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郵便屋です
「いらっしゃい」
街の中のビルとビルの間。その小さな道を通り抜けて右に曲がるとその店はある。
「代筆ですか?配達?
それとも両方?」
店、というのも妙な感じがするぐらいに小さなその建物には、若干色褪せている「郵便屋」と言う看板がかかっていた。
そこの店主は年齢的には中学生ぐらいの少年で、紺色のパーカーを着て、そのフードを目が隠れる程度に深く被っている。
そう、彼の仕事は郵便屋だ。
ただし、商売相手は「生きている」人間ではなく「死んだ」人間である。
「お代はいかがいたしますか。
現金?物品?魂の一部?」
少年は今日も業務に励んでいた。