第七話
彼女は博麗霊夢と言うここから少し離れた所にある博麗神社の巫女だと名乗った。連れているのは神社の近くに住んでいる妖精だそうだ。妖精って手のひらサイズと言うイメージがあるからちょっと信じられない。それを聞くと
「ああ、外来人はこいつらを見ると皆そう言いますね。まあこいつらとかが特別であって大抵の妖精はイメージどおり手のひらサイズですよ」との事らしい。なぜ妖精をつれているのかと聞くとどうやら宴会の幹事をするので買い物の荷物もちのために連れてきたらしい。
「桜も咲き始めたのでこれから散るまで毎日宴会ですよ。ところであなた達はこれからどうするんですか?このままここに住むなら知り合いを紹介しますけど」
「私たちは外の世界に戻るわ。ちょっとここは不便だから」
「そうですか。じゃあ買い物を手伝ってくれませんか?さすがにここまで来て神社に戻ってまた来るというのは面倒なので」
「ええ、もちろん」
大量の酒を持つのを手伝いながら(酒と肴以外はほとんど買っていなかった)里を歩いていると魔女としか言いようが無い格好をした少女が霊夢に話しかけてきた。
「よう、霊夢。今日の宴会の買い物か?」
「そうよ、魔理沙。そっちは?」
「暇だったからぶらついているだけだぜ。ああそうだ。聞いたか?昨日寺子屋の先生の体験した怪奇現象」
寺子屋の先生か。確か慧音さんがそうだったはず。
「今来たばかりだから聞いてないわね。でもあの人も思いっきり怪奇の一種よね。満月限定だけど」
え?
「まあ、そこはおいとこうぜ。昨日の夜、あの人が竹林の案内人に会いに行った帰りに外来人を二人保護したんだ。それで里に連れて来た。そしてふとそのうちの一人から目を離した瞬間、そいつの姿が消えたんだと。まあ当然探すと言う話になるよな。残ったもう一人と探し始めて、目を離した瞬間またもう一人が消えたんだ。それでかなりの時間探したらしいが結局二人は見つからなかったらしい」
思いっきり私たちのことだ。メリーの目を見ると同じ事を考えていることが分かった。無言で言わないことを提案するとすぐ頷き返してくれた。二人は話に夢中で気付いていない。
「一瞬で消えたとなると結界の外に出たって事よね。この辺は結界が安定しているはずだからちょっと有り得ないわね。」
「何かの拍子に緩んだって事はないのか?」
「だとしたら紫が私に言わないはずが……。よく考えたら言わないかも。今度聞いてみるわ」
「そうしてくれ。何かの拍子に出ちゃった、なんてしゃれにならないからな。ところでその見覚えの無い二人は外来人か?」
「そうよ。しかも最近珍しい帰還希望者」
「そりゃ確かに珍しいな。おっと、名乗るのが遅れた。私は霧雨魔理沙。見てのとおり魔法使いだ」
軽く自己紹介をして少し立ち話をした後、魔理沙と別れた。
「さてこれだけ買えばさすがに足りるわね。じゃあ帰りましょう」
「「「はーい」」」
「ねえいったいどれだけ宴会に来るの?買いすぎにも程があるでしょう」
「数はそれほどでもないんですけど皆大量に飲むのでこれぐらい無いと足りないんですよ」
「一回でこれだけを毎日!?絶対体に悪いわよ。というか死人が出るわよ」
「大丈夫ですよ。来るのはほとんど酒に強い妖怪とかですし」
「妖怪って危険なやつばかりだと思うのだけどあなたは大丈夫なの?」
「私は退治する力を持っているから普段から来ていても大丈夫ですよ。でも里の人たちは持っていないから何らかの行事をしないと来ないんですよね。おかげでお賽銭がほとんど入らないんですよ」
むしろ行事があれば来るんだ。
雑談をしていると人里の門に着いた。
「あら?」
そのとき霊夢は何かを見つけたようだ。
「珍しいわね。人里にくることがめったに無いのに」
「どうしたの?」
「迷いの竹林という場所の案内人がこっちに来ているんですよ。いったいどうしたのかしら?」
迷いの竹林の案内人ってまさか。霊夢の見ている方向を見るとそこには妹紅さんがいた。