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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

桜色の秘密-甘い百合物語

作者: 好鬼神

はじめまして


## 第一章 運命的な出会い


春の陽だまりが教室に差し込む午後、私は窓際の席で本を読んでいた。クラスメイトたちの賑やかな声が遠く聞こえる中、活字だけが私の世界だった。


「あの…すみません」


顔を上げると、見たことのない美しい女の子が立っていた。腰まである艶やかな黒髪、大きな瞳、桜色の唇。まるで人形のような美しさに、私は思わず息を呑んだ。


「転校生の白石雪菜です。よろしくお願いします」


「あ、はい。山田花音です」


雪菜ちゃんは微笑んだ。その笑顔は春の陽だまりよりも暖かく、私の心を一瞬で奪った。


「花音さん、いつもそこで本を読んでるんですね」


「えーと、はい…人が多いのが苦手で」


「私もです」雪菜ちゃんの瞳が輝いた。「もしよろしければ、一緒にお昼を食べませんか?」


その日から、私たちは毎日一緒に過ごすようになった。屋上での昼食、放課後の図書室、帰り道の寄り道。雪菜ちゃんといると、世界が色とりどりに見えた。


## 第二章 心を通わせて


ゴールデンウィーク明け、私たちの友情は深まっていた。雪菜ちゃんは本当に優しくて、いつも私のことを気にかけてくれる。


「花音ちゃん、今日の髪型素敵だね」


「そ、そんなことないよ」


「本当だよ。花音ちゃんはいつも可愛い」


雪菜ちゃんの何気ない言葉に、私の頬が熱くなる。友達としての褒め言葉なのに、どうしてこんなに胸がドキドキするのだろう。


放課後、私たちは学校近くのカフェに立ち寄った。雪菜ちゃんはイチゴパフェを注文し、嬉しそうに食べている。


「花音ちゃんも食べて」


雪菜ちゃんがスプーンでイチゴをすくい、私の口元に運ぶ。


「え、でも…」


「遠慮しないで。はい、あーん」


雪菜ちゃんの手が私の唇に触れそうになり、私は真っ赤になった。甘いイチゴの味よりも、雪菜ちゃんとの距離の近さに心臓が破裂しそうだった。


「美味しい?」


「う、うん…」


雪菜ちゃんは満足そうに微笑んだ。その笑顔を見つめていると、胸の奥が甘く疼いた。


## 第三章 芽生える想い


梅雨に入った頃、私は自分の気持ちに気づき始めていた。雪菜ちゃんへの想いは、もう友情だけではない。彼女を見つめている時の胸の高鳴り、触れ合った時の電流のような感覚、離れている時の切ない気持ち。


これは恋だった。


でも、同性を好きになるなんて…私は混乱していた。


「花音ちゃん、最近元気がないね」


雨上がりの放課後、雪菜ちゃんが心配そうに私を見つめた。


「何かあった?私に話してくれる?」


「雪菜ちゃん…」


私は迷った。この気持ちを打ち明けて、今の関係が壊れてしまったら?雪菜ちゃんに引かれてしまったら?


「花音ちゃん?」


雪菜ちゃんが私の手を握った。その温かさに、涙がこぼれそうになった。


「ごめん、なんでもない」


「嘘」雪菜ちゃんの声が優しく厳しかった。「花音ちゃんが悲しんでるのに、なんでもないわけない」


雪菜ちゃんは私を抱きしめた。その瞬間、私の理性は崩壊した。


「雪菜ちゃん…私…」


「うん」


「私、雪菜ちゃんのことが…」


言いかけた時、雪菜ちゃんが私の唇に指を当てた。


「分かってる」


「え?」


「花音ちゃんの気持ち、分かってる」雪菜ちゃんが微笑んだ。「私もなの」


## 第四章 秘密の関係


雪菜ちゃんからの告白は、まるで夢のようだった。


「私も花音ちゃんが好き。友達としてじゃなくて、女の子として」


私たちは人目のつかない音楽室で、初めてキスを交わした。雪菜ちゃんの唇は柔らかく、甘いはちみつのような味がした。


「花音ちゃん…」


「雪菜ちゃん…」


私たちは抱き合い、互いの温もりを確かめ合った。この幸せな時間が永遠に続けばいいのに。


夏休みが始まると、私たちの関係はより親密になった。雪菜ちゃんの家で過ごす時間が増え、まるで恋人のように手を繋いで街を歩いた。


「花音ちゃん、今度お泊まりしない?」


「お泊まり?」


「うん。映画を見たり、お菓子を食べたり、夜遅くまでおしゃべりしたり」


雪菜ちゃんの提案に、私の心は躍った。一晩中、雪菜ちゃんと一緒にいられる。


## 第五章 甘い夜


雪菜ちゃんの家は洋風の素敵な一軒家だった。ご両親は出張で不在、私たちだけの特別な夜が始まった。


「花音ちゃん、これ着てみて」


雪菜ちゃんが差し出したのは、ピンクのキャミソールとショートパンツだった。


「可愛い!」


「雪菜ちゃんのお古だけど…」


「ありがとう」


着替えを済ませると、雪菜ちゃんが私をじっと見つめた。


「どうしたの?」


「花音ちゃん、本当に可愛い…」


雪菜ちゃんの頬が赤く染まった。私も恥ずかしくなって、うつむいた。


リビングでアニメ映画を見ながら、私たちはソファで寄り添っていた。雪菜ちゃんの体温、甘い香り、柔らかな髪の毛の感触。すべてが愛おしかった。


「花音ちゃん」


「うん?」


「好き」


「私も」


私たちは自然にキスを交わした。最初は軽く唇を重ねるだけだったが、だんだんと深くなっていく。


「雪菜ちゃん…」


「花音ちゃん、もっと近くに来て」


雪菜ちゃんが私を膝の上に座らせる。心臓の音が聞こえそうなほど近い距離で、私たちは見つめ合った。


## 第六章 初めての感覚


夜が更けても、私たちの時間は終わらなかった。雪菜ちゃんのベッドルームで、私たちは抱き合っていた。


「花音ちゃんの肌、すべすべで気持ちいい」


雪菜ちゃんが私の腕を優しく撫でる。その感触に、私は身を震わせた。


「雪菜ちゃん…」


「怖い?」


「怖くない。ただ…初めてで」


「私も初めて」雪菜ちゃんが微笑んだ。「一緒だよ」


月明かりが部屋を優しく照らす中、私たちはゆっくりと愛を確かめ合った。雪菜ちゃんの手が私の頬を撫で、首筋に唇を寄せる。


「んっ…」


小さく声が漏れてしまい、私は恥ずかしくなった。


「可愛い声」雪菜ちゃんがくすりと笑う。「もっと聞かせて」


「やだ、恥ずかしい…」


「恥ずかしがらないで。花音ちゃんの全部が愛おしいの」


雪菜ちゃんの言葉と優しい愛撫に、私の心と体が溶けていく。これが恋人同士の愛情なのだと、初めて知った。


## 第七章 秘密の学校生活


二学期が始まっても、学校では私たちは普通の友達を装った。でも、こっそり手を繋いだり、人目のない場所でキスをしたり、秘密の恋人関係を楽しんでいた。


「花音ちゃん、放課後空いてる?」


「うん」


「じゃあ、例の場所で」


例の場所とは、誰も来ない旧校舎の音楽室。私たちだけの秘密基地だった。


授業中も、雪菜ちゃんとアイコンタクトを取る。彼女がウインクしてくると、私は頬が熱くなった。


「山田さん、大丈夫?顔が赤いけど」


先生に心配されて、クラス中の注目を浴びてしまった。雪菜ちゃんがくすくす笑っているのが見えて、私はさらに赤くなった。


放課後の音楽室で、雪菜ちゃんに文句を言った。


「雪菜ちゃんのせいで恥ずかしい思いしたよ」


「ごめんね」雪菜ちゃんが私を抱きしめる。「でも、可愛かったから」


「もう…」


私たちはピアノの前に座り、雪菜ちゃんが美しいメロディを奏でた。


「この曲、花音ちゃんのために作ったの」


「私のために?」


「うん。花音ちゃんをイメージして」


優しく切ない旋律が心に響いた。雪菜ちゃんの愛情が音楽となって私を包み込む。


「ありがとう…大切にする」


「花音ちゃんも大切にするよ。ずっと」


## 第八章 文化祭の思い出


文化祭の準備で忙しい日々が続いた。私たちのクラスは喫茶店をすることになり、雪菜ちゃんと私はウェイトレス役を引き受けた。


メイド風の衣装を着た雪菜ちゃんは、まるで天使のように美しかった。


「花音ちゃんも可愛い」


「雪菜ちゃんには敵わないよ」


「そんなことない。花音ちゃんが一番」


私たちがこそこそ話していると、クラスメイトの田中くんが近づいてきた。


「白石さん、今度映画でも見に行きませんか?」


雪菜ちゃんは困った表情を浮かべた。


「ごめんなさい、ちょっと…」


「花音と一緒じゃないとダメなんです」私が割り込んだ。


田中くんは不思議そうな顔をしたが、あきらめて去っていった。


「ありがとう、花音ちゃん」


「当然だよ。雪菜ちゃんは私のものだから」


その言葉に、雪菜ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。


文化祭当日、たくさんのお客さんが来てくれた。雪菜ちゃんの可愛らしいサービスに、男子高校生たちが夢中になっていた。


それを見ている私は、なぜか胸がモヤモヤした。


「花音ちゃん、どうしたの?」


休憩時間に雪菜ちゃんが心配そうに声をかけてくれた。


「なんでもない」


「嘘。顔に書いてある」


雪菜ちゃんは私の手を握った。


「もしかして、嫉妬してる?」


「…してない」


「可愛い」雪菜ちゃんがくすりと笑った。「花音ちゃんの嫉妬、可愛すぎる」


「からかわないで」


「からかってない。本当に可愛いの」


雪菜ちゃんは私の耳に唇を近づけて囁いた。


「私は花音ちゃんだけのものよ。他の誰にも興味ない」


その言葉に、私の心は満たされた。


## 第九章 クリスマスの奇跡


12月に入り、街はクリスマスムードに包まれた。雪菜ちゃんと私は、イルミネーションを見に行く約束をした。


「花音ちゃん、プレゼント何が欲しい?」


「雪菜ちゃんがいてくれるだけで十分」


「もう、真面目に答えて」


「本当だよ。雪菜ちゃん以外は何もいらない」


雪菜ちゃんは頬を赤らめて、私に抱きついた。


「花音ちゃん、そんなこと言わない」


「でも本当だもん」


クリスマスイブの夜、私たちは海沿いのイルミネーションスポットにいた。キラキラと輝く光が海面に反射して、まるで星空のようだった。


「きれい…」


「花音ちゃんの方がきれい」


雪菜ちゃんが私の頬にキスをする。冷たい夜風の中、彼女の唇だけが温かかった。


「プレゼント」


雪菜ちゃんが差し出したのは、小さな箱だった。中には、お揃いのペンダントが入っていた。


「これ…」


「お揃いにしよう。いつでも繋がっていられるように」


私も雪菜ちゃんに手作りのアルバムを渡した。私たちの思い出の写真がたくさん貼ってある。


「ありがとう」雪菜ちゃんが涙ぐんだ。「大切にする」


イルミネーションの光の下で、私たちは長いキスを交わした。


## 第十章 バレンタインの告白


2月14日、バレンタインデー。私は雪菜ちゃんのために特別なチョコレートを作った。


「雪菜ちゃん」


放課後の音楽室で、私はドキドキしながらチョコを差し出した。


「ありがとう」雪菜ちゃんが嬉しそうに受け取る。「私からも」


雪菜ちゃんのチョコレートは、ハート型でとても可愛かった。


「一緒に食べよう」


私たちは向かい合って、チョコレートを食べた。甘い味が口の中に広がる。


「美味しい」


「雪菜ちゃんのも美味しい」


その時、音楽室のドアが開いた。クラスメイトの佐藤さんが立っていた。


「あ…ごめん、邪魔しちゃった?」


佐藤さんは慌てて去ろうとしたが、私たちの距離の近さと雰囲気を察したようだった。


「もしかして…」


雪菜ちゃんと私は顔を見合わせた。隠し続けるのも限界だった。


「そう、私たち付き合ってるの」雪菜ちゃんがはっきりと言った。


佐藤さんは驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んだ。


「そうだったんだ。お似合いだと思ってた」


「え?」


「二人ともいつも一緒だし、見つめ合う目が特別だったから」


佐藤さんは私たちを祝福してくれた。初めて秘密を知った人からの理解に、私たちは安心した。


## 第十一章 春の新たなスタート


卒業式の日が近づいた。雪菜ちゃんと私は同じ大学に進学することが決まっていた。


「花音ちゃん、大学でも一緒だね」


「うん。嬉しい」


桜並木の下で、私たちは手を繋いで歩いた。一年前のあの日から、私の世界は色とりどりに変わった。


「雪菜ちゃん」


「何?」


「ありがとう」


「何に対して?」


「私を愛してくれて。私の世界を美しくしてくれて」


雪菜ちゃんは立ち止まり、私を振り返った。


「私こそありがとう。花音ちゃんがいてくれるから、毎日が幸せ」


桜の花びらが舞い散る中、私たちは抱き合った。


「大学でも、ずっと一緒にいよう」


「うん。ずっと」


## 最終章 永遠の愛


大学生になった私たちは、一人暮らしのアパートを隣同士で借りた。まるで新婚夫婦のように、毎日を一緒に過ごしている。


朝は雪菜ちゃんがコーヒーを入れてくれる。夜は私が料理を作る。休日は一緒に買い物に行き、映画を見て、お互いの愛を確かめ合う。


「花音ちゃん、幸せ?」


ベッドで雪菜ちゃんに抱かれながら、私は微笑んだ。


「とても幸せ。雪菜ちゃんは?」


「私も。こんなに幸せでいいのかなって思うくらい」


雪菜ちゃんの手が私の髪を優しく撫でる。その感触が心地よくて、私は目を閉じた。


「ずっと一緒にいようね」


「うん。約束」


月明かりが部屋を照らす中、私たちは愛を囁き合った。


高校生の時の初々しい恋から始まった私たちの関係は、今では深い愛情と信頼で結ばれている。


これからも二人で歩んでいこう。どんな困難があっても、雪菜ちゃんがいれば乗り越えられる。


「愛してる」


「私も愛してる」


桜色の恋は、永遠の愛へと変わった。私たちの物語は、まだ始まったばかりなのだから。


-----


*愛に性別は関係ない。大切なのは、互いを思いやる心。*


*二人の愛が、いつまでも続きますように。*

また会いましょう

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