プロローグ
一番大事なものほど、わずか一秒足らずで失ってしまうのだと知ったのは、あの時だ。
あの時、自分が。
君を守ってさえいれば。
何故、君は救われなかったのだろう。
何故、君が死んでしまったのだろう。
何故、自分が生きているんだろう。
本当は分かってる。こんな風に自分を責めることを、君が望んでいないことを。
けれど、どうしても考えてしまうのだ。あの時、どうしてって。
ああ、もう一度。
もう一度だけでいい。君と過ごしたい。
青春をしたい。それがだめなら、せめて、そばにいるだけでいい。
だから、お願い。どうか、どうか。
こんなこと、心の中で思い続けても仕方ないってわかってるけど、それでも。
「――――それが望みかな?」
そうだけど、君は誰?人の心の中に急に来るなんて、気味が悪い。
「今はそんなこと、どうでもいいんだよ。それよりも今大事なのは、あなたが望んだことだ」
……で、でももう死んだんだよ。どうしようもできないことじゃん
「そんなことない、あなたが望みさえすれば。それだけでいいんだよ」
……そんなうまい話、あるわけない。信じない
「信じないか。それは残念。でもまあ、試してみて? ……というよりは、試さざるを得ない、って感じだけどね」
何、どういうこと? 全く話が見えない。
「いつかは分かるし、それを理解する人にも、巡り合える。ただあなたは、自分が望むことを思い浮かべるだけでいいのさ」
「まあいいんだよ、何はともあれ楽しむことさ。この先のちょっとしたボーナスタイムを、ね」
それだけいうと、中性的な人(多分人である。なんだか違う気もする)は消えた。
……今のは一体何だったのだろうか。
しばらく、多分人なのであろう存在が言っていたことを思い返していた。
そんなの、あるわけないと思っていた。
でも……。
それでも……。
胡散臭い話だけれど……。
もし、願うとするならたった一つだった。
君が救われ、隣で共に成長する、そんな世界。
他には何もいらない。これ以上の幸せも喜びも、ありはしない。
だからどうか、あの人を、どうか。
そう願った次の日、懐かしい笑顔を学校で見られたあの時の自分の気持ちを、多分、きっと、いや絶対、忘れない。




