I、して。
side.A
「兄さんが好きだ」
「家族としてじゃなくて、1人の人として、男として」
「抱きしめたい。キスしたい。セックスしたい。そう言う意味で好きなんだ」
俺は、知っていた。弟が俺をそんな風な目で見ていたことを。それに気付いたのは、中学の時だ。その頃の俺は恐かった。男にそんな風に見られる事が、血の繋がった弟にそんな風に見られる事が。
気の迷いだ。放って置いたらきっと別の人を好きになるだろう。そう思っていた。それまで、気付かないフリをしておこう、って。
「お願い、俺を否定しないで。俺には兄さんしか居ないんだ……!!」
「……………」
悲痛な表情で俺にすがり付いてくる。
弟は、今まで一度も俺に我が儘なんて言って来なかった。むしろ、俺の方がよく弟に我が儘を言っていたかもしれない。
「…否定なんかしないよ。俺も好きだよ」
初めての弟の我が儘だ。それがどんなに社会では許されない事でも。
「…本当に?嘘じゃない?」
「嘘じゃない、本当」
以外に家族に甘いのかもしれない。
俺は、安心させようと弟に微笑んでみた。するて、いきなり手を引かれ抱きしめられた。
「ありがと。ありがと、兄さん」
俺は、そっと弟の背中に手を回した。ぎゅっと弟の抱きしめる力が強くなる。少し苦しくて、苦笑いが浮かんだ。
「兄さん、ありがと。ごめんね、大好き」
俺は、弟が恐い。それは今も、これから先も変わらないだろう。でも、血の繋がった、たった1人の兄弟。
「俺も、」
きっとこの好きは愛にはならない。
それでも、俺は弟が大切なんだ。
「大好きだよ」
弟が幸せそうに笑って、
「 」
微かに唇が動いた気がした。
side.B
「兄さんが好きだ」
「家族としてじゃなくて、1人の人として、男として」
「抱きしめたい。キスしたい。セックスしたい。そう言う意味で好きなんだ」
兄は、知っている。俺が兄をそんな風な目で見ていたことを。俺がそれに気付いたのは、中学の時だ。その頃の俺は恐かった。兄に嫌われるんじゃないかって、血の繋がった兄に否定されるんじゃないかって。
気持ち悪い。そんなこと俺が一番分かっていた。男を好きになるなんて、ましてや血の繋がった兄が好きだなんて。初め俺も可笑しと思った、きっと気の迷いだ。気付かないフリをしておこう、って。でも、もう無理だ。兄が好きなんだ。
「お願い、俺を否定しないで。俺には兄さんしか居ないんだ……!!」
「……………」
鼻がツンとする。泣きそうだ。もう、なんでもいい兄に否定さえされなければ。
最初で最後の、俺の我が儘だ。お願いだから、否定しないで。俺の気持ちを。
「…否定なんかしないよ。俺も好きだよ」
嬉しかった。ずっと夢みていた。兄に受け入れてもらえた。それが単なる同情だとしても。
「…本当に?嘘じゃない?」
「嘘じゃない、本当」
兄は以外に家族に甘い所がある。
兄は、安心させようと俺に微笑んでみせた。それがとても悲しくて。きっと俺は今、情けない顔をしていると思う。それを兄に見られたくなくて無理やり抱きしめた。
「ありがと。ありがと、兄さん」
俺を否定しないでくれて。同情してくれて。兄は、そっと俺の背中に手を回した。また俺は悲しくて、それを誤魔化すように、ぎゅっと兄を抱きしめている腕に力を加えた。
「兄さん、ありがと。ごめんね、大好き」
好きになって、ごめんね。それでも、俺は兄が好きなんだ。少し震えている兄に気付かないフリをした。兄は、俺が恐いんだと思う。それは今も、これから先も変わらないだろう。でも、それでも、愛してるんだ。
「俺も、大好きだよ」
これが、家族愛でも、恋愛ゴッコでも、ただただ、兄が好きだから嬉しい。だけど、
「 そんなに苦しそうに笑わないで 」
やっぱり、言わなきゃよかった。
訳わかんない話ですね。
すみませんm(__)m
禁断の恋って報われないんだろうなぁ、から出来た小説です。
皆、可哀そう。
人物紹介
兄
サッカー部とかにいそうなイケメン。
弟
バスケ部とかにいそうなイケメン。