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異世界バトル・ロワイアル (6)

……まったく


面倒な事になった……


この〈転生者〉達のせいで私のオークションは台無しだ。特にあの〈キュ~〉とか呼ばれていた少女。転移のスキル魔法か……

せっかく、水晶牢獄に閉じ込めたと言うのに、ついに残りの一人も脱出させてしまうとは……


面倒な奴等だ。



「お? 爺、珍しく慎重だな! 手伝ってやろうか!? 」


「フン、いらんわい…… と言いたい所じゃが、コヤツ得体が知れん、気を付けるんじゃ! 」



……この赤髪の少年を助け出した後、少女二人は何処かに転移した。たぶん〈鑑定士〉を追いかけに行ったのだろう。転生者三人相手に、レバではとても歯が立たない。


まあ……

鑑定士を追う理由は察しがつく。過去の転生者狩りにおいて、鑑定士はその力を存分に振るっている。

女子供関係無く、捕らえられた者は、拷問、人体魔法実験などをされた後、必ず殺された。

彼ら転生者にとって鑑定士とは復讐の象徴であると供に、自分達の身を守る為に殺さなければならない存在なのだろう。


しかし私に取っても、やっと確保した貴重な存在、品物なのだ。


〈転生者〉自体に恨みはないが、どちらにしても手下を殺され、魔道具を奪われ、オークションを台無しにしてくれた彼奴らには、それ相応の報いを受けてもらわなければ……


しかた無い。


「得体が知れない? フフ……なるほど。 確かにフェアでは無いですね。 ならばお教えしましょうか…… 」


司会の男〈カシラ〉は、残された片腕を前に伸ばし、指を広げる。 するとカシラの足下に現れた水溜まりの様な黒い影から、気味の悪いドクロの装飾が施された棒が、ゆっくりせり上がってきた。


「おい、爺! 」


「分かっておる! 」


ズバァ!


直ぐさま、老人から放たれた斬撃がカシラの身体を袈裟斬りにする。またも吹き出した赤黒い血吹雪が、壁と地面をパタパタと濡らした。

だがカシラは少しよろけた身体の姿勢を立て直すと、傷を意に介さず不敵に笑いながら会場側を見渡した。


「……フフフフ」


カシラが不気味な笑いを終えた時、その手に握られた棒状のモノが、禍々しい大きな鎌であることが見てとれる。


「……おぬし、人間では無いな!? 」


老人の指摘により、会場の空気が一気に凍りつく。

無理もない。

今まで少なからず味方だと思っていた人物が人間では無い。そして獣人などの亜人とも思えない。


ならば……


会場の誰かが呟いた。


「まさか…… 」



この世界〈バース〉では、知能が低い魔物以外に、魔に準ずる者の存在があり、遥か昔から語られている。

……それは、悪。

神とは対極の存在。

まさに恐怖の対象だ。


今でも世界のどこかで出現したと、たまに噂もされている。

そしてその存在の出現期間はいずれも短い間だが、被害においては一晩で街が無くなるなどの甚大かつ凶悪レベルで、最早どうにもならない災害であるという。



「フフ……会場の皆さん、残念ですが皆さんに御見せする今日のショーはここまでです。ですがお喜び下さい。ここからは、私と供に参加する事が出来るのです。 ……なに、痛くはありませんし、あなた方の魂は、これから私の中で永遠になるのでしょう! 」


「「ざわざわ…… 」」


『さあ……実りある魂達よ、そのこうべを垂れよーー 』


詠唱の始まりと供に、会場に詰め掛けていた客や護衛達は、精神支配でもされたのか、急に虚ろな様子になり立ち上がる。

そしてその頭の上には、それぞれ黒く渦巻く不思議な〈モヤ〉が立ち上っていた。


魂の収穫(ソウル・ハーベスト)


カシラが詠唱の終わりと同時に不気味な鎌を会場に人々に向けて振ると〈モヤ〉が頭の上から切り離され、怨念の声と供にその全てがカシラに集まり、更に大きく渦巻いてゆく。


そして、立ち上がっていた者全員が糸の切れた人形の様に椅子に、地面にへたりこむ。


「フフ、では御老人。 先ほどの問いへの答えを見せましょう! 」


『冥界の住人よ! 黒き魂の捧げに答えよ!悪魔(ディーモン)召還! 』



ギチ!


ギチギチギチギチギチギチーー



カシラの足下に黒く、大きな魔方陣が展開した。

そして耳を覆いたくなるようなイヤな音が鳴り響き出す。 続けて黒く禍々しき悪魔が、その姿を徐々に……


この世界へ見せ始めた。


その容姿……

黒く染められた邪悪な身体は大きく、恐怖を引き起こす顔つきから放たれる眼光は、睨むだけで人の命を刈り取る事が出来るだろう。

さらにこれほどの圧倒的存在感は、鍛え上げられた戦士でさえ目の前にすれば、戦わずして命を委ねるであろう。


「さあ、ここからです! 」


『我が魂と融合し、進化せよーー 上位悪魔(グレーターディーモン)


ーーーーーー


「〈挑戦者(チャレンジャー)〉! 」


その名前をマガトが宣言した時、ガントレットの装飾にまるで、血液のように光りが流れだした。


「なっ!? 」


アカリはきゅ~を後ろに下がらせつつも杖を構え、マガトに対しさらに警戒を強める。



「あれ?」


なんで光りを?

どうして僕は、名前が分かった?


……言葉だけによる〈始動キー〉!?

でも魔力は流してない……


そうか、このガントレット〈挑戦者〉は魔力じゃない。


マガトの装備した〈挑戦者(チャレンジャー)〉は、更に光りを増しその色を青、青から黄色へと変えていく。


わかった……

分かったよ。

これは〈魔力〉でなく、僕の〈体力〉をエネルギーに変える。そして今の状態は〈チャージ〉か。

今の体調に変化は無いが……


そして攻撃方法は、二つ。

直接打撃か放出。


さて、どうするか……



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