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ゴブリン侵攻。(2)

ブクマありがとうございます!

みなさん、盾の勇者見てますか~!?

く、どうすれば……


ケビンの目の前では火が回り始めた屋敷と、自分の片腕にしがみついて震えている、幼い女の子がいる。抱き抱えた事で少し安心したのか、何とか泣き止んでくれた様だ。



ん? 飛空挺が……


まるで屋敷から出た火を嫌がる様に、ゆっくりと上昇を始める飛空挺。だが、その船体の下部に装備されている、大砲と思われる砲門がキリキリと動き、こちらを向いた。


!?


おいおい……


ウソだろ!


ケビンは女の子を抱えたまま、大砲の射線から逃げようと身体を動かすが、人混みの中思う様に動けない。



ヤベェ……


……そして屋敷の前の広場で、大爆発が起こった。



ーーーー


「おおぉぉ! 」


ポーロは渾身の力で、ゴブリンの脳天に槍を突き入れた。


すでに辺り一帯は激しい乱戦が繰り広げられており、人間とゴブリンの怒号と絶叫が、血吹雪と供に飛び交っている。すでに多数のゴブリン達が内壁の守りを抜け、街の中に入ってしまっていた。

しかし、守備隊は敵に囲まれながらも士気は高く、まだ戦い続けている。



ズゥゥン!


街の中心部近くか……何の音だ?


街のあちこちで火の手が上がり始めたのも何となく分かる。

だが、何が起こったのか確かめる余裕も無い。


なぜなら私の目の前には、あの憎っくきホブゴブリンが立っているからだ。


「その白銀の鎧……やはりラウル隊長の! 」


敵の大将であろうゴブリンは、何も答えない。


(隊長…… 刺し違えても仇を取ってやる! )


とは言え、〈ゴブリンナイト〉は全身をミスリルのフルプレートで覆っている。狙うべき箇所は顔の部分しか無かった。


(何だ? ……どこを見ている? )


ズズ!


〈ゴブリンナイト〉の視線はこちらを向いていない。ポーロの背後上空を凝視している。


(舐めやがって…… いや、罠か? )


1歩も動けないまま、ポーロの額から冷汗が流れた時だった。


ズズズズ!


聞いた事もない、異様な音が近づいて来る。


「な! 飛空挺!? 」


見上げた空には夜の闇に浮かぶ巨大な飛空挺が、独特な音をさせながらゆっくりと頭上を通過していた。


ドガァ!!


その船体下部が一瞬光ったと思うと、壁の外側で大挙していたゴブリン達を轟音と供に地面ごと爆散させる。


ドン!!


ドワァ!!


一切の容赦なしで発射される魔力砲の破壊力に、為すすべも無くゴブリン達の身体がちぎれ飛んだ。


「「ワァー! 」」


守備隊兵士から上がる歓声を耳にしながらポーロはケビンに感謝し感激の涙を流していた。飛空挺がガヤに現れた時からパオロと連絡はおろか、ゴブリンの対処に全く協力する気配がない本国の兵士……


頼りのラウルがいない守備隊を不安の中、一人気を吐き過ごしていたポーロは今まさに感激の中、力が増していく思いなのだ。


「おお、ケビン……そして神よ、感謝致します! 」


そして仲間の歓声が起こる中、〈ゴブリンナイト〉睨み付けた。


(何だ? まだ飛空挺を見ているだと? )


魔力砲による無慈悲な爆発が巻き起こる中、〈ゴブリンナイト〉は飛空挺をただ見つめている。


……そして砲撃は止んだ。


ズズズズ!


急に旋回をし始める飛空挺。

そして新たに始まった砲撃は、ガヤの街を目指す地上のゴブリンでは無く、遥か大森林の方向に向けて放たれ出す。


(どうしたと言うのだ!? )


飛空挺の不可解な突然の行動に、ポーロは言い知れぬ嫌な予感を感じた。


……ズズズウォー!


飛空挺はスピードを上げようとしているのか、独特な飛空音はやや、カン高い音を立て始めた。 ……その時だった。


ドガァ!


何か(・・)が猛烈な勢いで飛空挺の〈障壁〉に激突し、そのまま街の中へ落ちた。


「何だ!? ……鳥? 」




「……ワイバーンか!? 」


一体何処から現れて来るのか。数百匹に及ぶようなワイバーンは漆黒の空から次々と飛んで来ては、狂ったように飛空挺の障壁へ体当たりを敢行する。


弱々しい障壁の光が何回か点滅したかと思うと、簡単に飛空挺を守る障壁は、粉々に割れた。


ワイバーンはエサに群がる蟻の様に、すぐに飛空挺を覆い尽くす。わずかな隙間から火と煙を吐き出しながら、飛空挺は下降を始める。


「そんな! そんなバカな! 」


悲鳴にも似たポーロの叫びがこだました後、飛空挺は貼り付いたワイバーンもろとも街の中に墜落、


ドオオォォンン!!


……爆散した。


「ガッガッガッ! 面白イ見セ物ダッタ。 次ハ、オマエモ派手ニ、死ンデ見セロ! 」


爆発による熱風を身体に感じながら、片腕で顔の下を覆う様に身構えていたポーロは、〈ゴブリンナイト〉の声に何も反応しない。 ……いや、いつの間にか全身を弛緩させ、


生きる事を諦めた。


「フン。 ……ツマラン 」




終盤に近づいた内壁周辺の戦闘を遮る様に、〈ゴブリンナイト〉の〈咆哮〉が響き渡る。

その掲げる手には、ガヤの街を守る守備隊副隊長の首が無残に握られていた。


最後の力を振り絞り、戦いを続けていた残り少ない守備隊兵士達は〈ゴブリンナイト〉によるスキル〈咆哮(小)〉とポーロの死を目の当たりにし、完全に戦意を喪失する。




そして力尽きた兵士達の上空を、



一際巨大なワイバーンが、群れを率いる様に飛んでいた。





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