その危険なオークション。
「エリナさん……ここ 」
僕の作った壁の穴にエリナさんが入って行く。
さて、ここからが本番だ。
続けて僕も穴に入る。
一応中へ入る前に周囲を確認したが問題は無さそうだ。
中は暗い。
だが闇に慣れた目はぼんやりと辺りを映してくれる。
ん?
向こうからか光が漏れているのか……
そして僅かに声も聞こえた。
僕達は何も会話する事なく、引き寄せられる様に声のする方向に向かった。
「レディース&ジェントルメン!! ……の皆様、〈ヤグルオークション〉にご参加頂きまして、誠にありがとうございます。
本オークションは金貨100枚からの入札を決まりとしております。 取り揃えた素晴らしい品々は世界7ヵ国の国々に公式に認められた我々の〈鑑定士〉による〈鑑定書〉付でございます!
アルティーナでは絶対に手にする事が出来無い1品を是非この機会に御手になさって下さい。
それではさっそく参りましょう! お宝、カモーンナッ! 」
百人ほどが入る会場内は購買意欲に燃える人達に依って静かな熱気に包まれていた。
商人、貴族、果てにあれは王族に列なる者か。
アルティーナ王国の内と外、表と裏、さまざまな分野で力を持つであろうその者達とオークションの関係者は身元が分からない様に、全員が仮面などで顔を隠している。
だが一部の者達はその気品溢れる佇まいを隠しきれない様だ。
……ゴクリ
すごい。 圧倒的な雰囲気だ。
マガトとエリナは壁に空いた、ごく小さな穴に顔をぺったりと付け、会場の様子を覗き窺う。
見付かれば〈父さんのコネ〉などぶっ飛びそうな危険な臭い。
客は全て圧倒的な威厳を放っており、相等な権力を持っているだろう。 そして、それに付き従う護衛もただ者ではない雰囲気だ。
さらにオークションの係員。 背格好からして〈ヤグル〉に乗り込んでいるマフィア達だろうが、何か違う……まるで別人のようにしか見えない。
完全に失敗だ。 ……甘く見ていた。
早くここからエリナさんを連れて立ち去らなければ危険だ。
頭ではそう考えているものの、それを上回る好奇心がマガトの動きを止めていた。
「エンッツリィィ~ナンバー1番! 」
ふざけているかの様に、会場を仕切っている白仮面の黒服が叫ぶ。
ステージにある立派な台座の上には、これまた高価な布に被せられた何かがあった。 黒服の男二人が台座を挟む様に立っているが、警備だろうか。
「ふふ、皆さん。 最初から物凄いモノですよ。 我々はこの品を入手する為に2年の時間を必要とし、保管にも最高の気遣いをしてまいりました。 」
……ゴクリ
会場は静寂に包まれている。
もう指1本さえ動かす事は出来ない。
「まずは〈鑑定士〉による〈スキル魔法鑑定〉で、レア度を発表させて頂きます。 」
〈スキル魔法〉それは、魔法によってスキルを、コントロール、補助、強化する事を目的に開発された新しい魔法分野である。
黒のローブに仮面をした男がステージに上がる。
多分、いや……完全に父さんだ。
その歩き方に、僕にしか分からないその仕草。
そしてその男は、布に両手をかざし何やら呪文の詠唱を始めた。
『おお……万物の謎を見定める神、ミールよ。 今こそ、その眼を開き真なる価値を示したまえ。 ……鑑定! 』
……声、完全に父さんだな……大丈夫か。
……すると布の上の空中に魔法陣が浮かび上がり、中央の部分から更に文字が浮かび上がって来る。
これは!?
魔法陣から浮かび上がった文字。 それはSSR+。 道具屋の父を持つ僕でも、SRまでのモノしか見た事がない。
しかも+付きだ。
「「ざわざわ…… 」」
いったい何があの布の下に……
小さそうだが。
続けて司会が喋りだす。
「これは世界で唯一の聖女、さらに世界で1番の美女と言われる聖セーラシア国、マリアンナ姫の……」
「「おお~! 」」
会場のボルテージが上がる。
「聖っっなるぅ~聖域にぃぃ~! 」
「「おおおお~! 」」
「直接寄り添っていたと言われるぅ~! 伝説の聖なる〈純白の布〉で、ございます!! 」
「「「おおおおおお!! 」」」
……な!
ただの〈ぱんつ〉……だと……。
一気に熱の冷めたマガトとエリナであった……
応援よろしくです。




