先生の異常な愛情 前日譚 ~または彼は如何にしてただの聞き上手であることを止めて熟女を求めるようになったか~
『先生の異常な愛情』の前日譚です。本編を先に読むことをおすすめします
――夏休み明け。
海や山へ遊びに行ったという楽しげな皆の話を、先生は心底嬉しそうに聞いていた。
彼は、皆が両親の田舎へ帰ったときの話を聞くたびにほんのりと頬を上気させ、おばあちゃんと一緒にどんなお話をしたのか、おばあちゃんとどこへ遊びに行ったのかを聞き出している。
おじいちゃんの存在はなぜかガン無視である。
休憩時間も、給食時間も、放課後も。先生が児童の席に座り、同級生がまとわりつく。
そして、夏休みの話をするのだ。
楽しい話は一緒に笑い。
夏におばあちゃんが亡くなったという同級生の話では一緒に泣いていた。
彼はとても優しい先生なのだ。
子供の話をあしらう先生も多いので、こうしてきっちり話を聞いてくれる彼には好感がもてる。
私はおしゃべりが苦手なので先生には話しかけないが、同級生はこぞって先生に自分の話を聞いてもらいに行っていた。
そのなかでも特に友人はなつっこい少女であるので、先生の背中にひっつき、大好きなおばあちゃんのお話をたっぷりとしていた。
友人はおばあちゃん子なのだが、自宅でおばあちゃんの話はしないらしい。
おばあちゃんの話をすると、両親が必ず「でもママ(パパ)が一番好きなんだよね~?」と言って来るのが不満らしいのだ。
そういうわけで、おばあちゃんの話は普段先生か私が聞いている。
友人が私にする話は、私の家にあるスーファミソフトのどれをやりたい、あれが楽しいという話と、あとはおばあちゃんの自慢ばかりである。
――しかし最近、そうして友人と話していると先生とよく目が合った。友人と話をしているときに限って、妙にこちらを見てくるのだ。ゲームの話をしているのが悪いのだろうか。一日一時間のルールをきっちり守っているので多めに見て欲しい。
ちなみに一日一時間は誰が決めたルールなのか父に聞いたら「神だ!」と言っていた。姉が「ウチ仏教なのに……」とツッこんでいたので、違うのかもしれない。
けれど特に追及はしないでおいた。なんとなく聞いただけなので、どうでもよかった。
話がそれたが、私は視線というものがとても苦手だ。
だから先生の視線を回避しようとその場で必死にフェイントするのだが、どうもうまくいっていないようだ。
面白がった友人に真似される始末である。
まったくこいつは、監視されているというのにのんきなヤツだ。
友人曰く、「まーちゃんは面白いから好き」
まったく解せない。私はいつだって真面目な女だというのに。
そういえば今日は、友人の母が学校へ来るという。友人は先に帰るよう言われたそうだが、母親を待つのだそうだ。
私がそれならば自分は先に帰ると言うと、友人に手を握られて「だめ」と上目遣いで言われてしまった。
その瞬間、この少女は悪い女に成長すると確信した。しかし振り切れなかった。
仕方がないから今日は残ろう。
はて、そういえば友人の母は何をしに学校へ来るのだろうか。
登場人物紹介
先生:25歳の男性教師。児童となかよし。友人と私の会話に興味を示しつつ、私の奇行を面白がっているふしがある。友人の母に話があると厳しい口調で言われた。
同級生:純真無垢な小学生。そのうち思春期が来て、だんだん汚れる。
同級生の祖母のうちの一人:お亡くなりになった。倒れた祖母は四天王のなかでも最弱という不謹慎な噂が流れている。
友人の母:29歳。熟れはじめの美女。娘の愛を独占したい。欲しがりな人妻。
友人の父:31歳。娘の愛が自分に向いていると思い込んでいる。
友人の母の母:52歳。穏やかで気立ての良い熟女。子育てに失敗した。孫娘をこよなく愛しているが娘はそうでもない。関節痛に悩んでいる。
友人:小学生の女児。将来有望な小悪魔。おばあちゃん子。ボ○バーマンが好き。黒ボン。
私:小学生の女児。実はフェイントよりもタックルによる正面突破が得意。白ボン。
父:神の存在を信じてはいない。私にタックルを教えこんだ。
姉:余計なことに首をつっこみすぎる。きっと長生きしない。
母:ゲームは一日一時間のルールを定めし者。つまり神。
白ボン:たまにゲーム開始直後に爆死する。
黒ボン:すぐ死ぬ。




