4 私の魔眼強かった!?
「魔眼? でもそんなもの今までは無かったですよ」
「でも現にあなたの目は魔眼になっている」
そう言って鏡を見せてくるカフィリス。
マイカはそれを覗いて自分の目の色を確かめた。
(自分の右目は青いまま)
映った片方の目はいつもの青色だ。山の川の透き通るような色をした目。
そのまま左目の方を見ようと隠している前髪をあげる。
「あれ……?」
そこには先程の青い目は無く、紫色の目があった。
これは一体なんだろうか。魔法もたくさん勉強した私でも分からない。
「うーん、もう一度見せてくれない?」
そこでカフィリスがもう一度私の左目を確認してきて、こちらを見つめる彼女。
「それは魔力増幅型の魔眼といったところね」
「知ってるんですかこれ?」
「ええ、この前上級図書の本で読んだわー、色々書いてあったけど、その紫色の魔眼はそう言うのが多いんだって」
上級図書とはBランク以上の学生が入れる図書館の事だ。弱い人が変に強力な魔法を使用してしまうと暴走しかねない。その為の処置として制限がかけられている。
ちなみに図書から本を持ち出すのは禁止なので私は読めていない。
なるほど私が読んでいない本に書いてある知識なら、知らなくて当然だ。
「でもこれは隠したほうがいいわねー」
「どうして……いえ」
上級図書に書かれていた事であるならこの紫色の魔眼は、恐らく魔眼の中でも上位の力がある。魔眼があるだけで大きな価値になるし、それがさらに上位の魔眼だとすれば、とても強い力を持っている事になる。
「弱い人が突然強い力を持ち始めるとーーー」
「周りの奴から目をつけられて面倒な事になるね。出る釘は打たれるって奴」
「出る杭は打たれるですよ」
「……」
こちらを睨みつけてきた。
「でもその魔眼は簡単には隠せれない、どうにかしないとね」
「でも目の色を隠せる方法なんて……」
「あるよ、でもちょっと待ってね。あるアイテムを持ってくるから」
そう言ってカフィリスは部屋を出て行った。
また部屋が静かになる。
(本当に今日は、いや昨日からかな? 驚きの連続だ)
パーティーを追放されてから、禁忌の森に入り込み化け物と出会った。その後にカフィリスに助けてもらい、今度は稽古をつけてもらう事になった。しかもSランクパーティーとして学園祭で戦う事を条件付きとして。
(あれ、何か忘れているような……)
どこか引っかかるのをマイカは感じた。昨日出会った事に一つだけ抜けていることがあるような。
何だっただろうか、それを思い出そうしてみるが。
「ヤッホー、おまたせ」
カフィリスが帰ってきた。
「あれどうしたの、何か考え事?」
「いえ、何もありません。それよりどこへ行ってたのですか?」
「学寮。これを取りにいってた」
そう言って彼女が取りだしたのは小さい円形。
中心は透明でその周りはドーナツ状に青色に染まっていた。
「カラコン」
「カラコン?」
「そう、これを使って目の色を誤魔化すの。魔術で色を変える方法もあるけど、こっちの方が手っ取り早いし」
じっとしててねー、そう言って私の左目にそのカラコンをつけた。目に何か付けられた感覚に違和感を持つが、カフィリスが持ってきた鏡を見てそれは吹っ飛ぶ。
「目が青色になってる」
「オッケー。左目に右目、両方とも違和感なし」
鏡で自分の両眼をみると、そこにはいつも通りの青い目が写っていた。
「それじゃあ、魔眼問題も片付いたし本題に入りましょう。あなたを強くする方法、とりあえず放課後に練習場きてね。勿論一人で」
練習場とは魔法や剣の練習する場所であり、そこでは剣技や魔法とそれぞれ専門の場所があっていろんな技を試すことができる。
「そこで魔法の練習ですか?」
「ええ、まずはあなたの特性を見る。そこからどんな練習をするか考えるよ」
そう言って彼女はかけていた椅子から立った。
「それじゃあ今日は、ここで休んでなさいねー。明日から練習始めるから」
「はい、ありがとうございます」
そのままカフィリスは部屋から出て行った。
そして私はすぐにガッツポーズをした。
「やった! 最強のカフィリスさんに敬語つけてもらえる」
小さい声で噛み締めるように言った。今まで散々弱い、無能と呼ばれていたけどこれでやっと強くなれるかもしれない。
(でもまだ安心するのは早いや)
最強との訓練はとても厳しいものになるだろう。うまくいけばものすごく強くなれるかもしれない代わりに、それ相応の努力が求められる。
いや、それだけじゃない。厳しい訓練に耐えれる強い心も必要だ。
(でもそれは今までで鍛えられたし)
だがそれも罵倒され続けた事で少しは強くなっている。
「よぉーし、今日は休んで明日から、とことん頑張るぞぉー」
最強になってルイスを見返す。
それを目標に私の修行生活は始まった。
「面白い掘り出し物見つけちゃったー」
場所は廊下。保健室から出た彼女は一人で楽しそうに歩きながらそんなことを言った。
(彼女が持っていた魔眼。秘めたる力があったなー。何か秘密がありそうだけど)
そう。元々魔眼とはいきなり身につけるものではないのだ。
基本的に生まれた時から魔眼は身に付けておりその時点である一定の強さは確定する。その強さは人それぞれだが、Eクラスの学生に留まるわけがない。
必ず理由がある。
自分の探究心を満たす為にも、彼女の稽古を許可をした。これが吉と出るか凶と出るか。
ギャンブル感覚で彼女はこの賭けに出ていた。
(一体彼女から何が手で来るんだろうなー。あぁ〜楽しみ!)
ちなみにマイカに説明した魔眼の事は嘘である。
確かにあの魔眼が魔力増幅型なのは間違ってはいないが、あれには更に施しがされていた。
封印。
彼女の力を封印する魔眼に、あの森で放ったB級クラスの炎魔術。
それが気になって気になってしょうがなかった。
(何もかも上手くいきすぎな学園生活。そこで現れた核クラスの不安定要素。もぉ〜何か起こる気しかないなーー!!!)
最強故の傲慢の悩み。
彼女はウキウキしながら廊下の奥へ消えて行った。
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