伝説 対 伝説。
これよりガヤの街編は更新を早めに仕上げたいと思っております!(予定)
話が前後しまくってすいません。
カールがパベルに蹴られた場面の続きからです。
よろしくどうぞ!
「グゥゥ…… 」
くそっ……
わき腹が痛ェ……
〈全身身体向上〉を使用した状況でここまでダメージを受けるなんて、ヒゲ野郎…… あのボスゴブリンレベルか?
しかし、あの魔法の〈障壁〉って、どうなってんだ? エドガーの〈障壁〉ならもう簡単に壊せる様になったのに……
まだ力が足らねぇのか……
クッ……深く息が出来ない。
ウプ!
「オエェェ…… 」
ヤベェ……
……気が
……遠くなーーーー
カールはついに、ドス黒い血を撒き散らし、床に横たわった。
「ククッ…… 小僧、まだ生きていたとは頑丈だな。 しかし内臓がイッたと見える。 早く治癒魔法を掛けねば危ないぞ 」
パベルはその笑みで出来たシワをいっそう深めながら、エドガーを挑発した。
フゥ…… フゥ……
だが一方、エドガーは集中を切らさない。
いや、切らせないのだ。
スキルを維持し続ける為、鉄の意思を持って心をコントロールしている。
確かにカールの状態は深刻だ。 出来る事なら今すぐにも駆け寄って、助けたい。
だが少しでもパベルに隙を見せれば、此方が殺られるだろう。
……そう直感が告げている。
それに今、発動してるスキルは魔力の消費が早く、早く勝負を決めてしまう必要もあった。
「クックッ。 薄情な奴だ。 ……⁉ 」
「ガシャャン! 」
「バリィィン! ーー早く乗せろぉぉーー 」
耳をつんざく様なガラスの割れる音と共に、室内に石が転がる。 どうやら外での騒ぎは飛空挺による避難を求める住民が、暴動寸前まで興奮しているようだ。
「……チッ! 」
パベルは舌打ちをしながら懐から小さな水晶玉を取り出すと、何やら水晶玉に向かって喋り掛けた。
「私だ……聞こえるか? ……そうだ。 屋敷に群がっているゴミを黙らせろ。 ついでにゴブリン共の襲撃から少し時間を稼げ。 ……ああ。 此方が片付いたら連絡する。 」
「な!? どういうつもり…… 」
「ドオオォォン!! 」
屋敷の外からの爆音と閃光。
窓ガラスは全て割れ、部屋の中に居てさえ衝撃波によってエドガーの身体はバランスを崩す。
「ハーハッハッ! どうだ! 魔力砲の威力は!? 」
一方でパベルは全身を覆う障壁によって微動だにしていない。
なんたる行ない。
同じ人間、同じ国で味方であるはずの飛空挺からの砲撃によって、屋敷の前に集まっていた大勢の人達は一瞬にして肉片と血粉末に変換させられた。
ーーエドガーの脳裏に、田舎特有の美しいガヤの風景が写り出す。
畑を耕し、汗にまみれながらも笑顔を絶やさなかった、たくましい男達。
子供達は元気に街を駆けずり回り、仮面を付けた自分にも怖がらず、「格好いい! 」と真似して遊んでくれた。
そして色々な温かいおもてなしを重ねてくれた屋敷のメイドやコックさん。
……そんな人達を今まさに、自分の生まれ故郷と同じように殺し、不幸を撒き散らす幻想騎士団!
エドガーが狂ったように叫び、剣を振りかぶる。
「ああぁぁぁぁ! 」
ギャリリィィィィ!!
「な!? 」
パベルは驚愕する。
スキルを発動せずとも人体改造をされ、〈強化〉された自分の身体は失われた古代魔道兵器にも準じる力を備えているハズだった。
だがその目を持ってして、捉え切れない〈奴〉の剣撃は、自分の間合いを素通りし、身体を守る〈障壁〉に激突する事でやっと見る事が出来たのだ。
「ツォォ! 」
一瞬焦ったパベルが魔剣〈フラガラッハ〉を一閃する。しかしエドガーはあり得ないようなスピードで、既にパベルの間合いの外へ移動していた。
「……やはり、転生者共は危険だ。 その血を継ぐ者でさえあり得ない力を発揮する。 今度こそ根絶やしにしなければ……! 今殺してやるぞ。 この〈世界〉は我々の物なのだ! 」
魔剣フラガラッハが、赤黒い光を放ちながらパベルの手を離れ、空中で静止した。
そしてその禍禍しい剣の先端はエドガーに狙いをすましたかのように向いている。
「クックッ! 」
……ブン!!
まるで弾かれた弾丸のように速く、
空気を切り裂く音だけ残して
魔剣は消えた。
ガヤの街編もついに佳境に入りました。
もっとあっさり終わらすつもりが色んなキャラを出しているうちに愛着が湧いてしまって、自分でもびっくりです。
とくにゴンザレスは名前が好きだったのに、あっさり退場させてしまい後悔してます。(笑)




