あとがき
《堕天使がうちにやって来た!》、第一部は全67話を以て無事完結致しました! これも読者の皆様のおかげです。御愛読、ありがとうございました!
(作者本人が語りたくて仕方ないので、ここからはお暇な方だけどうぞ(笑))
さてこの作品ですが(完全なる自己満足の産物のため、小説とはおこがましくて言えません)、執筆の最中は私のストレス解消に大変役立ちました。構想から第一部完結までおよそ2年、思えば長い付き合いとなりました。
そして何より読者様の存在は大きかったです。頂くメッセージは感涙ものでしたし、アクセス数が伸びていくのを見てはひとりガッツポーズでした。
もともとファンタジーが好きなので、本当に楽しく書けました。天使や悪魔が出てくる話はありきたり……ですが、どうしても書かずにはいられなかったのです。実際にある伝承をモチーフにしているところもあるので、所々の小ネタにニヤリとしていただけたのなら幸いです(笑)。
最初はコメディを目指していたのですが、いつしか“ほのぼの”というキーワードが加わり、やがて何故か恋愛へと着地。ちょっと予定とは異なりましたが、私自身が納得した結果であり、いい意味でキャラクターが勝手に動いてくれた結果だと思っています。
そう、キャラクター。私の愛すべき心の支えです。
では、この物語をつくるためになくてはならなかった皆さんを、感謝を込めて紹介します♪
***
【心優しきしっかり者】
《進藤真子》
この物語のヒロインにして、唯一まともなツッコミ担当です。
真子さんにはずっと視点を担当してもらいました。皆さんの目に、彼女が見た世界はどう映ったのでしょう?
ちなみに真子さん本人についての外見描写はほとんどしていません。皆様なりの真子さん像を結んでいただければ、と。
実は真子さん、作者である私に一番似ています。私はあそこまでしっかりしていませんが……。だから自然な感覚で執筆できましたし、ルシフェルとの生活自体、自分で体験したも同然で。楽しい二人暮らしでした!(笑)
本人も薄々気付いてはいたようですが、彼女の周りにはどうも変人が集まるようです。きっと彼女は心が広いからでしょう。その寛大な心で、突如現れた“堕天使長を名乗る男”さえも受け入れてあげます。全てはそこから始まったのでした。
勉強はそれなり、運動はイマイチ。両親が子供っぽかったおかげか、年に似合わないしっかり者。片付けは苦手みたいですが、料理は万魔殿の料理長をうならせ、魔王様を虜にするほどの腕前。堕天使長ほどではありませんが、やや鈍いところがあります。頑張れ圭君!
優しい少女の周りはいつもドタバタ。ツッコミつつも、笑ってまるく納めてしまう。まるでお母さんみたいな存在でした。
読者様に応援されていた恋も、ちょっぴり進展したみたいです。良かった良かった。
彼女がいなければ、この物語は成り立たなかったでしょう。本当にありがとね!
【超絶美形な乙女キラー】
《ルシフェル》
もうひとりの主役、堕天使長ルシフェル様です。
“堕天使長”、“魔王”と呼ばれる最強の人外……しかしその実態は、万人を魅了する美貌を持った、無敵の天然食いしん坊。
経験豊富な堕天使様の深い言葉には、男女を問わず反響がありました。女性の皆さんからは“可愛い!”とのお声も。さすがです。
彼はズバリ私の好みの詰め合わせです。言わば理想の塊。作者もとても癒されました。真子さんにとられてしまいましたが、それ以外にもライバルは多いです。彼はかなりの鈍感のため、自分に向けられる好意に気付きませんから。罪な男ですねっ。
最初と比べて、最もキャラが変わっているのも彼だと思います。地獄では威厳を保たなければならない堕天使長も、人間界では気を抜いて甘えたりしていたんでしょう。すごい実力者なのに甘いものが大好き、というところも何とも微笑ましいです。
何不自由なく過ごしているように思われますが、彼は多くのものを背負い、たくさんの悲劇を乗り越えてきています。時折見せる憂いを帯びた表情、その理由を本人は語りません。きっとそれは、時がくれば明らかに。
彼が何にも煩わされずに笑える日はくるのでしょうか。運命の鍵を握る堕天使長。それでも今は、彼の居場所は決まっているのです。
【天下無敵の爆弾娘】
《三ノ宮黎香》
きましたミス破天荒。一番作者泣かせで、一番スパイスになってくれたのが彼女でした。独特の言い回しが特徴で、チビ呼ばわりすると怒って飛び掛かってくるため要注意です。
“特許取得数ナンバーワン”という奇妙な肩書きを持つ影のド金持ち、三ノ宮家の跡取り娘。一人前の発明者になるべく、日々修行と実験に励んでいます。夢はなんと世界征服だったり。
彼女がいたおかげでお金には困りませんでした(笑)。程よく(時にやりすぎでしたが)かき回してくれた彼女にも、本当に感謝です。なかなかファンが多い、誰からも愛されてしまう娘でもありました。
彼女についてひとつ心残りなのは、家族の話を出せなかったこと。作中にちらっと出てきたお兄さんについても、ちゃんと設定は決めてあるんですが……。機会があれば書いてみたいですね。
いつの日か、彼女がノーベル賞をとることを期待しましょう♪
【微笑みの毒舌貴公子】
《アシュタロス》
堕天使長の一番の忠臣で、最も辛辣なツッコミを披露してくれた銀髪の堕天使様。常に微笑を浮かべ、敬語を使う美人さんです。
この堕天使様も謎が多いですね。ルシフェル様との関係も気になります。本当にただの友人なのでしょうか?
結界の専門家であり、ナイフ投げは実に正確。武術だけなら万魔殿最強かもしれません。時には恐ろしい流血姿で驚かせてくれたりもしました。そしてルシフェル様が絶句するくらい、ドレスや浴衣が似合います。
相手がクマだろうと万魔殿幹部だろうと、容赦しないのがアッシュ流。戦神も、どうやら黎香嬢との生活は楽しんでいるみたいです。これからも二人で修行に励むことでしょう。
【乙女より乙女なバスケ部のエース】
《虎谷奏太》
【体育会系純朴ヤンキー】
《池田圭》
色気と乙女担当の好青年・奏太君と、黎香の良きライバルにしてルシフェル様の恋敵・圭君です。
まずは奏太君。彼には真子さんに足りない“女子成分”をたくさん補ってもらいました。言葉使いが衝撃的で更に女装も似合っちゃいますが、本人曰くその気はないそうです。根は本当にいい子なので、この物語中では貴重な常識人でもありました。
毎日放課後は、部長の井神君と一緒に爽やかな汗を流してます。差し入れしてあげたら喜ぶかもしれません(笑)。
インターハイ目指して頑張れ!
お次は圭君。学校サボりまくり、でも部活だけは頑張るという、不良らしからぬ不良です。
自分より強い奴とは手合わせしないと気が済まないという、変わった性癖の持ち主。堕天使さん達は特別で、“兄貴”と慕っています。
運動神経はかなりのもので、黎香と渡り合える珍しい人間のひとり。一方で、絵を描くのが好きだったり、クリスマスを気にしてみたりと純粋な一面も。真子さんに淡い好意を抱いていましたが……厳しい闘いになるよ、圭君!
二人ももっといっぱい出したかったです。盛り上げてくれてありがとう!
【実はイイひとなやさぐれ“蝿王”】
《ベルゼブブ》
【白い翼の“爬虫類の支配者”】
《ウァラク》
口は悪いけど根は紳士・ベルゼブブさんと、抱き締めたくなる金髪少年・ウァラク君。
ベルゼブブさんは、真子さんを誘拐するという第一印象最悪の出会いから、ちょくちょく出てきてはその憎めないキャラで場を和ませてくれました。彼のセリフは書いてて楽しかったです。豪快に笑うのも特徴的でしたね。
忘れられかけていますが、れっきとした万魔殿幹部のひとり。自称・次期魔王候補だそうで、ルシフェル様を密かにライバル視……しかし良き友人でもあります。
口も目付きも悪いのに、女性や子供には結構優しかったり。中でも黎香はお気に入りだったみたいです(笑)。
愛らしい容姿と言動で周囲を魅了したウァラク少年。真子さんでなくとも、ふわふわの金髪は撫でたくなること間違いありません。ウァラク君も堕天使長のことが大好き。上司であるルシフェル様とアシュタロスさんには特に懐いていましたね。
見た目にそぐわず、怖いドラゴンさえも操っていました。伝令役として地獄と地上を行ったり来たり。地上に来た時は奏太君のことを気にかけていたようです。
白い翼の金髪少年を見かけたら、菓子パンをおごってあげてください。きっと愛くるしい笑顔を見せてくれます♪
【極寒のオーラを纏う働き者】
《ベルフェゴール》
【紅一点のセクシー悪魔】
《レヴィアタン》
【女性と美と魔王を愛する】
《アスモデウス》
幹部三人衆です。彼らも実に素晴らしい役者でした。
ベルフェゴールさん。初めて登場した悪魔らしい悪魔さんです。
白銀の髪に灰色の瞳、憮然とした表情や素っ気ない言葉が寒々しくて。堕天使長までたじたじだったみたいですね。とはいえ留守を守っていてくれたのも彼。不平を洩らしつつも、誰よりも働き者でした。
女顔であることがコンプレックスの様子。ベルと呼ばれると激怒するのにも、何か理由があるのでしょうか?
人間……特に女性嫌いですが真子さんだけは別みたいです。過去に出会った誰かに似ているのだそう。彼もまた謎多き悪魔さんです。
真子さんの良き恋愛相談相手、幹部で唯一の女性たるレヴィアタンお姉さん。
小顔でスタイル抜群。大胆な服装でレムレースさん達をからかって楽しんでいます。ベルフェゴールさんに口で勝てるのも彼女くらいでしょう。
ルシフェル様とは長い付き合いのようですが、そういう対象としては見ていない様子。寧ろ真子さんとの仲を(面白がって?)応援しています。
アスモデウスさん。密かに作者お気に入りでした(笑)。
腰まで届く金髪に、線の細い中性的な顔立ち。何よりの特徴は装飾品の数々でしょう。彼が好きなのは“美しいもの”。人然り、天使然り、物然り……手に入れるためには努力も財も惜しみません。
そして女性も大好き。その妖艶な容姿と甘い囁きで、数多の女性を虜にしてきました。やりすぎて従者さんに叱られることもあるようですが……。
彼はいつの日か、美しき堕天使長を手に入れようと頑張っています。最近はうっかり口付けようと画策中。物語が危うい方向に進まないことを祈りますっ。
***
主要キャラのみの紹介となりましたが、名前だけのキャラクターも含め、全員が大事な私の友であり役者です。もちろん読者様も物語をつくる上で不可欠でした。重ねて感謝申し上げます!
先程から“第一部”と称していましたが、実は以前ちらっと申し上げた通り、“第二部”の執筆も考えています。主に伏線回収のために。
このままで終わるパターンもアリだとは思います。彼らの運命を皆様の想像に委ね、背景の示唆に留めておく。
しかしせっかくの彼らの歴史を、是非知っていただきたいとも思うのです。また、複数のご要望も頂けました……ということで、執筆する方向でいきたいな、と。メッセージを下さった皆様、ありがとうございました。
第二部が実現した場合、具体的なテーマとしては
・《ルシフェル様の過去》
・《堕天の理由》
・《真子さんと地獄の因縁》
・《天界と万魔殿》
・《ルシフェル様と真子さんの関係》……
などなど。第一部がほのぼのコメディだったのに対し、伏線回収ではいくらかシリアスな描写も入ってくるはずですから、ファンタジー色がより濃くなることが予想されます。
それぞれの悪魔さんや堕天使さんのエピソードも書いてみたいとも思っていますし。問題は私の執筆速度ですが(笑)。
……願望はあるのですが、これらの話が日の目を見るのはまだまだ先になりそうです。(次にお会いできるのはいつになることやら(汗)。)それまでは彼らの平和な日常を、どうぞ心の隅に留めておいていただければと思います。いつか、ふと思い出したかのように、新たな物語が始まっているかもしれません。
長くなりましたがそろそろお別れです。
私の拙い文章を読んでいただき、そしてこの物語づくりに参加していただき、心より御礼申し上げます。
本当に本当にありがとうございました!!
***
(オマケ♪)
「……どうして我が輩達の紹介が無いのかね、アガレス君!?」
「し、知りませんよ」
「むむっ。ではせめてこの場で存在感をアピールしておこうではないか! アガレス君、何か“見えない”かねっ?」
「……紳士同盟の会長たる者、謙虚さ、とかそういう考えはないのですか」
「紳士な我が輩が、こうしてアガレス君の予言で格好良く締めてやろうと――」
「…………。いいです、もう。ぼんやりとしてはいますが、少しなら“見えます”から」
「ほう?」
「こほんっ……《玉座を追われ、鎖を手繰る。赤い光は道標。反する者の糸は交わり、記憶の向こうに歌を聴く》」
「…………」
「…………」
「……本当のことかね?」
「…………さて♪」
(おしまい♪)