表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/50

呪い

ーーーーーーーーーーーーーー



クソッ!それにしても転生からこっちロクな目に遭わねー、思い起こせば転生直後には熊に頭吹き飛ばされるわ、夜以外は子供腕力だわ…。気が付きゃ奴隷にされてるし。

今は今で盗賊に攫われてる?波瀾万丈過ぎんだろ!橋田◯賀子のドラマか!?ひとつ問題が片付いたらまた次のトラブルに巻き込まれんのか!?

ははぁ〜ん、オレが子供だからだな?子役属性だからイジメに合って…、バカヤロ。


そんな益体も無いことを考えてる間も盗賊達は酒盛りで盛り上がっていた。

あらかた取り分の分配が終わった様で、余興とばかりに御者を的にしてナイフ投げなんかやっってる奴らがいる。


「ヒイィ!」

「おっしゃー!良いトコいっただろ、俺のが一番ギリギリ迄寄ったぞ。」

「バカ、まだナイフが拳ひとつ分は空いてんだろ?俺ならカスる迄やれんぞ、見てろよ〜。」


「ヒャッ!ギャーー!」

「あっ、こらまと!てめえが動くから外したじゃねえか!」

「ギャハハ!バーカ。こいつが動く前から足に当たってただろうが。ギャハハ。」


盗賊達は御者に投げたナイフがどれだけ近付くかを競っていたが、しまいに足に刺さってしまう。

御者は木の幹に後ろ手を回されて縛り付けられてるので、足から血を流しながらも動くことも出来ず唸っていた。


「おいおい、お前等。そいつは売り物にするんだ、あんま傷付けるんじゃねえ。」

「「「へーい。」」」


ナイフ投げをやってた奴らが盗賊の頭らしき奴に諌められて御者を木から外し手当てしてる。

服の上からただ汚い布を傷口に縛っただけだ。それ手当てって言うのか?


「お頭〜、こっちのガキとババアはどうするんで?」

「そうでさぁ、お頭。ガキはともかく、こんなババアは奴隷でも欲しがる奴ぁいませんぜ。」


「バカ野郎、その二人の身なりをよく見ろ!そんな良い服着てんのは貴族か大店の商人に決まってんだろ。身内に言伝てて身代金をガッポリ貰うのよ。グハッハ。」


「なるほどー。流石はかしらだ、そいじゃぁ殺しちまったたら勿体ねえな。」


「おう、身内の奴等が金を出し渋ったりしやがったらババアの指を一本ずつ送り付けてやりゃいい。グハッハハ。出せるだけ金を搾り取るまでは殺すんじゃねぇぞ。ガハハハ。」


「ヒャッハハハ。酷でぇな頭、結局殺すんじゃねぇか。ヒャッハハ。」


ったく…とんでもねー奴等だな、しかし婆ちゃんは何で止めんだ?こんな奴等すぐぶっ飛ばせんのによ。

今ならこっち側の人数も既に少ねぇから余裕で暴れられる、戦闘奴隷は全部殺された後だしな。

仮に御者がはずみで殺されたりしても被害としちゃ五十歩百歩だろ。


婆ちゃん位なら守りながらでも戦えるな。……そうか!こりゃチャンスだゾ。

ここで助ける代わりにオレの奴隷契約を婆ちゃんに解かせる様にさせよう。フハハ、いい考えだゾ。


オレは小声で婆ちゃんに話しかける。


「(おい、婆ちゃん。オレならコイツ等なんて余裕でやっつけれんゾ。)」

「(何言ってんだい、みの虫みたいにロープで縛られてんじゃないか。)」


そうだった、後ろ手に回した上に上半身をグルグルとロープで縛られてる。でも、こんなもん…。


ブチッ


ちょっと力を入れたら余裕で切れた。オレを縛っときたかったらワイヤーでも持ってこい。

おおっと、ロープが身体から外れたらバレちまう。まだ括られてるフリだけしとこう。


「(え!?どうやったんだい。縄抜けも出来んのかい?)」

「(いや、別に力ずくで引き千切っただけだけど。)」


「(…はぁ、ミッツ坊が入れ込んでる訳が分かったよ。こんなもんモンスターでも無けりゃ千切れやしないよ、普通は。)」


「(んで、どーすんだ?さっきやろうとしたら止めたろ、何んか策でもあんのか?無いならオレが片付けちまう事も出来んゾ。)」


「(別に策なんて何も無いさね、ただ剣の腕が立つだけの子供じゃ荷が重いと思って止めたのさ。変に逆らいやしなけりゃ直ぐには殺されたりしないからね。)」


「(そっか、じゃぁ助けてやる代わりに条件がある。オレの奴隷契約を解除しろ。)」


「(はっ!そんな条件は飲め無いねぇ。王との約定を違える事になっちまう、いくら昔馴染みでも刑は免れ無いさね。)」


「(死んじまうよりましだろが。)」


「(もういつお迎えが来てもおかしくない歳さね、刑罰云々はともかく商人の筋道はずしちまう方がよっぽど嫌だねぇ。)」


何なんだよこの婆ちゃん、不老不死のオレならいざ知らず普通死ぬのはやだろ?

よっぽど根性座ってんなこりゃ、条件飲ますのは無理かな…。


ん?今度は盗賊共あの売れ残りの子にちょっかい出し始めたゾ。おいおい、お前ら噛まれるゾ。


「お頭〜、この女なら構いやしねえでしょ。」

「バカッ、お前。一番槍はお頭に決まってんだろうが!」


「分かってんよそんな事ぁ、余興代わりに裸にでもひん剥きゃ面白れえだろ?構わねえでしょ、お頭ぁ!」


「グアッハハ!面白れえじゃねえか。やれやれ!グアッハハ。」


盗賊の頭が許可を出したので、下っ端が紀州犬の子を焚火の近くに引っ張り出して来る。ん?この子は縛られてねぇな。

女の力じゃ逃げようもねぇって事でそのままなのか?。じゃぁ子供のオレも縛んなよ。


盗賊達は口々に囃し立てて盛り上がっている。

余興案を出した下っ端が代表して服を剥ぎ取る様だ、紀州犬の子が着てんのは簡単な長袖ワンピースみたいな服だから剥ぐのは簡単だろう。


「ヒャッハー!野郎共お待たせしましたぜー、ショータイムだ!」

「ワッハハ!なに気取ってやがんだ。全然、お上品に喋れてねえぞー!ハハハ。」


盗賊のひん剥き係は周りを盛り上げる為に一気に剥ぎ取らず、ワンピースを下から捲り上げたり襟首を拡げて胸元を見せようとしたりして焦らしている。

しまいにはナイフを持ち出して服をチョイチョイ千切りとっては観客の盗賊達に放り投げてサービス?してる。嬉しいのかそれ?


服は所々千切られ、丈などはミニスカートみたいになってしまってる。いよいよ、肝心な所を剥ぎにかかるみてぇだ。

紀州犬がこんななってても婆ちゃんはピクリともしねー。まぁ、奴隷だし自分の娘でもあるまいしな。


そもそも、この後盗賊共に犯られちまおうがどっかの貴族に買われていって犯られよーが大した変わり無いしな。

紀州犬の子も嫌がってはいるが大きな悲鳴をあげる事もなく大きく抵抗していない。


もっと状況が悪くなりゃ婆ちゃんも折れて条件を飲むかもしれねーし、少し様子見だな。

まぁ、婆ちゃんが交渉に応じなくても犯られる前には助けてやるけどな。別に死ぬ訳じゃねーし、裸くらいは我慢して貰おう。


ちょっと婆ちゃんに揺さぶり入れてみるか…。


「(おい、婆ちゃん。条件が飲めねーってんならオレだけ逃げるからよ、残りの短い寿命を噛み締めてろよ。じゃあな。)」


「(ちょっと待ちな!あんたアタシだけで無くあの子も見捨てるってのかい、可哀想だとは思わないのかい!?)」


「(何を胡散臭いヒューマニズム出してんだ、可哀想だと思うんだったら奴隷になんかすんなっての!)」


「(好きで奴隷にゃなってなくても他に道が無い子だっているのさ、解放してやっても生きてく手が無けりゃ今の方がいくらかましさね。)」


「(オレは解放しても勝手に生きてくからさっさと解放しやがれ!そうすりゃあいつだって助けてやるよ。)」


「(それは出来ないって言ってるだろ!分かんない子だね!)」

「(分かんねーのはどっちだ!じゃあな、オレは一人で逃げるゾ。)」

「(待ちな!)」

「(グッ、くそババア。それすんじゃねー…)」


オレが本当に逃げ出すと思ったのかババアが例の心臓ギューをやってきた。きついバージョンのやつだ。

痛すぎて流石に動けねー。でも痛覚耐性もまた上がってきてんのかさっき程じゃねーな。


ババアとオレのやり取りをよそに剥ぎ取りショーは盛り上がってる。

とうとう全部取られちまった。ん?服の下には何も着けて無かったんだな、本当に素っ裸だ。


剥ぎ取り担当が奪い取った服を上に掲げて勝利の舞を踊ってる。バカかこいつ。

ほぅ、裸になるとスゲーいい体してんのが良く分かる。ムッチリとつくとこにはついて腰や足首なんかはスラット引き締まってる、グラビア体型だ。


剥ぎ取り担当が調子に乗ってチチでも揉んでやろうと手をワキワキさせて近付いて行く。


うむ、何故揉むのか?其れはそこにチチがあるからだ。どっかの偉い登山家も似た様な事を言っていた。


「ふっふふ、揉んじゃうぜ〜!」

「い、いや!」

「やれやれー!ヒュー!」

「ダメです!やめて下さい!」


微妙に間抜けな問答だ、ダメだと言われてやめると思ってるんだろうか?案の定盗賊は紀州犬っ子の言葉など無視して揉みにかかった。

そして次の瞬間、紀州犬っ子の言葉が違う意味だった事が分かる。


盗賊が紀州犬っ子の体に触れた直後ヒッ!っと言う短い悲鳴をあげて地べたに倒れ込んだ。

周りの奴等はその無様な姿を見て笑っている。


「ギャハハ!何やってんだお前!ガキみてえに鼻時でも出したのか〜!ギャハハハハハ!」


倒れ込んだ盗賊は大した事無かったのか半身を起こして頭をプルプル振っている。

中々立ち上がらない剥き係をよそに観客盗賊から一人出て来た。


「ヒャッハハ、俺が代わりにやってやるよー!ほーれ、モミモミ〜。」


ヒッ、ヒャ…


次の奴も同じ様に卒倒してしまった。そんな凄いのかそのオッパイ。

いや、冗談抜きに不自然過ぎる。流石に盗賊達も気付いたのかざわめき始めた。


「オイ、女!何しやがった!」

「魔術かなんか使いやがったのか!?」

「何言ってんだコイツの頭見ろよ!獣人混じりが魔術なんて使える訳が…」

「オウ!!お前ら、そこをどけ!!!」


見かねた盗賊の頭が出て来た。お前も揉むのか?

違うよな…。頭は、剣を抜き放って紀州犬っ子を威嚇する。


「オイ!女。舐めたまねしやがって、魔術かなんか知らねえが調子にのるな!!ぶっ殺してやる。」


おいおい、殺すって早計過ぎんだろ!?…そうか手下共がビビってるからここで頭が怖がってねーてとこ見せる為にも強行に出んのか?どっちにしてもヤバイ!


「(オイ!いいのかババア殺されそうだゾ!?)」

「(いい訳ないだろ!出来んならさっさと助けな!)」

「(じゃあオレを解放すんだな?)」

「(何でそうなるんだい!無理だって言ってるさね!)」


そうこうしている間に盗賊の頭は抜いた剣を振り上げてた。

まぁ、夜のオレならこんな距離あっという間に詰めれるから別に焦ってねーけどな。ここが話しの詰めどきだ。


「(坊や、早くしな!)」

「(じゃあ解放しやがれ!)」

「(解放するには主人側の血がいるんだよ!どだい今は無理さね!)」

「(なっ、…何なんだそりゃ…じゃあ戻ったら解放しろよ!)」

「(だから解放は無理だと言って…)」


あっ!ヤバイ流石にもう時間がねー。


「ババア!!後でちゃんと解放しろよ!!」


オレは全速力で盗賊頭と紀州犬っ子の間に走り込む。ふんっ、このタイミングでも余裕だな。

紀州犬っ子は剣にビビってしゃがみ込んでた、その間に入ったオレは丁度剣の軌道に入っちまうが逆に都合が良い。


盗賊頭が振り下ろす剣を素手で掴み取る。遅過ぎる剣撃なので自分の頭辺りに来た時に、ハエをつかむ様に窄めた三本指で刃の部分を掴んでやった。


盗賊頭はオレに剣を掴まれた事より、急に眼前に現れた様子に動揺してる様だ。

我に戻った盗賊頭は、掴まれた剣ごと押し込んでへし切ろうと力を込めるがビクともしてない。


掴んだ剣を取り上げようと引っ張ると盗賊頭は両手で掴んで抵抗するが、チョイと力を込めたら手からすっぽ抜ける様に外れた。

呆気に囚われる盗賊頭を尻目に、鉛筆を折る様に親指に力を入れてペキって剣を折ってやった。スゲ〜間抜けな顔でこっちを見てる。


「クッ、くそー。何なんだこのガキは!野郎共、ぼーっとしてねえで始末しろ!!」


盗賊頭は一歩下がって指示を出す。自分でやんねーのか?

頭から先に潰そうと盗賊頭に歩み寄る間に、右手から手下が切り込んできた。


「そんなトロくせー動きで当たるかよ!」


余裕で1mほどステップして躱したら、オロオロと見回したあと何を思ったか紀州犬っ子の方に標的を変えて切りかかった。


「げっ!危ねーぞ売れ残り!」


ダメだ、紀州犬っ子はしゃがみ込んでた状態から立ち上がろうとしているが自分が狙われてんのも気付いてねー。

オレは手下盗賊が切り伏せるより早く紀州犬っ子に近付き、立ち上がりかけの姿勢から尻を掴んで片手抱っこの状態で抱き上げて避けた。子供がコアラの様にしがみついてるアレだ。


掴んだ尻が思いの他柔らかく五本の指がフィットして沈み込んでいく。おおっ、ぷにょぷにょ。

抱き上げた姿勢は身長差の加減で丁度オレの顔の辺りに胸がくる、本来頭の上にきそうなもんだが紀州犬っ子が怖がって身を縮めるのでまともにパフパフの状態です。


「むふっが、オイ!邪魔だ、このデカイ乳をのけろ!見えねー。」

「ひゃん、そんな事言われても…はっ!それより触っても何とも無いんですか?早く離れないと…」


紀州犬っ子が何か言ってるが、また違う手下がここぞとばかりに切りかかって来てるのでそれどころじゃねー。

オレは紀州犬っ子を抱えたまま盗賊を迎撃するが視界が半分程になってスゲ〜見にくい。本当、邪魔だこの乳。


迎撃で蹴り飛ばした盗賊は手加減したにも関わらず、遠巻きの手下共の輪を割って吹っ飛んで行った。

土煙を上げて飛んでいくソイツを見て引き気味の手下共に盗賊頭がハッパをかける。


「一斉にかかればどうって事ねえ!行け!!」

「「「オウッ!」」」


今度は4〜5人で一斉に来たが別に数が増えたからってどうって事はねー。

最初の一人は剣を持った手を片手で捕まえて、振り回す様に地面に叩きつけてやったら動かなくなった。掴んでた方の腕がぶらーんってなって変な方向むいてる。


次の奴は足払いをしただけなのに触れた方の足が折れたみてぇで、ひっくり返ったまま呻いてる。

どうも加減が難しい、大分弱めにやっててコレじゃウッカリ殺しちまいそうだ。最初の奴、死んでねーかな?。


そうだ!ジュウロウが煩く言うから出来るだけ死なない様にやってたが、よく考えたらこんな奴等殺しちまっても構わねぇじゃねーか。


今までの奴等が一撃で返り討ちに遭ったので、他の盗賊達は掛かって来ずに距離を置いてる。

オレは面倒なので残りは斬っちまう事にしてアイテムボックスから刀を抜いた。片手で紀州犬っ子を抱えたままなので鞘は中に残しそのまま引き抜く。


カシッ、イィィィィィィィーーーーーーーーーーン


鍔鳴りの音に尚更ビビって固まる盗賊達を見回し、盗賊の頭に目標を定めて切り掛る。

既に斬る動作に入ったその時に予想外の声がかかった。


「殺すんじゃ無いよ!坊や!」

「うえっ!?くっ!」

「ぐぎゃ!」


何とか咄嗟に止めたが、オレの刀は盗賊頭の構えた剣を叩き折りそのまま肩口に軽く食い込んでた。


「何でダメなんだババア!この国じゃ盗賊殺しても罪になんのか!?」

「そいつらは連れて帰って奴隷にするんだよ!ウチもだいぶ殺られたから殺したら丸損だよ!」


またヒューマニズムかと思ったら生かして奴隷にした方が金になるらしい。

この状況で良く気が回るな…商魂逞しい。残った奴らは峰打ちで仕留めた。


峰打ちといえど金属でぶん殴るんだ、みんなボキボキになってた。まぁ自業自得だ。



ふぅー、やれやれだな。

然しこれでババアに奴隷解放させれるかもしれねぇ、言質が取れなかったのが痛いがババアは商人としてのプライドが高いタイプだ、理由もなく約束を反故にしたりしねーだろ。



フハハハ、帰りが楽しみだゾ。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ