聖女になりたくない聖女候補ですが、黒髪少年のボロアパートに匿ってもらったら伝説のおにぎりに骨抜きにされてしまいました。既成事実を作ったので戻ってこいと言われてももう遅い。今日も元気に屋台を引きます。
この作品は「なろうラジオ大賞2」の参加作品です。
千文字と超短いのはルールなのですごめんなさい(><)ノ
ざまぁなし、お色気シーン少しあり、苦手な方はブラバお願いします(^人^)
1
「聖女候補様、止まって――!」
「止まれと言われて、……はぁ、……はぁ、止まるバカがどこにいますかぁ」
必死に追っ手から逃げる私。
追って来るのはこの国の神官たち。
私は何も悪い事していないわ。
ただ、聖女に選ばれたくないだけ。
だって、聖女になったら結婚が出来なくなるのです。
私はとにかく必死に逃げた。
こんな事もあろうかと、足の速さにステータス振っててよかった――。
2
「聖女候補様、どうぞ。今日の夕食です」
「待ちわびましたわ。でも、その呼び方はやめてくださいまし?」
私は王都の片隅、ボロアパートの一室に身を寄せていた。
部屋の主は、屋台をやっている黒髪の少年クータ。
お腹が空き過ぎて、行き倒れなところを拾ってもらったのです。
――えっ、15歳の女の子なのに危ないって?
大丈夫。
聖女候補の筋力を知っていたら手を出そうという一般人男性はいないわ。
あっ涙が……。
ところで、私は彼の作る食事にメロメロになっていた。
屋台をやっているプロだけあり、どれも超美味しい。
特に、この『伝説のおにぎり』が絶品。
彼が作る料理は全て異世界の食べ物なんですって。
どうにか、彼に私を食べてもらう方法はないかしら……。
3
TVドラマを見ていると。
『……くっ、殺せ……』
どうやら彼、女騎士がオークに襲われるシーンを見て興奮を覚えているみたい。
「クータは女騎士が好きなんですの?」
「いや、女騎士というよりシチュエーションかな」
「ふーん? 結構変態っぽい」
「そこは健康な男子ですし」
その割に、私を襲ってきませんわね?
「いや、責任が大きすぎるから」
「へぇー?」
「あ、でも、ルティナ様が同じように誘ってくれたら、僕も我慢できないかも」
な、何ですって? よし!
「こ、こうかしら
『……くっ、神が赦しませんわよ……』
」
4
自らの体を抱きしめるようにして、ふるふると震えてみせながら、目を逸らす私。
大きさには少し自信のある胸を腕で押し潰してみる。
『殺せ』は悪い言葉だからドラマのセリフ通りには言えなかったけど、口にしてみたらこっちの方が背徳感ある……。
とっても顔が熱くなる……。
そしたら、クータの鼻息が段々激しくなって。
「る、ルティナ様、ごめ――――ん!」
「っあ、クータっ、ん、責任は取ってくださいねっ」
「分かった責任とる、今は難しい事言わないで」
「――ンはっ♡」
……これがふたりの馴れ初め。
この屋台で食い逃げしたら、元聖女候補のステータスでお仕置きだから覚悟してね☆
最後までお読みくださりありがとうございます。
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