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第一話

西暦2153年。地球人類はさまざまな惑星に進出していた。治安も極めてよく、凶悪犯罪の類は年に1度あるかないか、検挙率100%の実績を挙げていた。内政的にはなにも問題がなくなった時代。 しかし、戦争が起きていた。宇宙人の「サーマニア連邦」は「地球人類連邦」╿(地球だけではなく地球人全体)に対し戦争を仕掛けてきたのだった。 ヒト型兵器の活躍もあり当初は地球人類連邦(EKF)はサーマニア連邦(SMF)と互角に戦っていた。 EKFが設定した、絶対国防圏、地球、月、金星、火星も次々に制圧されていった……。 EKF・地球・大東亜共栄圏・大日本帝国の東京の学生の佐藤(さとう) 英樹(ひでき)にも学徒出陣の令状が届いていた。 佐藤英樹「母さん、父さん…。」英樹の父「日本男児の強さを見せてこい!」英樹の母「どうか死なないように…!」英樹の父「死んだ方がいいなんてのは大東亜戦争の時の話さ。そもそも戦力的にもしなれちゃこまるだろう…(微笑)」佐藤英樹「行ってまいります。」町内会の人々「佐藤英樹万歳!万歳!」佐藤英樹は歩き出す。帝都高速度交通営団東西線・下西駅へと向かって。沿道の犯罪者やホームレスでさえ、直立不動で出征する少年に敬意を示していた。 沿道の人々「勝ってくるぞといさましく~♪」 放送「まもなく、2番線に、学徒出陣列車が参ります。白線の内側にお下がりください。」 下西駅で佐藤英樹は列車に乗り込む。しばらくして上野で弾丸列車に乗り変えてそれからまたしばらくして、桜島の臨時陸軍基地に到着した。 佐藤英樹は、ここでヒト型兵器の訓練を受ける。教官「お前らには練習機に乗ってもらうぞ。3人で1機だ。機長、副操縦士、兵装士に分かれろ。」 「機長・佐藤英樹!自分は東京都東湾岸区出身であります!」「副操縦士・田中泰三(たなか たいぞう)!自分は千葉県千葉市出身であります!」「兵装士・上村勝一(かみむら しょういち)!自分は満州国・新京市出身であります!」 練習機・紫電2813-1。今年開発された最新練習機である。ヒト型兵器╿(ヒト型軍機)は基本、本部からの遠隔操作だが、練習機はこのように、古典的な、内部に搭乗する直接操作タイプである。まずは古典的な戦闘に慣れろということである。確かに下手な新兵が遠隔操作するよりは老兵が直接操作したほうがよほど強いのである。 紫電2813-1型の中でも、佐藤英樹たち3人が搭乗するのは製造番号6番。かなり製造番号が若いものである。この兵学校とも基地ともつかぬ軍施設では6号機となっている。 教官「今日は、定期試験だ。」1機ずつ、的を撃ちつつ走っていく。教官「よし、6号機!やってみろ!」 佐藤英樹「はい!田中、動力系、接続せよ。」田中泰三「了解」佐藤英樹「上村、安全装置解除」上村勝一「了解!」佐藤英樹「6号機、発進!」 まずは佐藤英樹が操縦して、とりあえず走る。脳で思った通りに動いてくれるこの時代の兵器では操縦桿は補助程度の意味しかない。それでも、教官の言うとおり、きちんと操縦桿を握って思念し、機体を立派に操縦してみせる。 佐藤英樹「副操縦士、田中!操縦を渡すぞ!」田中泰三はにやりと笑うと「了解!」と言った。すこしバランスが崩れたがなんとか持ち直す。上村勝一が的めがけて20mm機関銃を撃ち始める。的をきれいに撃ち落とす。

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教官「これで試験は終わったな。」生徒╿(?)たちは4列横隊で並んでいる。教官「6号機!お前らよくやったな!お前らの査定は[甲5]だ。よくやった!」 上村勝一「ありがとうございます!」どうやら教官…東條・ルーデル教官は、とても気を良くしているらしい。佐藤英樹たちも、この教官はなにかとひいきしてくれそうだなと一瞬で分かった。 宿舎に生徒たちが戻っていく。慣れない自室に戸惑いながら佐藤英樹、田中泰三、上村勝一は対面する。同じ機を操る、3人は一生戦友であるという考えから、3人組ずつに部屋が割り当てられているのだ。 ビーッ!ビーッ!警戒音がこの桜島陸軍臨時特殊学舎基地に響き渡った。 放送「これより、当施設は学校態勢から基地態勢に移行する。現在、上空より敵降下中。第一過程第一小隊╿(平常時は第一過程1組。30人) は練習機紫電2813-1に乗り込み出撃せよ!兵1号機から、兵10号機は出撃。加えて、第一戦闘班の全教官機も出撃せよ!」ざわめきが広がっていく。 教官機が先に出撃していく。上村勝一「冗談じゃない!まだ陸戦しかやってないぞ!地対空、ましてや空中戦なんて聞いてない!だから空中戦の訓練をやった方が良かったのに…。」 田中泰三「待て。皇国の軍勢が負けるはずはない。かならず、生きて帰れる。出撃だ!」佐藤英樹「あんな練習機でどうにかなるとも思わないが、上村、武器の設定はいじれるか?」上村勝一「なめんな。俺は電算機の王だぞ。そんなもんできるが…たとえば、機関銃の発砲頻度をいじくれば、その分すぐ弾倉は空になる。」 佐藤英樹「それをやろう!」上村勝一「了解。機長殿のために過性能を引き出してやるとするか(笑)」田中泰三「よし出撃しよう。」 佐藤英樹「6号機出撃します!」佐藤英樹は田中泰三に操縦を任せた。通常秒30発の機関銃を秒45発設定に変更しておいた。 上村勝一が降下してきた敵ヒト型兵器めがけ過性能(オーバースペック) 機関銃を乱射する。佐藤英樹「敵装甲損傷30%。頭部を狙え。爆弾だ!」危うく、敵の爆弾を避けた。衝撃波で大きく機体は右へと吹き飛ばされた。佐藤英樹「全速上昇。補助ブースター作動。」機体は上へすっ飛んで行く。佐藤英樹「敵機にむけ全主砲撃ち方はじめ!」上村勝一「!りょう…かいッ!」 主砲が眼下の敵ほとんどをとらえ作動した。残った少ない敵機は音速で宇宙空間へと戻っていった。周りの練習機が高度5000mの中、6号機は7000mにいたのだ。 その頃、世界各地は大騒ぎだった。今まで月のあたりで戦っていたのに敵が、たった20機とはいえども高度5000mまで接近したのだ…!! 桜島には報道の無人ヘリも飛んでいた。そんななか、大きく頭部に6と書かれた機体が敵機のほとんどを撃墜したのだった。 テレビニュース「現在、墜落した敵機から半径5キロは一般人立ち入り禁止の戒厳令が敷かれております。敵の大部分を撃墜せしめたのは、桜島陸軍臨時特殊学舎基地の6号機です。練習機として使われる紫電2813-1型です。繰り返します。学生の練習機が敵の大部分を撃墜しました。この学生たちはEKFの希望ではないでしょうか!」 ウィィィィン。佐藤英樹「お………。」佐藤英樹「勝ったな。」田中泰三「皇軍の勝利だ。しかもすさまじい…。」上村勝一「我々6号機の勝利だ。我らが機体に万歳!」一同「………」人工知能「まもなく、地上に到達します。」 スゥゥ。カチャリ。そこには報道陣が詰めかけていた。ざわざわ。ざわざわ。佐藤英樹たちは逃げるようにして宿舎へと戻った。 教官(こいつら、化けるぞ…。大物にな。もう言わんでも帝都で検討されてるだろうが、俺が推薦してみようか。) 「6号機!よくやった。お前らには本当に感心させられる。基本の習得を急いでくれよ。もうまもなくエースパイロットになってもおかしくないんだからな?」 一同「はい!」 田中泰三「いやあよかったよかった。」田中泰三は珍しく微笑みを見せた。佐藤英樹「まさか初陣でこんな栄誉を受けるとは。」上村勝一「おい、これ見てみろよ、ニュースで俺たちのことやってるぞ!(笑)」佐藤英樹「すごいことしたんだなあ。」田中泰三「今まで再接近されたのは月だったのにわずか高度5000m…いわれてみりゃそうだな!だな!」 1カ月後。教官「お前らは常設兵学校を飛び越えて、東京東湾岸臨海士官学校に配属されることになった(笑)東京都にある。まさに佐藤の地元だな。」 佐藤英樹「はい。」上村勝一「今までありがとうございました。」教官「(笑)何を言ってるんだ?俺はお前たちのおかげで出世してその東京東湾岸臨海士官学校に赴任するんだ。3階級特進でな。本日付で准尉に昇進だ。」


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東京都東湾岸区・陸軍東京東湾岸臨海士官学校。東條・ルーデル教官「荒鷲2813-2型に乗ってくれ。」紫電が直接搭乗操縦型、荒鷲が遠隔操縦型のシリーズである。2813-2も2813という数字が示すように今年できたばかりだが、早くも名機と言われ始めている。 荒鷲2813-2の中でも0、1、2といった分型にわかれている。型のみの場合はそれだけで、分型まである型の場合は、型、分型合わせて、系と呼称されている。たとえば、2813-1型は今のところ分型に分かれていないのでそのまま2813-1系となる。 佐藤英樹たち3人が乗るのは荒鷲2813-2-3系 ╿(荒鷲2813-2型3分型)。2813-2型の中でも最新で、まだ実戦配備されていない系である。 話が複雑になってしまったが、結局、佐藤英樹たちが搭乗するのは荒鷲2813-2-3系の製造番号10000番。軍の計らいで10000番が提供されたのだ。 佐藤英樹「行きます!」田中泰三・上村勝一「了解」今、彼らは実際には搭乗せず、士官学校地下の仮想機体訓練所にいる。コンピューターによるシュミレーターである。上村勝一はまたもややすやすと標的を撃ち落とす。画面に、「撃墜」の字がいくつも表示される。 教官(誰か)「高度設定を0から10000にするぞ。実機同様、確認しろ。酸素タンクは正常か?気圧はどうだ?重力計はどう表示してる?」 佐藤英樹「問題ありません。」教官「よろしい。操縦を田中に渡せ。これより問題発生試験を行う。」3人が身構える。教官がボタンを押すと同時に警告が流れる。コンピューター「警告。警告。気密性に問題あり。室内酸素濃度低下中。室内酸素濃度低下中。酸素マスクを着用してください。」


3人は下りてくる酸素マスクを着用した。教官「よしそれでいい。宇宙空間において、酸素濃度が低下したときはまず酸素弁を見ろ。そして異常がなければ酸素残量を。危険な状況では、的確、迅速に上官に報告すること。」 上村勝一「了解」教官「では実践編だ。レベル5のシナリオ、日本海上対中戦闘に入るぞ。仮想敵、中華人民共和国。敵設定、人民103-2系ヒト型戦闘機120機とミグ1562-5-2系ヒト型戦闘機12000機、惑星内海上戦艦 23艦、惑星内海上航空母艦52艦。それに対して、自分らの戦力は荒鷲2813-2-3系ヒト型戦闘機20000機。設定された総撃墜量の 20000分の一をクリアすればこのシナリオは終了だ。」 佐藤英樹「了解。田中、発進せよ。」田中泰三「了解。酸素よし。」上村勝一「コンピューター、賛成34条件付き賛成62反対4。自動戦闘推奨とのこと。教官、どうしましょうか。」教官「それを考えるのが人間の役目だ。思念制御か自動制御か。簡単な話じゃないか。」上村勝一「了解しました。機長、兵装をコンピューターにまかせます。」佐藤英樹「了解。電算機に委任する。」 田中泰三「!敵、ミサイル発射開始。ミサイル発射…!」上村勝一は自動兵装制御を解除しミサイルを発射した。田中泰三「敵ミサイル到達まであと5秒。」佐藤英樹「対衝撃体勢をとれ。」 被弾した。このシュミレーターは実際に揺れ動く。上村勝一「上昇しては。」佐藤英樹「これより俺が操縦する。上昇!10000番、日本海上空に滞空。」 上村勝一「自由落下ミサイル大量投下します。」安全装置を外しつつ、3秒数えて、投下していく。佐藤英樹「敵惑星内海上艦隊、壊滅。」 教官「よくやった。このシナリオは終了だ。しかし覚えておけ。我々の敵はもはや地球の同胞ではなくSMFだ。SMFは強いぞ。わしが現役だったころ、それはそれはSMFは強かった。本当にな。今はより強くなっているぞ。勝ち目がないかも知れんが、これは地球人類の使命だ。 佐藤英樹「分かりました。」


3カ月後。教官「お前らはさっそく実戦投入されることになった。EKFもだいぶ追い込まれたのだよ。仕方がない。平時なら、士官学校に5年は在籍するものだが…。近年は1年ほどで戦地に送り込んでいたとはいえ、まさか3カ月とは。特に、佐藤英樹らには期待しているぞ。以上だ。」

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