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秘封倶楽部幻想郷活動録  作者: 東方と戦記もの好き
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第一話

 夢とは浅い眠りに陥るレム睡眠中に見るものだとされて、一般的にはノンレム睡眠中に見ないとされていた。しかしノンレム睡眠中でも見るという説に賛成する学者も多く、それについての研究も進められているが二十一世紀の後半に入っても人体の特に脳についての研究はまだまだ謎が多い。

 なぜこんなことを説明しているかというと私は、いや私たちは夢を見ているからだ。遠い昔の日本らしき世界の夢を。なぜこんなことになったか今日のことを振り返って考えてみる。


 私たちは京都のある大学の非公式サークルの一員である。といっても二人しかいないのだけど。私たちは大学の食堂で次回の旅行の予定について話し合っていた。

「ねえ、蓮子、次はどこに行く?」

 正面の席に座っている私の親友マエルベリー・ハーン通称メリーが聞いてくる。

「そうね、どこに行きましょうか。この前消えた守矢神社の跡地に行ったし、次に行くとしたら神隠しからの生還で有名な博霊神社とかかな。」

 私宇佐見蓮子はこれまでの活動を振り返りながら答える。

「ああ、あそこね。生還した人たちによると昔の日本みたいな世界から帰って来たらしいわね。食糧事情は昔と違っていいみたいだけど。まあ、そんな世界が本当にあるなら戦時中に生還したという話が全く無いのにも説明がつくわね。不便だけどこっちの世界よりは平和ということで残った人が続出したでしょうし。」

「単なる伝承だという見方も有るけど私たちにとってはそうじゃないわ。向こうでは頼りにしているわよ。あなたの目。」

 メリーには結界の境界が見える。それを利用すれば結界を見るだけではなく、もしかしたら結界の向こう側にもいけるかもしれない。

「まかせて。じゃあ次はお金の問題ね。この前の旅行で貯金はだいぶ消えちゃったし、また狩猟のアルバイトをしないといけないわね。」

「あとは食費の節約かなあ。となるとしばらく魚料理が食卓に並ぶわけか。はあ。」

「やっぱり魚は苦手?」

「魚自体は好きよ。ただ安い魚となるとどうしても日本海側で取れた魚しかないから。」

「相変わらず豊漁みたいだしね。でもそれ以外だと合成食品しかないわよ基本的に。」

「うーん、それは分かっているけどどうしても嫌悪感があるのよね。原因がよく分かっているから。」

 日本海側で取れた魚が嫌われる理由は現在の世界情勢を聞かないと分からないだろう。今は二十一世紀の後半に入ってかなりたつ時代。日本は再び鎖国状態になっていた。その原因は二十一世紀の前半に起きた第三次世界大戦が原因だ。(この時代戦時中は第三次世界大戦中、戦前はその前を指す)この大戦はその前の二つの大戦とは違う特徴を持っていた。第一次と第二次は有力な国家の陣営が他陣営と対立し、いくつかのきっかけや要因によって戦争になったものだが、第三次は違う。世界各地の国家同士、民族同士の対立などが同じ時期に戦争状態になったものだ。そのため日本では一応世界大戦は終わったとされているがまだ戦争状態になっている地域がいくつもある。その一つが旧中国、朝鮮半島地域だ。かつて三つの国があったその地域は現在大体八つの国が存在する。大体というのは国境線が不確定な上、どの国も人口が三千万人を下回ると他の国に吸収され、一億を超えると二つ以上に分裂するという状態を繰り返しているからだ。まさに戦国時代という状態のため当然難民も多い。彼らは安全に暮らせる場所にいこうとするが難民は安定の邪魔になるということで他の安定地域の国の実効境界線(軍事的、経済的な要因で実効支配できている地域の境界線、国境より各国の勢力を分かりやすく示せるのでこちらが採用された)を越える前に片っ端から『対処』されている。日本もそれを行っておりその結果日本海での漁は常に豊漁という結果をもたらしている。ただえさが何か周知の事実のため嫌われているが、合成食品が主食の今の時代、本物の食材を安く手に入れる方法の中では一番手間がかからないことから決して需要は低くない、むしろ高い。ちなみに他の方法は野菜の種や苗を購入し自分で育てること、メリーの言うような政府が主導している狩猟のアルバイトで何らかの動物を仕留めることで売ることが可能の肉類の配給申請券を手に入れることだ。ちなみに給料は別に出るが戦果なしだと両方もらえないなどかなり悲惨なことになる。

「とりあえず次の目的地は博麗神社やその周辺ね。じゃあアルバイトはお互い頑張るということで。」

「そうね。あっ、私は次の授業があるからここまでね。」

「私は図書館に寄って家に帰っているわ。」

 メリーとは専攻している分野が違うので今のように私には授業がまだあるがメリーには無い、あるいはその逆が時々起こる。私はメリーに別れを告げ食堂を出た。

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