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6話 ゴブリン討伐

 初めての依頼から2週間、俺たちは薬草採集や鹿や兎など動物の狩猟などを受けてきた。そして今日、初めての魔物の討伐依頼を受ける。依頼内容は王都付近の森にいるゴブリン1匹以上の討伐で報酬は1体につき銀貨10枚だ。まぁ駆け出し冒険者用の依頼だね。ただ、最近ゴブリンの目撃情報が多いので、もしかしたら巣があるのかもしれないので注意とのこと。

 初めての魔物の討伐ということで今回もウィリアムさんがついて来てくれることになった。


「ゴブリンはそこまで強くはない魔物だが群れることが多いからな。新人冒険者が1匹だと思って突っ込んでいくと、いつの間にか囲まれていて返り討ちになんて話よく聞くからな」

「気を付けます」

「と、そろそろゴブリンがよく目撃されている所だな」


 しばらく周辺を探索し痕跡を探す。暫くしたところでどこかからいい匂いがしていることに気が付く。


「大輝、なんかいい匂いがしてる」

「こんな森の中でか?」

「うん、多分こっちの方から」


 匂いが漂って来る方に向かう。そしてたどり着いたところは血の海だった。


「な、なにこれ」


 森のちょっと開けた場所、そこに人だったものがバラバラになって散乱していた。鎧や剣なども散乱しているので冒険者だったのかもしれない。人数は転がっている頭が4つなので4人か。

 大輝とウィリアムさんもこの惨状を目の当たりにして顔をしかめている。


「これはゴブリンの仕業ですか?」

「おそらくな。ギルドカードが銅ってことは犠牲者は新人冒険者だな」


 ウィリアムさんは4人のギルドカードを拾う。


「こういう時はギルドカードを拾ってギルドに届けてやってくれ」

「うん」

「わかりました」

「さて、死体の状態からして殺されてからそんなに経っていない。ということはまだ近くにゴブリンがいる可能性がある」


 死体が腐敗しているように見えないのと血がまだ乾いていないのを見るに本当に少し前に殺されたのだろう。


「駆け出しとはいえ4人も殺すとはな。相当な数に囲まれたのかゴブリンメイジなんかの変異個体がいたのか。どっちにしろ気をつけろよ」

「ゴブリンメイジって魔法を使うゴブリンですか?」

「ああそうだ。普通ゴブリンは魔法を使えないんだが稀に魔法を使うゴブリンがいる。そいつがゴブリンメイジだ」

「強いの?」

「普通のゴブリンよりは強いな。強化魔法で他のゴブリンを強化するから群れてるときは早めに仕留めといたほうがいい」


 ゴブリンメイジにはまだ出会いたくないな。それにしても強化魔法かぁ俺にも使えないかなぁ。


「むむむ……」

「何してるんだ?」

「いや、強化魔法つかえないかなって」

「そうか。使えたか?」

「使えなかった」


 エンチャントとかは使えたのに何がいけないんだろ。いろいろ未熟なのかな。今の俺には簡単な魔法しか使えないってことか。


「そろそろここから離れるか」

「うん」

「そうですね」


 血の匂いで魔物が寄ってくる前にこの場から離れることにした。




「……つけられてるな」

「つけられてる?」


 俺は特に何も感じないが、ウィリアムさんは何かの気配を感じたらしい。


「複数いる。少し広がっているってことは囲むつもりか」

「囲まれるって何に?」

「ゴブリンだ」

「数はどれくらいいるかわかりますか?」

「ちょっと待て……8匹だな。初めてにしてはちょっと多いかもしれないがお前たちだけで行けるか?」


 大輝と2人でだから1人4匹か。確かに多いけど、簡単な魔法なら使えるようになったし大丈夫だよね。


「いける!」

「やってみます」

「そうか。まぁ無理そうなら俺がどうにかしてやるから安心して戦うといい」

「うん」

「ありがとうございます」


 ウィリアムさんがいるから負けそうになっても安心だ。


「深紅、囲まれる前にこっちから仕掛ける。援護頼む!」

「わかった、任せて!」


 大輝が後ろに駆け出し真後ろを付けていたゴブリンを槍で貫く。そして異変に気づき集まってきたゴブリンを素早く的確に心臓を槍で貫いていき、早くも3匹倒している。正直援護なんていらない気がするけど、何もしないわけにはいかないので、俺は姿を現したゴブリンを弓で射貫く。俺が2匹倒したころには大輝は他のゴブリンをすべて倒し終えていた。


「これで全部か」

「んー2匹しか倒せなかった」

「十分だと思うが、まぁダイキがガンガン倒していったからな」

「大輝張り切りすぎ」

「いや、そこまで張り切ってはないが」

「そんなことより討伐証明として右耳を切り取ろう」

「はーい」


 3人で手分けしてゴブリンの右耳をナイフで切っていく。そして切った耳を袋に詰める。


「8体分詰めたな。よし、帰るか」


 こうして無事に初めての魔物討伐は終わった。




 そして翌日。

 今日もゴブリン討伐にやってきた。ゴブリンなら2人でも大丈夫だろうし、2人だけで行ってみるといい。と言われ、今回は俺と大輝の2人だけでやってきた。

 ゴブリンを探しながらひたすら歩く。正直これがなかなかきつい。獲物が見つからないと何時間も歩くことになる。なので今回は餌を持ってきた。

 肉食や雑食の魔物が好む匂いがする玉が入った瓶がギルドの売店で売っていたので買ってきた。

 注意点は狙いの魔物以外の魔物も集まってくる可能性があることと、予想以上に沢山の魔物が集まってくることがあること、そして瓶の蓋を取ると、かなりキツイ匂いがするらしいので、街中での開封は絶対しないようにとのこと。

 王都周辺は冒険者によって危険な魔物は狩られていてほとんどいないので、大量によってくることはないだろう。


「この辺でいいかな?」


 昨日、ゴブリンを見つけた所から少し離れたところにやってきた。


「そうだな。じゃあ開けるが準備はいいか?」

「うん」


 大輝が瓶の蓋を開ける。それと同時にものすごい匂いが広がる。


「臭っ!」

「この匂い」


 瓶から急いで離れて木の陰に隠れ、ゴブリンがやってくるまで待つ。

 しばらく待つとゴブリンがやってきた。数は……沢山。数がわからないくらい集まってきた。


「大輝どうしよう。すごい集まってきた」

「そういえば巣があるかも、とか言ってたか。この辺にあるのかもしれないな」

「帰る?」

「正直帰りたいがそういうわけにはいかないだろ」

「だね。折角だし一網打尽にしたいな」

「そうだな。魔法使ってみるか」

「あ、じゃあやってみていい?」

「ああ、任せた」

「任された!」


 手のひらに魔力を集中させる。すると手のひらの上にバチバチと小さく放電する球体ができる。


「雷属性の魔法か」

「うん。………………………………………………………………………………」

「………………………………………………………………まだか?」

「もうちょっとまって」


 まだまだ魔力の使い方が甘くて発動に時間がかかる。


「………………よし、いくよ! サンダーボム!」


 手にできた雷の球体をゴブリンたちの方へ投げる。そして、雷の球体が地面に落ちた瞬間、雷が落ちたかのような轟音とともに球体から周囲にいるゴブリンに向かって放電し、感電させる。感電したゴブリンはその場で倒れ伏し動かなくなった。


「ふははは! さすが俺、ゴブリンなんかもはや敵じゃないね!」

「魔法の発動にえらい時間がかかってたけどな」

「そのうちすぐに発動できるようになるから……」


 ゴブリンがこれ以上寄ってこないように瓶の蓋を閉め、倒したゴブリンの右耳を切る。


「沢山ゴブリンがいて大変だね」

「思ったよりも集まってきたからな」

「巣があるかもなんだよね。探してみる?」

「いや、帰ろう。深追いして何かあっても困るしな」

「じゃ帰ろうか」


 引き際は大事ということで今日は帰ることとなった。ちなみに倒したゴブリンは23体だった。

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