ヒロイン登場も甘くない。(その2)
昨日は、オーバーロードに転スラと、最高の日でしたね。
私も夢を見るくらい、いいでしょうか?(笑)
……今の季節は、春か秋か。
たいして暑くもなく、快適な部屋の空間で、1人全身から冷や汗を感じている、ごくごく普通の老人がいた。
弱々しい老人は、椅子に座っており、目の前の机にある水晶を両手ではさみ込む様に、触れている。
……いや、触れさせられていた。
「ゴクリ……!」
老人が飲み込む、つばの音にも反応を見せる【陽炎】のメンバーは、リラックスした表情だが、老人を囲んだまま……なぜか武器に手を掛けている……。
(ヤベェ……。 間違いなく尋問イベント発生だな……)
(そりゃそうだ。……色々怪しいもんオレ……)
(……しかし、異世界に来て、正義の味方みたいな強い人達に、助けられた挙げ句、尋問される弱っちい老人……)
(しゅ……主人公へのルートが……)
(……まったく見えねぇぇぇ!)
まさにラノベ小説において、1ポイントも評価されない作者の……駆けだし冒険者のような作者の! 絶望的な感情にも似た、熱い何かが込み上げて来る!
しかし颯汰は、ぐっと涙をこらえ、その時を待った。
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『ジョーの視点』
(おいおい……やり過ぎじゃねぇのか⁉)
(確かに囮作戦を決行した日は、周辺すべての街と村で外出禁止だった。怪しいかもしんないけど……オレが助けなきゃ死んでたぜ!)
(だいたい副団長は、面倒な人だよな……頑固だし……ハゲだし)
(あ、爺さん汗かいてら……)
「ゴクリ!」
(え⁉ ……なんでアイツら、武器握っちゃってんの⁉)
(ついに水晶触ってる手がプルプルし始めたよぉ⁉)
(げ! 爺さんの目に、涙たまってんじゃん……ウケる!)
(プッ!……ププッ!……)
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やがて、部屋の扉がノックも無く、静かに開いた。
ロイの後に続いて部屋に入って来た人物は、身長も少年、少女の様に低く、漆黒のローブにフードを深くかぶっている。
だがフードの奥から僅かに見える鋭い眼光は、颯汰の心を完全に折った。像がアリを踏むくらい簡単に……。
老人の向かいの椅子に座った人物は、片手で水晶をさわり、怯える颯汰に尋問を始める。
「私は、【陽炎】を仕切ってるクレアだ。……アンタに聞きたい事がある」
水晶が青く光る。
(クレア…… 女か?)
この【真実の水晶】は、偽りの心に対して赤、真実の心には、青く光るマジックアイテムである。
「心配無用。すぐに終わるさ……」
そうクレアは、つぶやきフードに手を掛ける。
そして次の瞬間……颯汰は、驚愕に目を見開いた!
フードを脱いだクレアは、焦げ茶色をしたショートの髪の……
(ババァかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!)
応援よろしくお願い致します。