そして俺は何も得られないかった
妻には話しをしている娘を見ながら寂しさと「成長した証だ」と自分に言い聞かせ、また忙しい日常に戻って行った。
「どれくらいだろうか?」ふっと仕事モードから日常の生活を振り返った。娘の反抗期は相変わらずだが妻ともまともに話しをしていない事に気がついた。丁度、営業先が自宅周辺な事もあり寄ってみようと思いたった。営業先とのやり取りを終えて自宅前まで来ると見慣れた車が俺の駐車場に止まってた。俺の親友の車だ。「こんな昼間に何で居るんだ?忘れ物か?」と思いイタズラ心も働きそっと音を立てず自宅に入った。そこには予想していない俺の命をかけて守るべき妻と親友と言うべき兄弟に成りたいと願っていた男が重なっていた。その場に立ち尽くし何も考えられずにいると親友から妻に「娘ちゃんは俺に似なくて良かった。妻ちゃんに似てるからモテるでしょ?」て会話が聞こえた。最早、脳が処理出来る範囲を超える情報量にパンクしそう。まだまだ会話が続く「あいつにはバレてないのか?」妻が「娘ちゃんは凄いモテるよ、この前も私と買い物行った時スカウトされたよ。断ったけど。旦那は鈍感だから」親友「マジか?娘ちゃんは知ってるんでしよ?」妻「うん。親友君をパパって呼んでたよ。」親友「嬉しい。今度一緒に遊びに行こう。」妻「はい。伝えておきます。」
また、始めた二人を背に静かにその場を去る。そこには修羅になった一人の鬼が。「やっと、家族が出来たと思ったのに。家族を壊す奴は許さない。」気持ちが熱いのに頭が冷静になっていく。復讐の算段をつけて実行するため、彼らの破滅に至るボタンを押した。
2年後、今日で全てが終わった。当然家族はバラバラに元親友は離婚され慰謝料&養育費のフルコース。元妻、元娘は妻実家へ返却、そして最後まで抵抗した離婚も役所へ届け成立済み。娘も念の為行ったDNAで不一致。親権を外した。もしもの為、遺言書も作成したし。家族の為にと無理をした大きめな家も売却しワンルームアパートへ引っ越した。携帯も解約して、頑張ってた仕事も辞めて派遣社員としての日々も悪くない。「やっぱり家族が欲しかった。何が悪かったのかな?神様がもしいるなら俺に笑い合い助け合い信頼出来る家族を作らせて下さい。」願いも空しく誰も答えてくれず今日もお酒に逃げていた。
数日後、小さなワンルームの片隅で一人の中年男性が亡くなっていたのが発見された。手には写真が握られていた。大きな家の前で綺麗な女性の隣で可愛らしい赤ちゃんを満面の笑みで抱く男性が誇らしく堂々とした姿て映っていた。
この様子を見ていた存在がこの男の物語を異世界へと誘う。




