表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/84

初めての救出。(2)

最近、面白い作品を見つけて読んでばかりでした。

また、ボチボチ頑張ります!


「!?」


全員に緊張が走る。


マッドは二人に待つ様に、手でゼスチャーした後で一人小屋に近づいて行く。その右手は腰に差したダガーを握っていた。カールも不測の事態に備えて、刀に手を掛けた。


(こちらに気が付いているのか? 気配の殺し方が上手い。……だが、相手が悪かったな)


マッドは小屋の裏に潜む何者かに気づかれぬ様、ダガーを抜く。かつて、暗殺の仕事をしていただけに自信はあった。小屋の壁づたいに進みながら、左手に握った小石を弾く準備をする。


次の角を曲がった先に〈奴〉はいる。


ピン!


小屋の屋根を越える様に空中に弾かれた小石は、落下による音を15メートル程先でわずかにさせた。


「!? 」


小屋の裏に潜む何者かが一瞬反応するが思うツボだ。その隙を狙ってすでにマッドはダガーを突き出している。


ギィィン!


何者かの横腹目掛けたダガーは、相手の剣の腹によって防がれていた。


「む……エドガーか?」


両手で剣を支えたまま、エドガーは笑顔で答えた。


「よかった! マッドさん、帰ってたのですね。 ……パオロ様とオリビア様が幻想騎士団(イリュジオン)に捕まってます! ボクだけ逃がしてくれて……二人を助けに…… 」


「分かっている。 落ち着いて状況を説明しろ。こちらも話す事がある…… 」


お互いに情報を交換した二人。だが、エドガーの顔は青ざめるばかりだ。


「そんな…… みんな死んだなんて…… 」


「いいか、この際ゴブリンの襲撃を利用するしか、あのお二方を助ける方法はない」


いつの間にか二人の話しを聞いていたカールが、マッドの肩を掴む。


「ちょっと待ってくれ! 街のみんなはどうなるんだ? ゴブリンとは戦わないのか⁉ 」


「カール…… ハッキリと言っておく。 ゴブリンに襲撃されれば街の全滅は避けられない。 奴らはダイヤウルフを味方に付けている。新種のゴブリンも他にいるんだ。 残された守備隊だけでは歯が立たない。


アルティーナの幻想騎士団(イリュジオン)は住民を見捨てるだろう。 パオロ様とオリビア様をなんとしても救わねば……今は言えんが更なる悲劇が世界を包むぞ」


「そんな…… 」


カールは遺跡を偵察した時の事を思い出す。何も出来ずに見捨ててしまったアンナという名前の女性を。


勇敢に立ち向かったラウルを。


命を散らしながら逃がしてくれたビルを。


……みんな、何のために戦って死んでいったのか……

全部無駄だったのか?


ジルー……


「マッド。 パオロは助ける。 だが、その後シャリーを連れて逃げてくれないか? 俺はガヤに残る…… 」


「カール! なんで⁉ そんなのイヤ!」


「シャリー…… ごめん。 俺はどうしても残って皆と戦いたいんだ。 無理だと分かっていても…… もう逃げたくない」


カールに抱き締められたシャリーは、抱き返す事も出来ずに空を眺め涙を流す。


「そんなの…… イヤ…… 」


「シャリー、最後まで聞いてくれ。 俺は必ず生きて帰る」


「……約束よ」


「ああ。 ……約束だ」



ーーーー


救出の為の作戦を話し合ったマッドは、ひとまず街の中心地に戻っていた。


「アルティーナの飛空挺に乗れ! もうすぐ出発するぞ! 」


「飛空挺で逃げろ! まだ間に合う! 」


マッドの役目は〈陽動〉だ。他の三人には騒ぎを起こすとしか説明していない。もちろんこんな方法で、住民を利用するのはひどい事だと分かっている。


だが、マッドはこれが一番効果的であると割り切っていた。


「そうだ! あの空飛ぶ船に! 」


「早くしろ! そこをどけ! 」


すぐに騒ぎは大きくなり、群集は飛空挺の下にある屋敷へと先を争う。警備していたアルティーナ兵は殺到する住民を止めるのに必死だ。その様子を確認したマッドはほくそ笑み、その場を去った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ