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秘封倶楽部幻想郷活動録  作者: 東方と戦記もの好き
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第六話

「どうなっている?ちょっと目を離した隙に居なくなるなんて。」

 外来人を里に連れて来てもう安心だと思っていたのにいきなり消えるとは。いったい何が起こった?

「どうする?里をくまなく探すか?だがこうも完璧に痕跡を残さず消えれるのか?いや考えていても仕方ない。早く見つけ出さなければ。」

「慧音、どうした?そんなに慌てて。」

「ああ妹紅!あの二人が目を離したら消えてしまったんだ。」

「!あの時と同じか。」

 妹紅がかつて体験したことを話してくれた。今と同じようなものだったが問題は、

「三百年以上前!確かか、それは?」

「ああ、輝夜とのアレの後の事だ。お互い出会ったらやりあっていたころだから間違いない」

「信じられない話だな。だが今起こったこともまさにそれだ。とりあえず明日授業が終わり次第稗田家を訪ねる。そしてその資料を見せてもらおう。」

「私も同行させてもらう。」


「うーん、すごい夢見たわ。」

 メリーが見ている夢みたいに昔の日本みたいな世界の夢を見た。昨日その夢について雑談で話したからからだろうか。

「さて起きたし早速メリーに聞いてみましょ。」

 手早く着替えて朝食を作りにキッチンに行く。今日は私が朝食を作る日だからだ。昨日はご飯系だったので今日はパンとスープあと牛乳にする。全部合成食品を使ったものだけど。作り終わって後はテーブルに並べるだけになったときメリーが起きてきた。

「あっ、おはよう。今日は遅かったね。ところで、その抱えてる筍はどこから持ってきたの?」

「おはよう。これは昨日また夢の世界に行ったときに手に入れたの。何度出来ても驚きよね。本当に。」

「それって慧音さんが妹紅さんから渡されたやつ?」

「そうよ。それを知っているってことはあの蓮子は本物だったみたいね。」

「二人で同じ夢を見てたってことね。何でそんなことが出来る様になったのかしらね。まあ、考えても仕方ないわね。その筍は今晩の夕食にでもしましょ。」

「そうね、じゃあ、大学の後においしい調理法を探しましょう。と言っても今じゃめったに手に入らない高級食材のひとつだからあまり新しいレシピが見つからないのよね。」

「前と同じでいいでしょ。変な冒険して悲しいことになりたくないわ。」


 メリーの言う夢の世界とやらに行けたがそれですぐに生活が変わるという事は無かった。朝起きて朝食を食べ大学に行く。大学から帰ったら夕食を食べレポートや論文を書く。それを残念に思わないでもないけど変わらないことに安心感があった。

「さて今日と明日は早めに寝ないとね。眠たい目をこすりながら銃持って歩くなんて避けたいし。」

 明日は狩りのアルバイトの日だ。

「そうね。いい獲物が出てくるといいけど。」

「大丈夫だって。政府も食肉確保に躍起になっているんだから出ないところに連れて行くわけ無いわよ。実際何も取れなかったことの原因は単に銃の扱いが不慣れだったからということばっかりだったし。」

 第三次世界大戦で大打撃を受けた日本も各地の要所だけで言えばかなり復興している。最も打撃を受けたかつての首都の東京もさすがに戦前ほどではないが規模で言えば日本最大の都市として復活している。そうなるとどうしても今の生活、特に食に関して不満が出始める。まだ戦乱の最中だから、まだ復興できていないからという言葉では押さえきれないほどに。原因は魚など本物の食材が出回ることだ。合成食品は初期に比べて再現度は上がってはいるもののまだまだ本物には程遠い。いっそのこと合成食品のみに頼る食料体勢にしていれば不満は出なかったかもしれないが、戦前に放送された人間の魂すら数値化するとうたわれたシステムによって管理された未来の日本が舞台の某刑事もののアニメのように食糧生産施設へのテロ攻撃が日本に壊滅的な打撃を与える可能性がある。アニメでは他国から輸入できる見通しがあったようだが、今の情勢ではそれはまったく無い。そのため政府も合成食品だけに頼るわけにいかないのだ。そこで考え出されたのが野生動物の適度な駆除を名目にした狩りのアルバイトである。現在の日本は人口がかなり減ったため維持できなくなり、放棄された町が全国各地に多数ある。これらは難民や犯罪者の住居になる恐れがあるので徹底的に破壊された。その跡地はいまや草木が生え、それを食べる草食動物が多数生息している。

「熊はごめんだけど鹿とか猪とか出てくるとうれしいわね。あれのお肉はおいしいし。」

「大物だからバイト代も多いからね。でも鳥や兎もいいわよ。よく出るから手堅く稼げるし。」

 ちなみに獲物は運搬用無人機によって運ばれるので私たちでも大物を狩って持って帰れる。そうでもなければよっぽどの大人数でやるか、普段から体を鍛えている人でなければできないバイトになるだろう。

「じゃあおやすみ。」

「ええおやすみ。」


 ふと目を開けると

「うわっ、霊夢さん。外来人ですよ。」

「へー、外来人を見たことはあるけど現れるのを見るのは初めてね。あっ、あなた達は状況説明が要りますか?」

 三人の羽が生えた幼女を連れた巫女を思わせる服を着た少女が目の前に立っていた。あなた達と言っているからどうやらまた二人で来てしまったらしい。


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