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ゆがんだわっか

作者: 日和

2つの終着点。

ゆがんだわっか


キャスト

 美央 

 真希

 0.5ー小夜

 0ー優介 

 1 真琴

  ×

 1 波瑠

 0ー明菜

 0―翔太

 1ー幹斗

 φーネコ

 φーねこ


ねこ はーいっ!はろーんみなさん!司会のねこです。

ネコ ネコです。初めまして。

ねこ あ、そうだった!初めまして!

ネコ 夏期特別講義「実践恋愛学」へようこそ。…え?コスプレ?違いますよ!

ねこ 趣味です。

ネコ 違うよっ?!


猫  キシッ(善笑)


ねこ さておいて、始めましょう。

ネコ あ、講義の内容の説明がまだでしたね。…説明しよう!この講義では…


猫  皆さんに、実際に恋愛をしてもらいます。


派手めな音楽とともにキャスト紹介IN。猫は跳ね回ってはける。

美央、真希、小夜、優介、真琴、波瑠、明菜、幹斗は舞台上に。

けたたましい退席音がして、明転。


ネコ …ヨソウガイ、デス。

ねこ みんな帰っちゃったねー。

ネコ …なぜだ!

ねこ でもこれくらいが丁度いいんじゃない?

ネコ うーん、それもそうですね。こほん。改めまして、受講ありがとう

ございます。

ねこ さっそくですが資料を配りますー。


猫はプリントを配る。


優介 え?は、8単位?

ネコ はい。

明菜 うそぉ!

ネコ 本当です。

小夜 普通の講義の4倍…。

ねこ 期間も4倍でっす。

美央 今年度いっぱい?

真希 ウェイトあるなぁ(笑)

優介 お、俺やっぱりやめとこうかな。

ネコ !?…お、お待ちを!本講義は大変お得ですよ!

優介 お得?

ねこ そうですそうです!本講義は授業がありません!

幹斗 授業がない?

ねこ はい。初回アンケート、途中報告2回、最終レポートのみです!

優介 マジで?

ネコ マジです。

幹斗 本当に「恋愛をすればいい」だけなのか。

小夜 片思いとかも、入るんでしょうか?

真琴 恋人作るまでいかなきゃじゃないのかなー。

優介 えっ。

ねこ ご心配なく!実践恋愛学は片思いから破局まで、同性異性問わず

幅広い分野を扱っていまーす。

明菜 いや破局とか不吉すぎでしょ。

優介 よかったー…。

小夜 自信なさすぎ。

優介 うっせぃ。

翔太 成績評価って、どうなるんですか?

ネコ 評価基準はシークレットです。

美央 えええ?

ネコ あくまで自由活動を前提としていますから。

ねこ でも積極性はポイント高いかもー?

幹斗 なるほど。

真希 これはなかなかハードルが低いのか高いのか。

ネコ ふふふふふ。あ、まず始めにアンケートがありまして。

明菜 アンケート?へぇー。

ねこ みんなが今恋してるかなー?とか10問あります。

優介 どれどれ……答えられない質問はどうしたらいいですか。

ねこ え?どれ?


優介は震える指でアンケートの真ん中あたりを差す。


ねこ ぶふっ。

優介 なっ!ちょっとぉ!

ねこ にゃははははっ。ご、ごめ…ふふっ。

小夜 どうしたの?

ネコ ねこ、笑い過ぎですよ。失礼じゃないですか。

ねこ やーだってー。

小夜 …恋人に「好き」と言われたのはどんなところですか?

一同 …あー。

優介 え、なに?俺だけ?

明菜 や、それは私も耳が痛いなー。

真希 俺もかなー。

真琴 えーーーっ!

ネコ 真琴さん、どうされました?

真琴 去年のひよ大学ミスミスターが何をおっしゃる!

優介 え、そうなのっ?

波瑠 なんで知らないんだよ。

優介 去年のミスミスターコン見れんかったんや…店番で…。

明菜 ミスでも。

真希 ミスターでも。

2人 恋人って、どうしたらできるんだろーねー…。

ねこ え、どこ見てるの大丈夫っ?

幹斗 切実だなー。

真希 む。なんで他人事ー。

幹斗 ん?彼女ありデス。

真希 わぉ。

優介 ななっ!

真琴 あ、私もデス。

波瑠 俺もデス。

ネコ なんと!

明菜 いーやーっ、なにこのカップル率!

ねこ く、詳しいお話いいですかっ?あ、もう講義スタートでーす!

幹斗 え、いやです。

ねこ えーっ?

ネコ 失礼は承知なのですが…各自で頑張っていただくのはもちろんのこと、

   経過は共有し、刺激としてほしいので…。


猫は幹斗にずももももと詰め寄る。


幹斗 前のめってる前のめってる!

真琴 …あ、だったら私たちから発表しましょうか?

ネコ いいんですか!

真希 積極的だー。

美央 …あれ?2人、カップルコンテスト出てなかった?

波瑠 あ、一応優勝させてもらいまして。

ねこ おおおおお!

小夜 すごい!

幹斗 ほむ。でもカプコンで優勝ってことは王道カップルか。

真琴 まぁ、普通ですなぁ。

ネコ お、お2人の馴れ初めなどお聞きしても…?

波瑠 コミケ。


間。


幹斗 前言撤回。

ねこ こ、コミケ?

真琴 え、知らないんですかっ?同人誌の祭典、コミックマーケットを!

真希 わー。

ねこ よく知らないけど、マニアックな気がしてる。

波瑠 コミケで颯爽と同人誌を手に取る姿を見て、俺からアタックしたのが

始まり。

真琴 そう、男男畑の最新号を買うために並んでたら、列の前から彼が歩いて

きて…。


2人、立ち上がる。


波瑠 これ、よかったら…。

真琴 え…でも、あなたも並んでたんじゃ…。

波瑠 (さわやかな笑顔で)いえ、貴方のために早めに並んでいたんです。

真琴 …マジで神!


一同、呆然と2人を見る。


波瑠 今思い出しても、あれはちょっと気障だったなぁ。

真琴 え、格好よかったよ!

波瑠 おう、サンキュ。

優介 ってちょっとまてーっ!それ!

2人 へ?


優介、2人が再現のために取り出して開こうとした本を奪い、

とりあえず波瑠のカバンに。


優介 こういうのを堂々と広げてはいけません!

真琴 なっ!何がいけないっていうのっ?そこに確かに愛があるのに!

美央 え?なに?

真希 ノンノン。

優介 い、いけないというか…え?俺が変なの?

小夜 優介、流されちゃだめ。

優介 う、え、でm

小夜 Yes or No。

優介 …Yes。

波瑠 落ち着け真琴。人それぞれだろ。

真琴 波瑠…。

真希 あ、さすが彼s

波瑠 障害がある方が萌えるだろ?

真希 おっとぉ。

真琴 わかってるねー波瑠!

明菜 相性ばっちりっぽい?

ねこ あ、あのあのあの!

2人 ん?

ねこ た、大変申し訳ないのだけどメモが間に合わないっぽいので少々ペース

   ダウンで!


ネコ、疲れて机にちょっと伏している。ねこは励ましている。


真琴 あ、すみません気がつかなくて!

ネコ はっ、いえ!わからない単語を調べていたら時間が…。

幹斗 いや知らないほうが…あー、報告書か。

ネコ そうでございます…。

真希 …まって、それ大学側にだすんだよね?

ねこ え?もちろんーん。

明菜 だめーーーっ!

ネコ わぁっ?


明菜はネコのメモを奪う。


ネコ ああっ!

明菜 あ、危ない!いろいろと!

ねこ だ、大学側と言っても、この講義の担当はM教授ですん!


間。


明菜 じゃぁ大丈夫ね。

美央 ええっ?

幹斗 あーあの変人なら大丈夫だろ。

小夜 どなたですか?

幹斗 通称M。講義の最初に自分はどMだとかカミングアウトしちゃう天才。

   うちの研究室の担当教授だな。

一同 …。

幹斗 俺まで不審な目で見てくれるな。

ネコ プライバシーは守りますのでご安心ください。

真琴 な、なんだったの?

波瑠 さぁ…。

ねこ 話を戻すけれど、答えられないところは妄想で☆

優介 いやこれは無理があるっしょ!

ネコ とばしていただいて大丈夫です。

明菜 これ、そもそも解答用紙がなくない?

美央 あ、やっぱり。ないよね。

ねこ アンケートといっても、みんなで話し合う形で進めるからねー。

美央 あ、そうなんですか。

ネコ 不手際すみません。参りましょう!


スポット&暗転。

猫は客席側の手を挙げて、ぱちんと指を鳴らす。


猫  第一問。貴方は今、恋をしていますか?


明転。


幹斗 してます。

美央 して、ます。

真希 してません。

明菜 してません。

真琴 してます。

波瑠 してます。

優介 してません。

小夜 してます。

優介 えっ?

ねこ ありがとうー。

ネコ してる方が過半数…っと。

優介 小夜、好きなやついるのっ?

小夜 え?(今更?)

優介 えっ?(マジで?)

明菜 いいなー恋。どんな感じなんだろう。

真希 ねー。

ネコ 本当に全くないのですか?

真希 全く…明菜は女の子にモテるよね。

ねこ 女の子?

明菜 ああそうともさ!


ばっと立ち上がる明菜。


明菜 女子友3桁!女子から告白された回数2桁!彼氏いない歴=年齢!

   私ったら実は男子かも知れなぃぃい!

真希 どうどう。

ネコ す、すごいですね…。

優介 う、うらやましい…。

真希 それも個性っしょー。

明菜 まあね。おかげで男子に負けないくらい女子について語れるよ。

真琴 !絶対領域とかっ?

明菜 わかるわかる!腰のラインとかね。


真琴と明菜、意気投合し始める。そして小夜と美央も巻き込んでいく。


優介 …うん、最近の女子はわからん。

真希 そうー?

幹斗 彼女、どっちもなのか?

波瑠 違います。

優介 それにしては…盛り上がってるっすよ。

波瑠 うむ、可愛いだろ?

幹斗 まてまて。

真希 まぁ、わかるような気がする。

優介 マジ、で?

真希 なんだろ。性別とかなんにも関係なく、思うまま素直に「いい」って

   言えるのは素敵だよねー。

波瑠 うんうん。

幹斗 ふぅん。

真希 幹斗くん?の彼女はふつーな子なの?

幹斗 え。俺の彼女…はけっこう変…だな。(笑)

一同 …(目をすがめている)

幹斗 あれ、なんだこの空気。

真希 やばいお。

翔太 リア充光線きそうだ、お?

優介 もぅまぢむり…(涙)


ネコ、メモをまとめ終わる。


ネコ よしっ!では第2問に参りましょう!って、あれっ?

男子 ん?


男子が話し込んでいるうちに、女子、消えている。


真希 い、いなくなってるーう。

ねこ いつの間にっ?

優介 さ、さぁ?

ネコ 探しましょう!

ねこ サー!


猫は上手にはける。男子もあとに続く。幹斗だけ残る。


幹斗 何を慌てているんだか。


幹斗はアンケート用紙を見る。


幹斗 …第2問、貴方の初恋はどんなですか、ね。


暗転。上手にスポット。猫が走ってくる。


ネコ 女性陣はいったいどちらに…手分けしても見つからないとは…。

ねこ 疲れた、の…一旦戻ろう。

ネコ はい。


猫が袖際から部屋に寄ると声。


小夜 …なんですよねー、実は。

猫  !


猫はそろりと歩を進める。明転。元の部屋に女子。


小夜 そんなわけで、あの場から抜けたかったんです。

明菜 そっかーそうだよね。

小夜 すみません。

美央 だれだってそうなるよ。

真琴 気づかなくてごめん。

小夜 そ、そんな!ありがとう。

明菜 それにしても、鈍い!

美央 小さい頃から一緒だとそうなるのかなー。

小夜 いえ、私があんまりアピールできてないのもあるので。

真琴 な、なぜ?

小夜 え。うーん…。

明菜 恋する乙女心ってやつかな?

小夜 …あいついっつも…「彼女ほしー(涙)」って感じなんで。

一同 ああー。

美央 わかるなぁ。あ、私は恋愛対象じゃないんだなーってなるよね。

真琴 逆アピール。

小夜 私が弱虫なのもありますけど。

明菜 いつから好きって思ったの?

小夜 うーん…はっきりとは…小学校くらいかと。

美央 え?じゃぁ、初恋?

小夜 はい。あいつ、部活始めてから一気に男子らしくなっちゃって。

   あのころから意識してたように思います。

美央 待って、10年以上片思い?

小夜 は、はいー。

明菜 すごい。

真琴 すごい。

美央 うらやましいかも。

小夜 えへへ。あいつばっかり見てるうちに、20歳になっちゃいま

   したけど。

真琴 おふっ。

小夜 あ、それでもちゃんと好きなんですけれど。

明菜 うん。恋する女子の顔は見ればわかる。

小夜 う、顔に出て…ます?


小夜、頬を赤らめる。

間。


真琴 か、可愛い!!

明菜 ちゃんとアピールすべきよ!!

小夜 へ?は、はい。頑張って…みます。ありがとう。

美央 …いーなぁ。


上手からばたばたと足音。


猫  !(先に部屋に入って)…み、みなさん!

明菜 あ、猫くん。


続いて男子も入室。


真希 あ、いたー!

優介 ちゃっかり戻ってきてるのかよぉ。

真希 骨折り損だ…(笑)

真琴 ご、ごめん。探してたの?

波瑠 いきなり丸ごと消えてたらびっくりするって。

ネコ なにはともあれ、皆さんおそろいでよか…あれ?

波瑠 一人、いない。(苦笑)

優介 おいいいいい。

猫  …皆さん、ここから動くの禁止っ!


猫、はけてく。


明菜 猫くんが帰ってくるまでに、アンケート、進めとこうか?

美央 あ、そうだね。

真希 えーっと、第3問…貴方が恋人に求める条件はなんですか?


暗転。上手にサス。幹斗がいて、誰かと電話している。

しばらくして下手にもサス。猫、そろそろと登場。


幹斗 …じゃ。

猫  …。

幹斗 …立ち聞きは悪趣味だろ。

猫  !あ、あはは。

幹斗 見つかった?女子。

ネコ はい。つきましては、アンケートの続きをと思いまして。

幹斗 恋人に求める条件。

ネコ はい。

幹斗 無い。

猫  えっ?

幹斗 いや、1つはあるかな。

ねこ び、びっくりさせないでよー。

幹斗 なにびっくりしてるんだよ。…条件は簡単だ。ただ、こっちの愛情を

   受け取ってくれればいい。

ねこ はえ?

幹斗 はえ?って(笑)…期待してたのと違った?

ねこ やや…見た目や中身かと思った。

幹斗 んー、そういうのもアリだとは思ってるけど。これこれじゃないとー

   っていうのも。ただ、俺は俺に大事にされてやってもいいってやつな

   ら、相手は誰でもいいかな。

猫  ええー。

幹斗 なんだよ(笑)

ネコ なんか、もっと絶対的なものじゃないのですか?恋愛って。

幹斗 チェリーか。

ねこ ぶふっ。

ネコ ほへ?

幹斗 冗談です。

ネコ うな?…幹斗さんは、なんだか大人っぽいですね。

幹斗 大人か?まぁ、早く大人になりたいとは思ってるけど。

ネコ どうしてですか?

幹斗 ん?いや、ちゃんと稼げるようにならないと、嫁にもらえないだろ。

猫  …ほぁ!?

幹斗 あ。絶対的な恋愛かもな、これ。相手に左右されないし。合わせはするけど。

ねこ はわはわはわはわ…。

幹斗 ?

ネコ 幹斗さん、あの、御歳おいくつで?

幹斗 現役だから20歳。…老けてるか?

ネコ いやそういうわけじゃないですけど…さすがにお見それいたしました。

幹斗 おおげさ。ほら、そんな話はいいから戻ろうぜ。

ねこ え、あ、また中間報告でがっつりと!


幹斗はける。猫も続く。明転。


明菜 かんぱーい!

一同 かーんぱーい!

ネコ な、なにしてるんですかぁ?!


猫と幹斗が戻ると、なぜか一同はお酒とピザを囲んでいる。

一人(翔太)が増えている。


真希 やー、帰ってくるまで待とうと思ったんだけど。

ネコ いやそうじゃなくて!お酒!

波瑠 だってもう夜の7時。

真琴 晩ごはんー♪

ねこ いやいやいやいやここ大学…。

幹斗 だれだ言い出したやつ…。

明菜 ないしょないしょ!

真希 青春青春!

ネコ お2人ですか…。

明菜 ちがうわよーう。

真希 M教授だよーう。

幹斗 あのバカ教授…!

猫  も、もう何も言えませんです。

翔太 失礼。お邪魔させてもらっている。


間。


猫  へ?

真希 あ、こちら翔太くんです。俺の親友です。

猫  …もしかして?

翔太 遅れて申し訳ない、受講希望なんだが…。

ねこ ななななんと!

ネコ ウェルカムです!ありがとうございます!

翔太 そうか。こちらこそありがとう。

ねこ なんだかまじめそうな人だすなぁ。ニュータイプ。

真希 あはは。まぁよろしくー。

小夜 あ、猫くんも幹斗さんも食べてください!はい。

猫  ありがとうございますっ。

幹斗 さんきゅ。

美央 アンケート、ちょっと進めておきましたよっ。これメモです。

ネコ え!ほんとですか?!すみません。


メモというには多すぎる量の紙をネコ、受け取る。

みんな、ほどよく座る。落ち着く。


真琴 第4問、貴方は人のどんなところに魅力を感じますか?フェチも

含みます。

波瑠 たった一問でこのメモの量である。

ネコ すごいですね…。

真希 白熱してたからー。

真琴 もっとあるんだけどね?みんながわかってくれないから…。

優介 いやー…手首の骨っぽさとか言われても…。

美央 うん。ちょっとわからないかな。

明菜 そんで問題の…。

小夜 第5問、恋人に「好き」といわれたところはどこですか?

優介 …(涙)

小夜 よしよし。

ねこ あれ?メモが白紙なんだけど。


リア充勢、目をそらす。


ねこ 白紙なんだけどーなー?

幹人 ノーコメント。

ネコ ええっ?

波瑠 いや

真琴 のろけは恥ずかしいっす。

明菜 私たち(非リア勢)も説得したんだけどねー。

幹人 絶対いやだ。

翔太 …そうさな、言ったことがあるのは「Tシャツ×ジーンズが似合う」

とかだな。

小夜 シンプルな格好が様になる人、いいですね。

翔太 だろう。

真希 おー?ありがとうー。

小夜 え?

優介 なんで真希くんがお礼言うんだ?

翔太 俺がそう言った相手は真希だ。なにも不自然はあるまい。

一同 え?


間。


波瑠 …男男畑かな。

ネコ そうなのですか?!

ねこ 男の子が好きなのー?!

真希 あ。ついぺろっと言っちゃった。

翔太 …は。そうか。すまない。

真琴 謝ることじゃ…ないよ!

優介 謝ることじゃ…ないな。うん。実際。

明菜 8通りあるからね。

ねこ ?

明菜 体の性別と、心の性別と、好きになる対象と。

翔太 ほう。

明菜 私は、女の子から好きになってもらったことしかない。

真希 俺といっしょだー。

幹人 …そんな、すんなり受け入れられるのか?

明菜 ちょっとびっくり?かな。

幹人 ミスミスターは、広いな。

翔太 俺も、拒絶は覚悟の上だった。

真希 んー?人から好かれるのに、嫌はないでしょ。ごめん。でもありがと、

じゃない?

美央 …ん?二人は両想い、ですか?

翔太 いや。俺が好きなだけだ。

真希 俺、女の子が対象だからー。

ネコ 二人は納得済みと。

明菜 なんか、あっさりしてるわね?

翔太 変か?

明菜 ううん。

翔太 今は昔。だからな。

優介 ?

小夜 今となっては昔のこと。だって。

優介 ああ!

翔太 アンケートを進めよう。

真希 うん。第6問!…え、これ…。


テクノっぽい曲IN


猫  …貴方は恋愛的に、現状に満足ですか?

真希 せんせー、恋してない人はどうしたらいいですかー?

優介 せんせー、恋してない人はどうしたらいいですかー?

猫  してください。

真希 ぐはっ。

優介 ぐはっ。

波瑠 問題なくつきあっていれば満足に入りますか?

真琴 問題なくつきあっていれば満足に入りますか?

猫  そんなことも実感無いんですかー?にやり。

波瑠 (胸に言葉が刺さる)

真琴 (胸に言葉が刺さる)

幹斗 満足してます。

猫  相手もかな?

幹斗 …い、色恋ってやつはそもそもエゴだと…。

美央 これはひどい(笑)

翔太 これはひどい。

猫  人ごとが一番やばいですよ?

美央 (笑顔で死亡)

翔太 (固まる)

小夜 優介っ。

明菜 小夜ちゃんあっちに行っちゃだめよ!

猫  これも愛です。

明菜 うそでしょ!

猫  愛だ、にゃん☆

明菜 うそじゃない?!


明菜はあたふたとみんなを元気づけて回る。

小夜は少し考え込む。


小夜 …片思いで満足とか、ないですよね。

ねこ 片思いで満足なの?

小夜 えっ?

ねこ えっ?

小夜 あ、いえ…。

ねこ ?

小夜 …。


みんな戻ってくる。


ネコ 満足と言っても、少しあいまいですかね?

幹斗 そうだな。

ねこ 恋愛に限界なんて…!

真希 ではなぜ聞いた。

美央 …割とあると思いますけど。

ねこ えっ。

ネコ …えっ。

美央 「あー、なんだか安定しちゃったな」って限界っぽくないですか?

   倦怠期じゃなくて、完全に安定した状態です。

ねこ …。

真希 切ない発言だねー。

翔太 そうなったら美央さんはどうするんだ?

美央 え?別れますけ、ど。

猫  !(ガガーン)

明菜 猫くんがショック受けてる!

優介 女子ってこわー…。

美央 ええ?だってお互いに、なんか、ダメかなってわかっちゃうから。

小夜 …よく、ない。


小夜、ぽつりとこぼして、優介をみる。


優介 小夜?

小夜 優介。

優介 お、どした?

小夜 …はぁぁ…好きです。男の子として、好き。


間。一同は突然のことに固唾を飲んでる感じ。


優介 ぇ、は……え?

小夜 …い、Yes or No !!


小夜はすこし震えているが、しっかりと優介を見つめる。


優介 …いえ、す。

一同 !!(拍手)

ねこ ええーーー!?

小夜 う、ばかーーー!!

優介 なんでだよ?!

ネコ なんと急展開!おめでとうございます!

真希 おー、まじかー?

明菜 おめでとー!

翔太 これはめでたい!

小夜 あ、ありがとう…はぁぁー。

真琴 さいっこうにキラキラっすわ!

波瑠 驚きと感動で声もでない。

真希 でてるでてる。

幹斗 実践恋愛学で1組目誕生か。

ねこ いーねーいーねー!

優介 な、なんか恥ずい…!

明菜 うっふっふー、私たちにも来い恋!

真琴 うーん、今以上ってどうしたらいーのか。

波瑠 結婚?

真琴 ごほっ!はいい?

波瑠 言ってみた。

真琴 は、波瑠さんんん。

波瑠 ごめんごめん。


みんなにぎやかに過ごす。猫はアンケートをまとめている。


ねこ 第7問、心理テストです。

ネコ あ、第7問はそうでしたね。…これ、質問じゃないですよ、教授。

ねこ いいじゃないー。恋人とカラオケに。しかし次はもうここは嫌だと

思いました。何が気に入らなかったのでしょう?

①店に飽きた

②音が悪い

③雰囲気が悪い

   ④好きな曲が少ない。

ネコ ③…かな。(まとめつつ)

ねこ 答えー。①店に飽きたを選んだあなたは「マンネリ化したデートが

続いたりするとウンザリ。イベントはちゃんとして!」

ネコ ふむふむ。

ねこ ②音が悪いを選んだあなたは「目標は常に高く♪恋人以上の理想の

異性が現れるとそちらへコロリ。」

ネコ 浮気性、と。

ねこ ③雰囲気が悪いを選んだあなたは「スキンシップこそ長続きのカギ☆

定期的にカラダで愛を確認しないと不安…」


ねこ、ネコをちらりと見る。


ネコ …あ、愛情深いタイプ、と。いたっ。

ねこ ちゃんとまとめてね!④好きな曲が少ないを選んだあなたは「恋愛は

ギブアンドテイクが基本!こっちの負担が増えると一気にシラけちゃ

う。」…これかなー。


ネコ、ねこをちらりと見る。


ねこ なんにゃ?

ネコ な、なんでもないです。

ねこ ふふふ。


じみじみと舞台は暗くなっていく。暗転。


ねこ …第8問、恋愛で、苦い思い出はありませんか?

ネコ …第9問、それはなぜですか?


明転。

いつの間にかみんなは会話をやめ、それぞれの方を向いている。

苦い、思い出。


猫は跳ね回って舞台セットをひっくり返して回る。たくさんの

♡の小物が現れる。


猫  キシッ(悪笑)

猫  第10問は直に発表させていただきます。


猫が指を鳴らすと、みんな崩れ落ちる。


猫  第10問。そもそも人ならば皆、恋愛する資格があるのでしょうか?


鐘の音が響く。


ねこ …ねぇ、初めてあった時のこと、覚えてる?

ネコ 覚えてますよ。どうして?

ねこ 私、覚えてないんだ。

ネコ ひどっ。

ねこ だって初めての場所でそれどころじゃなかったんだもん。…正確には

出逢ってひと月くらいかな?貴方の第一印象はね…まじめ君でした。

ネコ な、泣いていいですか?

ねこ だめー。


2匹、お互いを見る。


ネコ …好き?

ねこ …ううん。

ネコ ええーっ?

ねこ だぁーいすきっ。

ネコ う…ぷいっ。

ねこ えへへ。私ね、ネコくんが初めてなの…愛す側になりたくなったの!

   追いかけて尽くして…そういう方に、なりたくなったのは。

ネコ ありがとう、ございます。



ねこ 微妙な顔だね。

ネコ まぁ…ね。

ねこ …ごめん。

ネコ ううん。

ねこ 自分でも、思ってなかったんだ。まさか…

ネコ 飽きるなんて?

ねこ そうなの。びっくりなの。…どうしてなの?


ネコはゆったりと微笑む。


ネコ …いいんじゃないかな。それも。少なくとも僕は、かまわないよ。

ねこ っ!一番だよ?一番なんだよ…っ。

ネコ うん。

ねこ …。


ねこを慰めるように、ネコは歩み寄って頭をなでる。ねこは躊躇いがちに、

ネコの首に手を伸ばす。

舞台は赤く、紅く染まっていく。(赤照明を一つずつ順に点け足していく)

ネコはそっとはけていく。明転。


間。だれも口火を切られない。


ねこ …にゃーんてね?

翔太 …は。

明菜 あ、れ?

幹人 あれ…居眠りしてた?

ねこ みなさんお疲れみたいですね。

美央 す、すみません。

ねこ 無理もないですよ。オリエンテーションだけのはずが、長引いてしまって

   申し訳ありません。

優介 俺、授業では寝たことないのが唯一の自慢だったのに…。

小夜 お馬鹿。…でも私もだよ。

真琴 うーん…あれ、ネコくんは?

波瑠 起きろ真琴。猫くんなら目の前だって。

真琴 え、違うy…。


ねこは無機質に真琴を振り返る。客席に背を向ける。

波瑠は真琴を見ていて気がつかない。みんなはそれぞれ話している。


真琴 !!(絶句)…あ、え、なんでもない。

波瑠 ?


波瑠がねこを見る頃にはねこはふいっと明後日を見上げている。

ニコニコしている。


ねこ さぁ、もうお開きにいたしましょう。

真希 だねー。


遠くで花火の音。

小夜 え?花火?

優介 今日か!河川敷のやつ!

明菜 ええーーー!出遅れた!


みんな花火の音でわたわたしだす。

幹斗のスマホが震える。


幹斗 …行こう!

一同 へ?

幹斗 M教授が屋上開けてくれたらしい!

一同 !やったぁーーーーー!


みんな我先にと上手へ!…ねこ、ぽつん。


ねこ …。


ねこは舞台中央奥へはける。暗転。

舞台前半に照明。


みんな、それぞれの距離感で花火を見ている。

ときどき何か言葉を交わしている。花火の音小さく。


小夜 きれーーい。

優介 すげーーー。

幹人 特等席だな。

明菜 花火って、つい毎年見ちゃうなー。

翔太 そうさな。

美央 …これから、恋愛しなきゃなんですよね。

真希 気乗りしないの?

美央 いえ。ちゃんとしてみたいなーって。愛、って言えるくらい。

波瑠 どうなんだろうな。

真琴 ん?なにが?

波瑠 …いや(笑)

真琴 ??

幹人 言うほど簡単じゃない。

翔太 だが諦めるほど無理でない。


真琴、ふと客席奥を見る。


声  (小さくマイクで)にゃーぉ。


花火の音、大きくなっていく。

ぱっと暗転。エンディングIN




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