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初めての救出。

エタりはせん!

エタりはせんぞ~!(笑)

「アルティーナ王国……」


アルティーナ王国の国旗は白地に青の紋章が普通だ。

それが赤い紋章とは……まさか……


胸騒ぎを覚えたマッドだが、状況が分からない為にこのまま馬車を進める事にする。やがて辺りは完全に真っ暗となり、闇に紛れる形でガヤの街にたどり着いた。

外壁の見張りをしている兵士が気が付き、慌てて寄って来る。


「どうされたのですか! 」


マッドはこれまでの経緯を簡単に説明し、驚く兵士を落ち着かせると、飛空挺の事を尋ねた。


「それが我々にも、よく分からないのです。今朝早くに来たと思ったら、パオロ様に御用があるらしく、屋敷で何やら話し合いをしている様でして……」


「分かった。君は皆に討伐隊の事を伝えてくれないか? 住民は出来るだけ早く内壁の中に避難させた方がいい」


「ハッ! 了解しました。」


マッドは自分の装備をチェックし、ポーションなどをポーチに補填した。その様子を見ていたカールは不審な顔をしていると、マッドに両肩を掴まれた。


「いいか、カール。俺が推測するにパオロ様達は監禁されている可能性が高い。以前から【グリフォス】を嗅ぎ回っていたからな。……いざとなればアルティーナ兵を殺してでも助けるつもりだ。お前はシャリーを守れ。ゴブリンの襲撃は遠くないぞ……出来ればミズリ辺りまで引いたほうがいい」


「マッド……俺は……」


ーーーー


時は遡る事その日の朝早く、ガヤの街を目指す1隻の空飛ぶ船が、独特な音を響かせながら飛行していた。

鋼鉄と木製を組み合わせた純白の船体は全長50メートル程で、プロペラと羽の様なモノが数ヵ所備わっている。その船首と船尾には国を判別する旗が掲げられており、誰もあまり見た事がない赤いアルティーナの紋章がはためいていた。


「周囲異常なし!針路このまま。 間もなくガヤに到着します! 」


「良し。高度落とせ! ……作戦開始だ」


白を基調とした高級感溢れる服装に赤いマントを付けた、中年の男が指示を出すと緩やかに飛空挺は下降を始める。男はやや口角を上げ、顎のひげを擦った。


「パオロ……フフ、楽しみだ」


やがて飛空挺は独特な音を止め、静かにガヤの街上空で停止した。





「パオロ様。……パオロ様! 起きて下さい、大変です! 空飛ぶ船がこちらに! 」


「……なに!? 」


パオロは、エドガーの切羽詰まった声で目を覚ます。

ベットから跳ね起き慌てて窓から外を覗くと、まだ薄暗い早朝の景色の中、ゆっくりと飛空挺が近づいて来る様が見える。そして掲げられた旗を見てパオロは呟いた。


「まさか、〈幻想騎士団〉(イリュジオン)……」


〈幻想騎士団〉(イリュジオン)の存在は対外的に秘密にされている。誰もその姿を見た事はなく、アルティーナで伝説的に語られているだけだ。


曰く、英雄達か行き着く場所。

幻のアルティーナ最強騎士団。

などは、聞こえが良いが……


暗殺集団、アルティーナ絶対主義者。

死を運ぶ死神。


1000年前から語り継がれる言葉は、光りと影が濃ゆすぎる……


既に飛空挺からはロープに吊るされ降りてくる、白い甲冑の男達が見えた。やはりいずれもマントが赤い……


「フフ……参ったな。 これでは逃げられない」


ーーーー


パオロ達が宿泊するために宛がわれた屋敷は、ガヤの中心地付近に建てられた、来客専用の公用屋敷である。ガヤの街では珍しい3階建ての立派な建物には明かりが灯っているがカーテンが閉められており、さらには周辺を覆う庭にアルティーナ兵と思われる者達が厳重に警備しているため、マッドは建物の中の様子を伺い知る事は出来ない。



「さて、どうするか……」


「あの……いいですか? このお屋敷には何度かメイドとして、手伝いに来たことがあります。確か……魔物の襲撃に備えて、隠し通路が街の外まで延びていたと思います。」


すぐ後で、目を真っ赤に腫らしたままのシャリーが答えた。

あの後、マッド達を心配したカールはシャリーを連れて、戻って来た。ずいぶん泣いて悲しんだんだろう……だが、これから起こり得る事態の深刻さを、理解し協力を申し出でくれた。


「街の外か……急ごう。 案内をたのむ」


「はい!」


ガヤの街の大通りでは、夕食時にもかかわらず内壁の中へ避難し続ける人達でごった返している。

「え~ん! 」

誰かに押され、転んでしまったのか子供が泣いていた。


マッドの予想では、早ければ今夜から早朝にかけて襲撃があるとみている。半ばパニックに近いこの状態でも、今は歓迎すべき事かもしれない。何の備えも無く襲われるよりは遥かにマシだ。


予想を超えるゴブリン討伐失敗の知らせは瞬く間に広がり、ほぼ全滅した討伐隊を追悼する余裕も無く、すれ違う人々の顔を見ても悲壮感が漂っていた。



やがてマッド達はシャリーの案内で、街の外にある小さな小屋にたどり着いた。


その小屋は普段、開拓に使われる斧やクワなどの作業具を保管していた。かんぬきは掛けられているものの、中からも開けられる様に入口には、幾つもの隙間が開けられている。

シャリーが足早に近づこうとした時、マッドがその肩を押さえた。



「待て……何かの気配がある」






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