねて書かなくなったら兄貴も困るだろ」
「うっせー、そんなんで書かなくなるならやめちまえ!」
「さて、兄貴はほっといて。頂いた報告をみて誤字脱字の多さに作者もショックを受けていました。読者の皆さんもさぞ読みにくかったでしょう」
「まぁな、作者は小学校しか出てないから漢字とかサッパリだしな」
「義務教育くらい就業してるよ!適当に言わないでよ!…え〜さて、話しを戻しますが作者も誤字脱字修正に取り組んでいますが未だ完了していません。順次やっていきますので長い目で見てやって下さい」
「あいつまだ一話か二話ぐらいしか修正出来てな…もぎょもぎょ」
「はい、兄貴だまっててね。…以後もお気付きの点をお知らせ頂けると幸いです。では、本編をお楽しみ下さい」
事態を収束したオレ達は、盗賊達を縛りあげババアの前に整列させてるとこだった。
どいつもこいつもウンウン唸ってる。そりゃ痛ぇだろなバキバキだし。
「オラ!さっさとこっち来い」
「ああ、坊や。こっちに並ばせな」
「お館様こちらで宜しいでしょうか?」
オレと紀州犬っ子がグダグダの盗賊達を集めてまわる。ババアってお館様って呼ばれてんのな。
ちなみに御者の奴隷は怪我してて座り込んでる。
半ば集め終わったあたりで紀州犬っ子が盗賊頭に近付いた時それは起こった。
「この化物共がー!」
「キャアー!」
クソッ!こいつだけ傷が浅かったか?盗賊頭が手近の剣を拾って紀州犬っ子に斬り掛かった。
ガキン!
「ガキン!?」
「ひゃあ〜」
「何なんだ!?こいつも化物なのかよ!」
「オラー!眠ってろ!!」
ガスッ!
オレは軽くぶん殴って盗賊頭を静かにさせた。
それより「ガキン!」ってなんだ?人に斬り掛かった音じゃねーだろ。
剣で斬りつけられて「ひゃあ〜」じゃすまねーだろ、普通。
「おい、今のガキンってなんだ?どーなってんだ?」
「えっ!?何か固いものでも当たったんでしょうか?」
「んな訳あるか!お前、素っ裸同然じゃねーか!」
紀州犬っ子は破り取られたボロを拾って纏っていたが風呂上がり同然の格好だ。
こいつの影になってハッキリはしなかったが、盗賊頭は確実に斬り込んでたのに何でこいつ傷ひとつねーんだ?剣が当たる瞬間にあのガキンって音がしたゾ。
オレは紀州犬っ子に向けてステータス鑑定してみる。ほうほう、ステは中々じゃねーか。
ステータス (アリム)
種族 シアンスロープ・ミックス
ランク 売れ残り奴隷
HP150/150 , MP(0/100)/1
筋力:2.08 ,体力:2.06 ,敏捷:2.11 ,技量:0.12 ,魔力:0.08 ,魔術技量:0.03
《スキル》
鋼鉄の処女ー[ダメージ無効0/1]
奴隷教養:2.23
《耐性》
[物理耐性:2.09][痛覚耐性:1.88]
なんだか身体能力系の数値が全体に高いのは獣人だからか?常人の倍もある。
その割には技量は低いんだな。
それよりも「ガキン!」の原因だ。
奴隷教養ってのは一般教養の奴隷版?だろうから関係ねーな。《鋼鉄の処女》…これか、物理無効って書いてるしな。ステータスを詳しく見てみよう。
《鋼鉄の処女》
他者から吸収したMPが上限に達したときスキル発動条件をみたす。
MPを吸収?…そういやこいつの乳揉んだ盗賊共がみんなクタ〜ってなってたな。
ありゃMPが0になったときの症状だったのか。
オレはどうも無かったが、MP吸われても瞬時に回復してたからだな。
《ダメージ無効0/1》は見たまんまだな一回の制限をさっき使ったから0になってるゾ。
「ああ、そういう事か。なるほどな」
「え?何の事ですか」
「いや、お前のスキルの事だ」
「スキル?」
「アリム!怪我はないのかい?」
ババアのいた場所からは角度的に状況がよく見えたみたいで心配して近付いてきた。
やっぱり剣は紀州犬っ子にシッカリ当たってたが、スキルのおかげで無事なのが分かっていないようだ。
「ご心配かけました。何ともありません、お館様」
「何ともないってあんた、剣で切られてたよ!?」
「スキルの鋼鉄の処女が発動したからダメージ受けてねーゾ」
「「スキル?」」
「おう、こいつのスキルだ。なんだ?今まで使った事なかったのか?」
「アンタなに言ってんだい?スキルってのは魔術や隷属陣術みたいな特殊技能の事だよ。この子はスキルなんて持っちゃいないさ」
「は?ちゃんとこいつのステータスに出てんじゃねーか。名前アリム、売れ残り奴隷、所持スキルに奴隷教養と鋼鉄の処女ってよ。ババアも人身売買してるくれぇならステータス鑑定くらいしてんだろ?」
「うっ、売れ残り奴隷…」
「坊やステータス鑑定術が使えるのかい!?」
「いや、別に術じゃねーけど…」
「それに奴隷教養や何とかメイデンなんて聞いた事ないスキルだねえ。どんなスキルなんだい?」
「奴隷教養は奴隷に必要とされる教養、そのまんまだな…。鋼鉄の処女は人からMP吸収して一回だけダメージ無効にするみてぇだゾ」
「MPとは何なのですか?」
「ん?マジックポイントに決まってんだろ。ああ、この世界じゃ魔術ポイントか?」
「魔力総量の事かい?それも見えるのかい?」
「ああ、そう言うのか。ってか、自分のMPも見えないで今迄どうやって陣術使ってたんだ?限界が分かんねーとやりにくいだろ」
「隷属陣術なら確かに使い過ぎると目眩がするけど、自分が何回やれるかなんて普通は体で覚えるもんさね。それにステータスってのはいちいち魔道具を使わなきゃ見れやしないし、この子も買い手の前で何度も鑑定してるけどそんなスキルは見えた事ないよ」
「へ〜、じゃその道具が安モンだから見えねぇんじゃねー?別にオレは嘘なんてついてねぇゾ」
「別に坊やが嘘ついてるなんて言ってないさね。ただアタシの持ってる魔道具はこの国でもトップクラスの性能だし、これ以上の物は王宮で使ってるやつくらいだよ。それでも見れる内容は本名、それにハッキリしてる立場…アタシなら商人、あんた達なら奴隷ってね。あとはスキルくらいだけど、たとえこの子が奴隷の嗜みまでスキル化してたとしても見えやしないもんだよ」
「まっ、良かったじゃねーか詳しく分かって。そいつが売れ残ってんのもMP吸収が原因だろ?だったらお触り禁止奴隷として売り出すか、MP量の多い客に売れば問題ねーだろ。」
「そう簡単にはいかないさ、触ると呪いがあるのは元から分かってたさね。そもそも…」
ババアが言うにはそもそも触れない女奴隷に大枚だす客は居ねぇし、こいつには元がかかってるから安くは売れねー。
過去に城勤めの魔術師にもすすめた事があったが出戻ってきたらしい。
こりゃ不良在庫決定だな。
まぁ紀州犬っ子の事はさておき、取りあえず盗賊共をかたす事になった。
ーーーーーーーーーー
盗賊共をひと塊りに並べ順次ババアの前に突き出す。
ババアは馬車から取ってきたシートを拡げその上に一人づつ立たせる。
シートは皮製で出来た半畳程の大きさだ。巻いてあったそれを拡げると表面に陣が描かれている。
オレは脳内書記で自分に使われた隷属陣と照らし合わせたが少し違う部分があるようだ。城でやられた陣とは別モンだな…。
ババアは上に盗賊が立つとシートに向けて手をかざし力を込めていく。MPを込めてんのか?
シートの陣が光を放ち隷属契約が完了したようだ。
一人目が終れば次々と契約していくババア。あれ?結構MPが豊富にあるんだな。
オレの25しかないMPじゃ昼は一回しか出来ねーのによ。
ちょっとババアのステータスを覗いてみた。あれ?オレとそう変わらねー。
不思議に思い、陣を発動する最中もババアのステータスを見ていると一回で数ポイントしか減ってなかった。
なるほど、シートのような補助具を使うとMPがあんまりいらねーのか。
盗賊全員を契約したあとで、隣町でババアが仕入れてたポーションを使いそいつらの傷を治していく。もう逆らって襲ってくる危険もないしな、ギューがあるから。
ただの薬じゃなく魔法薬のようですごい勢いで骨折まで治ってた。
奴隷の御者もついでに飲ませてもらったようだゾ。
「おお!凄げー。骨折まで治ってるゾ」
「ああ、そりゃ上級ポーションだからねぇ。あんたがやり過ぎるおかげで大損だよ」
「何だ、その薬高いのか?なら使わなきゃいいじゃねーか。」
「どうやって町まで連れてくんだい。歩かせるにしても、こいつらの馬を使うにしてもさっきのままじゃ無理さね。まあ、こいつらが貯め込んだ財宝も少しあるから売り捌けば収支はトントンかねぇ。」
「トントンって、盗賊全員奴隷にして売るんなら殺られた数の倍もいるしそんな事ねーだろ?」
「盗賊あがりみたいな犯罪奴隷はねぇ、契約する時に《以後犯罪を犯す事を禁ずる》って制約項目を入れるのが決まりなのさ。そのせいで他の制約項目をつける数が減っちまってね、買い手には不人気で安いって訳さ。」
オレがやり過ぎるから薬代がかかったみてぇに言われた。
あれ以上どーやって手加減しろってんだ、本気でやったら峰打ちでも殴ったとこから千切れ飛んじまうってのによ。
それにしても隷属契約させるときに制約内容なんてあるんだな。てっきり絶対服従なんだと思ってたゾ。
あの感じだと制約させる項目数も2〜3個みてぇだな。
オレの場合どんな内容なんだ?ヒゲ王に危害を加えないだろ、それとヒゲ王の命令に従うだろ…あとは何だ?
「おい、ババア。オレについてる制約は何個あるんだ」
「またババア扱いになったのかい…まあいいさ。あんたの契約は王からの依頼で特別製だからねぇ…」
ババアが言うにはオレのは4つもついてるんだと。
普通は二つくらいにしないと陣を仕込むにも発動するにもMPがもたないらしい。あのときは城にいる魔術師達も手伝ってたんだとよ。
内容は主人に危害を加えない、主人の命令に従う、主人から逃亡しない、主人が指定した人間の命令に従うの4つだ。
最後の命令権を委託できる感じのはヒゲ王が部下に代わりをさせる為用のようだ、ババアは違う方法でギューをやってるらしい。
主人の命令に従うっていう一つだけで事足りそうだが、命令も恒久的に従わせる事まで出来ねーようだ。
それもそうだな、命令がずっと有効だと何回かやってくうちに自我のないロボットみてぇな人間になっちまってファジーな指示が通らなくなりそうだ。
ちなみに一般的につける制約で多いのは命令服従と逃亡防止らしい。
まあいいさ、もうじきババアに契約解除させるんだし関係ねー。
「そうだ、帰ったらちゃんと奴隷契約解除しろよな!」
「ああ、分かってるよ。商売人は約束を破っちゃおしまいだからねぇ」
「おお、分かってんじゃねーか。流石は生粋の商人だ。」
「あぁそうさ、だから坊やは解約に必要な王の血を用意するんだねぇ」
「は?そりゃババアが用意しろよ!オレはヒゲ王を傷つけらんねーだろが!」
「おや、主人の血が無けりゃ解約は出来ないよ。」
「約束がちがうゾ!ババアこの…」
「いいや、あの時に坊やが条件に出したのは奴隷契約を解除する事さね。ちゃんと解除してやるから血を持ってきなってんだよ。」
「それが出来ねーって言ってんだろが!」
「アタシゃあの時に解除には血が要るってちゃんと教えてあげただろ?さあ、ほら血をよこしな。フフフ」
「ババア!なに屏風のトラみてぇな事言ってやがんだ!お前がヒゲ王のとこ行って鼻血でも精液でもいいから搾り取ってこい!」
「精液ってねぇ、あんた…。そうだねぇこれでも若い頃はならした方だ、いっちょ搾り取ってみるかねぇ…」
「あ、いや。やっぱそれはいいや……」
「どういう意味だい!!」




