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 電車に乗って移動するまでの間、ジョウと小野木が二人だけで仲睦まじく話しているのは、正直見ていられなかったので、わざわざ俺はソシャゲ周回するわと嘘までついて目を逸らした。

 それに気が付いたのか、それともただの偶然なのかは(前者だと信じたい)分からないが、一木が度々二人の会話に混ざってくれていたのは助かった。

 俺が一方的に嫉妬をする以外は、何かもスムーズで平和だった。

 ケイブクロに到着してからもそれは変わらずで、デカいボウリングのピンが目印のボウリング場へきた。ここにはボウリング以外のこともできるし、ゲーセンもある。

 一木は何もかも物珍しかったようだ。名古屋にもあったんじゃねぇのかと聞くと、気まずそうな顔をしていた。

「……男子は休日に私と行動しただけで勘違いするし、それのせいで女子からも男好きって言われて遠巻きにされてから……」

「……余計なこと言って、悪かった」

「ううん」

 気にしないで、と一木は言ってくれたが、少し考えれば分かることだったのだ。圧倒的に気遣いが出来なかった俺が悪い。

「二人ともどうしたのー?」

 先に言っていた小野木が俺達を呼ぶ。

「……後でばくだん焼きおごる」

「? なにそれ……?」

「見てからのお楽しみ」

 いいから行くぞ、一木に声を掛ける。一木はばくだん焼きが何なのか分からないのか、爆弾を……焼く……? どういうことなの……? と言っている。

 クールな見た目とは裏腹に、天然で意外と面白い奴だ。

 一木と二人で、先に受付しているジョウと小野木のもとに向かった。

「それで、ここに名前書いて……。一ゲームでいい?」

「おう」

「俺もいいぜ」

「ボウリングよく知らないんだけど、一ゲームどれくらいの時間になるの?」

 一木の質問に対し、う~んと言いながらジョウが答える。

「ん~分かんねえなあ。全員上手くて毎回ストライクとかならサクッと終わるだろうけど、そうもいかねえし。そもそも十回の総合スコア競うからな」

「四人でやったら順番もあるしね~。アザミちゃん、今日もしかして予定とかあった?」

「わ、私はないけど……」

 あるのはそっちなんじゃ、と言わんばかりに一木が小野木を見つめる。小野木はそれに気にする様子もなく、「まっ、そんな長くないだろうし大丈夫大丈夫!」と笑う。

 受付を無事済ませてシューズに履き替える。小野木に教わりながらシューズを取り出した一木は不思議そうに見つめていた。

「そのままでやるものだと思ってた……」

「中は結構滑るし、キズ防止と水分を床につけないためらしいよ~」

「そうなんだ。トウコ詳しいのね」

「詳しいって程じゃないよ。あたしもそういえば何でだろ? って思ったから調べたくらいだし。あ、アザミちゃんボールどれにする?」

 少し離れたところで、二人が仲良く靴を履き替えながら話をしている。ただそれだけなのに、二人とも美少女なのでものすごく画になる。それは思わず、ボール選びを忘れてみてしまうくらいには。

 今日は活発そうな雰囲気の一木が初心者で、女の子らしさを前面に出した小野木が色々教えているというのがまた良い。ギャップ萌えである。

 片方が俺の好きな人と同じ人間を好きになってなけりゃあもっと良かったんだがな……。

「イヅルは何ポンドにするんだ?」

 ふいに背後からジョウに声を掛けられる。ビックリしすぎて肩が跳ねてしまった。ボールを持っていたら大惨事になるところだった。

「? 何だ、どうした?」

「や、なんでも、ねえよ……」

「ふ~ん……」

 ふーん、といいながら俺がどこを見ていたのかジョウは勘付いた様で、ニヤニヤしている。

「……お前、どっちが良いんだ?」

 ジョウが俺の耳元でそう囁くと、また肩が跳ねた。何なら心臓も飛び出そうだった。さっきのニヤけた顔など嘘のように、真面目で、低い声だった。

 小声で言われたせいで、なぜか俺も小声で返してしまった。

「……何のことだよ」

「とぼけるなって。トウコか一木……、どっちなんだ?」

「お、俺は……」

 お前だって、言いたい。

 でも言えない。言いたい、言えない、言いたい、言えない……っ!

 心臓の音がうるさいし、顔中熱い。アイツが背後から来てくれてよかったなどと思う日が来るとは思わなかった。何だったら二人が早く来てほしい。イイ感じに邪魔してほしい。

 だって多分今、俺の顔はとんでもなく情けないだろうから。

「イヅル、俺はさ……」

「み、耳元で話しかけんなバカっ……!」

 そしてこの追い打ちである。耳に息がかかるようにしながら名を呼ぶのは、いくらなんでもずるい。

 もうここまでされては我慢の限界だった。いっそ思い切って、そう思った時だった。

「二人ともお待たせ~! ……って、何やってんの?」

 この時間に終止符を打ってくれたのは小野木だった。

「……っ! ト、トウコ! いや、何でもねえよ!?」

「いやいやいや!? 何でもないって雰囲気ではないでしょ!? イヅル君顔真っ赤じゃん!」

「これはその~、アレだ! ええと……」

 弁解の一つもできていないが、ジョウは大げさに手を振りながら、しかし俺の前に立って、まるで俺を隠すようにしている。

「トウコ、もういいじゃない。私はやくボウリングやりたい」

 この場をいち早く終結させたのは一木だった。ボウリングをしたいのは事実なようで、先ほどから目がキラキラしている。

「ウッ、美少女のキラキラおめめッ……! 眩しい……!」

「何て強さ……!」

 小野木とジョウがいつものテンションになり、俺も何だか落ち着いた。

 その後ボールを適当に選び、ボウリングが始まった。

 ジョウの先程の行動が引っかかったが、後で聞けばいいと思い、その時は投げることに集中した。

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