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異世界バトル・ロワイアル (9)

ドガァ!


「ぐうぅ…… 」


壁に叩きつけられたカズの身体はコップでも持つように横から握られており、両腕の自由は効かない。 更にキツく締めつけられ、このままでは骨まで折れそうだ。


「ふん!」


ギャリン!


「……クフフフ」


老人が悪魔の光線を掻い潜り斬撃を飛ばすも、その障壁を破る事は出来なかった。


「むぅ、やはり通らぬか……」


「頭にきたぜ、ジジイ手を出すんじゃねぇ!……この悪魔野郎は、俺が殺る! 」


『燃えろ、俺の身体ーー』


カズは魔法、体術、剣術と全てをこなす万能型の戦士だ。

魔法はアカリ、体術はヤス、剣術では爺にそれぞれ及ばないものの、総合力とスキル魔法を武器に活躍し、グループをリードしている自負がある。


中でもスキル魔法〈精霊疑似融合〉は、地水火風の四元素を使い分ける事まで可能で、敵の弱点属性を選び打てる。それは、どんな相手にも抜群の破壊力を示してきた自慢の攻撃方法だ。


そして再び、最大の火力を誇る〈火の精霊〉との疑似融合をカズは始める。体温はみるみる上昇し、やがて太陽のように白く燃え始めた。


(悪魔の弱点なんて分かんねぇけど、関係ねぇ!

)

「いくぞ! 『火蜥蜴(サラマン)……』ーーぐぼぉ! 」


「クフフフ。 うるさいですね、無詠唱くらい出来ないのですか? 」


ゴキゴキ!


「もっとも魔法使いでなくても、肺を潰されれば誰であろうと戦えないでしょうがね」


「うぷ……ぁ……」


更にキツく握られた悪魔の拳の中で、カズは大量の血を吐いた。折れた肋骨が数ヶ所肺や内臓を突き破ったためで、呼吸すら困難となってしまった。

そして脱力したその身体からは、まるで手で握り潰されたリンゴのように、果汁がごとく血をボタボタと落としている。


「いけませんねぇ、御老人。 しつけも教育も、まるで為ってませんよ」


「ふん。 まさか悪魔と戦うなどとは、思っておらんかったもんでな。 ワシはただ……立派なツッコミ芸人を育ててきたつもりじゃから! 」


「…… 」


「むぅ、やはりボケは通じんか…… 」


「その余裕……不思議ですね。 上位悪魔を前に、転生者はあなた一人。 とても勝ち目があるとは思いませんが…… 」


「なに……年寄りなだけに、腹を括っておるだけじゃ」


「ほう…… 」


……ズウゥゥゥゥン……


!?



「アカリか……。 アレを使いおるとは、まったく大袈裟な奴じゃ。 まあ、ワシもこのままじゃと殺されそうじゃし、アレを試してみるかの…… 」


老剣士は今まで手にしていた刀を鞘に戻すと、


影の空間(シャドウストレージ)


自分の足下の影に手を突っ込む。


「クフフフ、ずいぶんと古い魔法を使う。 さて、何を出すのですか? 」


「なに、知人から預かっているモノじゃが……」




「聖なる剣じゃよ……聖剣。 名前が確か……」






「……聖剣(・・)フラガラッハじゃ」



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