その、謎の魔方陣
ほぼ回復しました。ありがとうございます。
結局、感染性関節炎で原因は黄色ブドウ球菌でした。
骨折の様な激痛と、インフルエンザが同時に来る。こんな感じです。
今日は膝に刺している3本のドレーンを4日ぶりに抜きに行きます。
仕事も根性で乗り切りました。
もう二度とイヤです(笑)
空中に投影された一方的な戦闘。
赤髪の少年による、見た事もない苛烈な殲滅攻撃。
それはやや弛緩した会場の雰囲気を一変させるには……ある意味十分なショーとなってしまった。
勝つことを当たり前と予想していたほとんどの客達は唖然とし、間の抜けた顔で一筋の鼻水を垂らしたまま眼を見開き、立体映像に釘付けだ。
司会の男でさえ言葉を発する事もなく呆然と見ている。
だがこのままにする訳には、当然いかない司会の男〈カシラ〉は思案する。
まさか、これ程とは……
……侵入者相手にグールを使わず、もっと強い魔物を充てるべきだったか。 しかし手駒の魔物では全て同じ結果になるだろう。
このショーを逆転させるには……
そう司会の男が考えた時だった。
ヴヴゥゥゥーー
ステージ上、司会者の反対側に突然大きな魔方陣が展開される。
その大きさは直径2メートル程か。
まるで丸い大きな〈皿〉が立った様な形で、その表をやや会場に向けていた。
「……レバッ!! 」
司会の男の声に反応したレバは、妖精が入った檻と〈三八式銃魔〉を、人間とは思えない様な早さで回収し、ステージ隅にいた鑑定士を守るように前に立つ。
「カシラ! 」
同時に助手の男2人は司会者と魔方陣の間に割り込み盾になる形となった……。
ーー
……ゴクリ。
エリナはその、渇いた喉に唾を押し込む。
……私の心臓は口から飛び出しそうだ。
先ほどまでのマガトに対する疑惑と〈アスコリ〉への対処を企画、調査し、報告書の下書きをする事で頭が一杯だったのに、今は水晶から投影された映像に見入っている。
ああ……
何と美しい。
スキル魔法だろうか?
赤白い炎を撒き散らし、グール共を一瞬で蒸発させながら飛ぶその姿は、まるで流星。
そうか、……間違いない。
ここ最近アルティーナ国内で、好き勝手にテロ活動を行っている転生者グループがいると聞いた。……たしか〈ヤタガラス〉と言ったか。
そして流星の様な炎となって、アルティーナ兵士を焼き尽くした少年がいたと言う。
奴が手配中の1人、〈A・カズ〉……と言う訳か。
しかしここは情報の宝箱か?
フフ……。
まずは、下書きの変更をーー!?
ーー((……なんだ? あの魔方陣は!? ))ーー
マガトはステージに発生した魔方陣に注目し、分析を開始する。
……これまで連続する驚きの光景を冷静に乗り越え、情報を整理して来た。
そこにはニラや〈ヤグル〉の顔見知りが死んだ事も、もちろん想定内だが不思議と悲しみは無い。
有るのは知識への欲求。
物事への理解。
そして、目の前の変わった〈魔方陣〉の謎だ。
この魔方陣はその大きさに対して〈刻印呪文〉の割合が少ない。刻印は古代魔法語ではあるが円の外側を一周させただけ。
だがこんな魔方陣はあり得ない。なぜなら刻印できるハズの中央のスペースが完全に空白で不完全だからだ。
そして色も問題だ。
通常魔力、スキルなどが作用する時は白か、青が一般的だ。
そして意外だが、事例が少なく魔法学に詳しい者くらいしかあまり知られていないことがある。
その魔法、スキルにもよるが、それぞれおおよその強さを表すと言われている〈色〉。
白、青に続くは黄色。
次に緑、赤、とそのレベルを表すと言われている。
そして目の前の魔方陣は……
〈緑〉だ。
と言う事はこの魔方陣はすでに完成され、なおかつあり得ないレベルにあると言う事だ。
すごい……。
さらにこの魔方陣、一体誰の仕業によるものか?
術者と思われる者の姿が無いのだ。
近くに居なければ普通魔法は行使出来ないのに。
それは回りの反応から見ても明らかで、みんながキョロキョロと辺りを探している。
だがもう、みんな薄々感じているハズだ。
術者はここに干渉出来ないハズの場所、SR魔道具〈水晶牢獄〉の中にいると。
マガトは己の身の危険を感じる事も出来ず、ただ魔方陣を見つめる。
そしてその魔方陣の外枠が回転を始め、緑色から青にその色を変えた所で回転はゆっくりと停止、中央の部分から奇妙な音と共に何かを吐き出した。
「……でた 」
「……じゃな! 」
「キュ~ちゃん流石ッス! 」
「……ここからが本番よ、みんな探して! 」
「わ、わわ! どうなってるんだ、奴ら出て来たぞ! 」
ついにステージ上に降り立った4人の侵入者。 そして当然の如く慌て出す客席。
いかに障壁がこちらを守っているとは言え、先ほどの戦闘から自分達の命に危険が迫っている事はバカでも分かる。
グールで殺せると判断した〈頼りない司会者〉の障壁など、もう信用出来ない。
そしてこのオークションに来ていた1人の男が、ついに障壁を抜け、逃げ出した。
「よっ! 」
「ぎゃあ!! 」
ゴオォァァ!
身体を火だるまにされた上、壁に叩きつけられるあわれな商人の男。
アカリが放ったファイヤーボールは初級魔法でありながら無詠唱にして強力。
商人は自前の魔道具により、魔法障壁の効果をその身に纏っていたが、アカリの初級魔法でさえ防ぐ事は出来ない。
その炎は死体を炭化した後も金属の壁を燃やし続け、会場を明るく照らした。
「探しもんしてるから動くな! すぐに死にたくなかったらそこから出ない事ね……。 ま、後で殺すけど 」
アカリによる、超上から目線の発言に……
名だたる者が集まった会場は
一瞬にして沈黙した。
応援よろしくです。




