ケビンの人生。
ボチボチと言いながら、筆が走ったので更新です!
ーー時は少し遡り、屋敷近くでの砲撃の後ーー
……う
…………うう。
……何だ? ……暑い……
意識を取り戻し、うっすらと目を開けたケビンに見えるのは、赤く染まった視界に、瓦礫と遠巻きに周りを囲む炎。
だがその勢いは激しく、照らされた身体は焦げる様に熱い。
……そして酷い匂いだ。
飛空挺からの砲撃を受け、衝撃で飛ばされたのだろう。向こう側の地面がごっそりと抉られている。
とっさに抱えた迷子の少女は意識を失っているのか、目を閉じたままだ。
だが少女から感じる温かな体温は、血まみれのケビンに安心感を与えてくれた。
「酷い目に会ったな…… おい、生きてるか? 」
横になって抱きしめたままの少女に声を掛け、肩を揺さぶる。
だが少女の、その……
……その小さな口から出て来たのは、止めどなく流れ出した真っ赤な生ぬるい鮮血だけたった。
(ああ…… こんなところに…… )
少女の背中をまさぐると、棒状の固い何かが刺さっている。
身体はまだ温かいが呼吸も脈も無い。
そう……
彼女は幼くして死んだのだ。
……助けたつもりが、オレの代わりに死んでしまった……
本当なら、オレに刺さるハズだったんだ。
いつも、こうだ。
オレの代わりに誰かが死に、
いつ死んでもいいと思ってるオレが生き残る。
ーお前はツイてるー
ー疫病神ー
昔から色んな事を言われ、いつしかパーティーの仲間は死に、オレは誰とも組まなくなっていた。
何かオレにあるかとも思って、高い金を払い〈鑑定士〉に観てもらった事もあったが特に問題も無かった。
……だが結果はこうだ。
仰向けに寝転んだケビンの目から涙が溢れた。
辺りは炎に包まれ、ゴブリンがあちこちで暴れているのだろうか、悲鳴と怒号が遠くから聴こえる……
冷静に考えれば……どちらにしても、
仮に先程の砲撃で両方が無事でも、オレが死んで少女が生き残ったとしても、この状況では助からない。
な~んだ……フッ!
「ははっ! オレはやはりツイてなんかいない。
結局の所、助からないじゃないか 」
ケビンは今度こそ、やっと死ねる状況に満足しゴブリン達が来るのを待つ。
……もういい
充分にオレは生きたし、人生もそれなりに楽しんだ。
何よりこれでオレの事を誰かにとやかく言われなくてすむ。
ん?
そう言えば、この少女の身体をゴブリン達の好きにさせるのは気に入らないな……
ケビンは近くに落ちていた自分の大剣を拾い上げ、スコップ代わりにして穴を掘る。少女を埋めて弔うのに、さほど時間は掛からなかった。
「……さて、お前らがオレの死神か? 」
ケビンを取り囲む、武装したゴブリン達。
しかしケビンの大きな体格と、見た事も無いのような大剣を前に警戒し、すぐに襲っては来ない。
「ああ…… これか? 」
ケビンは大剣を放り捨て、無抵抗に手を広げる。
「オラ! どうしたゴブ公共! オレを殺してみろ! 」
変に気合いの入ったケビンの叫びに、更にゴブリン達は警戒を強め、口々に何やら喋っているが誰も前に出ない。
「何だコイツら…… まったく…… 」
だが話し合いの末、ゴブリン達にも覚悟が付いたのか、2匹のゴブリンが槍を構えながら前に出た。
「ガァ! ギョワ! 」
ゴブリン達は槍に気合いを乗せ、ケビンの両脇を狙い突き出す。
「あ、ちょっと待て 」
だが、ケビンの気の抜けた声と共にゴブリン達の槍は簡単に二本共掴まれた。
「待てと言っているのに! 」
仲間のゴブリンの槍が抑えられたと見て、他のゴブリン達が殺到し出したが、ケビンは慌てる事なく二本の槍を2匹のゴブリンもろとも力任せに殺到する集団に対して凪ぎ払う。
「グェ! 」
「ギャ! 」
「あ~あ、言わんこっちゃない…… 」
仕方ないからと、ついでに止めを指すケビン。 そして先ほど気になった屋敷の中を注視する。
「あれはアルティーナの…… 」
屋敷の中で見え隠れする、男の姿。 それはこの田舎街に似つかわしくない、高級そうな服装とマント。
「アイツにさっきの砲撃の礼をしなくちゃ…… 死んでも死にきれねぇ! 」
新たに生まれた復讐の感情を、今一度生きる理由に変え……
ケビンは歩き出す。




